「うつ病」だと思っていたら実は「多重人格」だった…。解離性同一性障害の現実を描く映画「Teamその子」監督インタビュー#1

みなさんこんにちは。オトナサローネ編集部 星です。

働く女性の中にも実はちらほらと存在していると言われる「解離性同一性障害」についてご存知でしょうか?本日はこの疾患について描いた「Teamその子」という映画についての記事をお送りします。

 

私は20代なかばで精神の不調を感じて心療内科を受診し、最初はうつ病だと診断されていましたが、そのあと何年か経って「解離性同一性障害」(Dissociative Identity Disorder 略してDID)の診断が下りました。かつては「多重人格」「二重人格」とも呼ばれていた疾患です。

解離性同一性障害:性的虐待や暴力被害にあうことにより、心を守る防御反応である解離(意識と知覚及び記憶が分断されること)を繰り返し、記憶や役割を分担するさまざまな人格が生まれる。

 

その後、治療と療養を経て寛解にいたりましたが、この病気はあまりにも知られておらず、理解してくれる人がほぼいないという困難を感じていました。マンガや映画に出てくる多重人格者のイメージが強く、誤解されることもしばしば。

しかし今、そんなマイナーな精神疾患であるところのDIDが映画化され、全国で自主上映中なんです。これはぜひ、一人でも多くの方に観ていただきたいと思い、監督である友塚結仁さんにお話を伺いました。

 

「Teamその子」あらすじ:主人公のその子は解離性同⼀性障害(多重⼈格障害)を周囲に隠し⽇常⽣活を送っていますが、内部の⼈格達がそれぞれバラバラにおこなった⾏動により、追いつめられてしまいます。その子の内面に存在する⼈格たちとの葛藤と理解、そして和解の物語。

 

最初に出会ったDIDの人は、同僚だった

DIDを隠しながら会社に勤め、恋人と同棲を始めるその子

──なぜ解離性同一性障害に関する映画を制作することを決めたのですか

「私が普段接している方たちの中にいるから」という理由が大きいです。私はもともと一般企業で働いていましたが、そこにもDIDの症状がある方はいらっしゃいました。今はDVやモラハラ、虐待などよる心の傷つきやトラウマ支援をするNPOで、当事者の方々と一緒に活動をしています。

 

「多重人格」っていうと、どうしてもドラマや映画で描かれるときにセンセーショナルなキャラクターになりますよね。

「真面目なあの人が、実は殺人鬼だった!」とか、ちょっとサスペンスが入るというか。ドラマチックでセンセーショナルだから作品になりやすいのは理解できるんですが、実際に当事者と接して現実を知っていると(うーん…)と思ってしまう部分があって。

当事者の生活って、小さいことから大きいことまで大変なことがたくさんあるのです。そういうことを知らないと、違和感が出てしまう。「DIDの現実を描く」というのは多くの人ができることではないので、自分がそこを描いてみたいと思ったのです。

 

最初は「なんだかおかしいな」という違和感

──NPOの同僚がDIDだったとトークショーで仰っていましたが、最初はどう思っていましたか?

彼女に出会ったのは15年ほど前です。私はまだDIDについてよく分かっていませんでした。

彼女の言動に日々接していて「言っていることと、やっていることが違うなぁ」と思うこともありましたが、自分の考え違いだったのかな?とか、彼女も腹が立ってたのかな?などと解釈していました。

しかし、あるとき意見が対立して言い合いになって、後日改めて話し合おうとしたら彼女がそのことを全然覚えていなかったんです。そのときに(普通の記憶の消え方とはちょっと違う)と感じました。

 

これを読んでいる読者の中にも、職場の人などそこまで親しくない人に関して「なんだかおかしいな」と感じている方がいるかもしれませんね。DIDの症状がある方って、一般企業にも結構いますので。

 

──その後「DIDだ」と同僚からカミングアウトがあったのでしょうか?

はい、オープンに話してくれるようになりました。自分の困りごとが他の人にも影響を与えていると認識したんだそうです。

私はそれを受けて、その同僚に教えてもらった本を読みました。過去に(DIDかも?)と感じた人に寄り添えなかった後悔もあり、とにかく理解したいという気持ちで一緒に勉強しました。

いま、私の周りには彼女の他にも複数のDID当事者がいますが、全員違います。どういうことを知ればうまくやれるか、というのは、ひとりひとり違うのだと思うようになりました。ある程度の知識を本などで得て、その先の個別のことは、ひとりひとりに向き合う。(なんでこう言ってるのかな)(なんでこうなってるかな)の背景を見るのです。とにかく、落ち着いて理解しようとすることが大切です。

この記事の【後編】を読む▶▶「障害があろうとなかろうと、女性が経験する理不尽って世の中に溢れているんです」そう語る監督が、映画を作るにあたって大切にしたこととは

 

 

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