なぜヨーグルトで「やせる」のか?やせ菌が作り出すヒミツの「短鎖脂肪酸」パワーを有識者がもりっと解説
近年、腸からのダイエットアプローチが有効といわれています。それもあって、ヨーグルトを食べるなどして腸活に励んでいる人もいるのでは? そのヨーグルトも、食べ方をちょっと工夫するだけで、「やせ菌」や、やせ菌が作り出す身体に嬉しい物質が増える理想的な環境にすることもできるといわれているのです。
今回は、そのやせ菌や物質についての説明のほか、腸活のエキスパートである管理栄養士直伝の、やせ菌を増やすヨーグルトの効果的な食べ方をご紹介します。
やせ菌が作り出す「短鎖脂肪酸」とは?
やせ菌とは、腸内で「短鎖脂肪酸(たんさしぼうさん)」を増やす菌のこと。短鎖脂肪酸は、ビフィズス菌などの腸内細菌が、水溶性食物繊維やオリゴ糖などをエサにして作り出す物質のことです。
近年、短鎖脂肪酸には体脂肪の減少や、基礎代謝の向上、便秘解消などダイエットをサポートする働きがあることが明らかになってきました。
2023年11月22日、江崎グリコ株式会社がメディア関係者を対象として「スーパー物質『短鎖脂肪酸』メディアセミナー」を開催した際、慶應義塾大学先端生命科学研究所特任教授/ 株式会社メタジェン代表取締役社長CEO 福田真嗣先生が登壇し、短鎖脂肪酸の健康効果について解説しました。
短鎖脂肪酸には脂肪の蓄積を抑制する効果が
福田先生によると、短鎖脂肪酸は腸内細菌が食物繊維を分解して作る代表的な代謝物質で、主に酢酸、プロビオン酸、酪酸の3つを指すといいます。これら代謝物質は血管に取り込まれ、全身へ移行することから、健康に大きく影響します。
短鎖脂肪酸は古くからさまざまな健康効果が期待できることはわかっていたものの、近年、ようやくそのメカニズムが明らかになってきたそうです。短鎖脂肪酸には、脂肪の蓄積を抑制する効果やインスリン分泌抑制にも作用があるとか。
マウス実験では、短鎖脂肪酸がない状態の母親から生まれてくる子どもは肥満になる結果になったそう。人間については未解明ですが、短鎖脂肪酸はダイエットに関して重要な存在であることが期待できます。
肥満抑制の他にも、免疫賦活化や耐糖能改善、アレルギー抑制、便通改善、腸管バリア機能向上、持久力向上、炎症抑制といった健康効果が報告されています。
肌荒れ改善や疲労軽減効果も確認されており、まさに現代人にとって気になる存在といえそうです。
短鎖脂肪酸を腸内で作り出すには?
腸内で多くの短鎖脂肪酸を作り出すことで、肥満抑制のほか、健康効果が期待できそうです。
そこで気になるのが、意識的に短鎖脂肪酸を作り出す方法です。それには腸内細菌のエサである「プレバイオティクス」となる食物繊維を含む食品が必要だと福田先生は紹介しました。
プレバイオティクスは、大腸に届き腸内細菌に利用される炭水化物、つまり「糖質+食物繊維」のこと。
具体的には、穀類、海藻類、豆類、野菜類、きのこ類、果物類、芋類、種実類など。これらには、主に次のオリゴ糖と食物繊維素材が含まれています。
オリゴ糖
フラクトオリゴ糖・ガラクトオリゴ糖、 マルトオリゴ糖、ミルクオリゴ糖など
食物繊維素材
イヌリン・レジスタントスターチ・ペクチン グアーガム・βグルカン・グルコマンナンなど
鍵になるのは水溶性食物繊維
セミナーでは管理栄養士の柴田真希さんが登壇し、グリコが提唱する腸内で短鎖脂肪酸を生み出すための活動「タンサ活」とタンサ活をサポートするレシピについて解説しました。
そこで推奨されていたのは毎日の食生活の中で、1日にビフィズス菌入りヨーグルト100gと水溶性食物繊維2gを摂取すること。
水溶性食物繊維2gは、例えば次の量が目安として示されました。
ライ麦パン 8枚切りが2枚
そば(ゆで) 2食分(1食200g)
納豆 約2パック
豆乳 5杯
さつまいも 中1本
じゃがいも 中5個
しいたけ 33個
玉ねぎ 2.5個
切り干し大根 約1袋
ごぼう 約1/2本
かぼちゃ 約1/4個
ブロッコリー 約1個
にんじん 約2本
アボカド 約3/4個
キウイフルーツ 約3.3個
一日で摂るには多すぎるものもあるため、複数の食材をうまく組み合わせて摂取するといいそうです。
ここまでの前編記事では短鎖脂肪酸を体内で増やすコツについて伺いました。後編ではどうヨーグルトを食べればいいのか、選び方と食べ方のコツを伺います。
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