幸福な人は「親切ね」と言われたらどう答えてる?「いやいや、そんな」ではなく【青木さやか、91歳のシスターに聞く】

2024.02.28 WORK

本当は幸せに、周囲に感謝しながら毎日を笑って過ごしたいのだけれど、日々ストレスに飲み込まれて怒って不安になってイライラして、今日も疲れたな……と眠りにつく。なんで私、いつもこうなんでしょうね。

 

大切なのは、自分の気持ちと、外側で起きた出来事とを分けて捉え、自分は自分の中心軸をしっかりもち、相手には相手の中心軸があるということを理解しておくこと。そう語るのは、91歳のシスター・鈴木秀子さんです。

 

91歳のシスター、鈴木秀子さんに、50歳になった青木さやかさんが「人生の後半を楽しく笑って過ごすコツ」を聞く新刊、『話せば、うまくいく。: 50代からの人生を機嫌よく生きるヒント』から抜粋をお届けします。

 

自分を責めない、否定しない。

 

鈴木 中心軸というものは、一人一人の中にあるものです。中心軸をもつためには、「自分には自分を支える力がある」と思うこと。そしてその力で「自分は幸せになれるんだ」と自分に教え、そして「私は幸福になる」と自分に許可を出すことです。お天気がいいとか、あの人が優しいとか、外からやってくるものは、人からもらう評価と同じでボーナス。そういうものを追い求めながら生きていても、幸せを感じるのは難しいでしょう。

 

青木 中心軸は、一人一人違う、その中にあるものなんですね。

 

鈴木 どんな人も神様から命を与えられ、愛を求め、成長したい、周りにいる人と仲良くしたいと思っている。それは共通しているけれど、その力の使い方がみんな違うんですね。

 

人の個性というのは、水面で輝いているたくさんの小さな波のようなものです。波の一つ一つに光が当たり、それぞれが輝いて見える。この波一つと同じように、人間も光の当たり方によって違い、個性が現れ、AさんになりBさんになる。

 

でも、深いところに流れているものは、みんな同じなのです。神様は、交流し合う存在として、全く違う一人一人を作られますが、どんな人間でも、神様の目からみれば、それぞれ素晴らしいものをもっていて完全なんです。

 

それなのに、人は他人と自分を比べて一つでも劣っていることを自分の中に見つけると、その一つにフォーカスし、「自分はダメな人間だ」と思っています。それで中心軸を失っていくのです。

 

青木 根底にあるものは同じ。だからこそ、輝いている部分をみるようにすればいいのですね。

 

鈴木 そうです。とにかく「自分はダメな人間だ」と思うことをまずやめる。そして、自分はこんなにもいいものを与えられていると、考えてみる必要があるんです。「ここまで歩いてきた」「時間通りにここに来ることができた」、そんな些細なことでもいいですから、自分を認め続け、自分を頼る訓練をしてみることです。人間同士では難しかったら、猫や犬を相手に話すのだっていいんですよ。

 

青木 猫と暮らしていて良かったです(笑)。秀子先生、わたし、ここ数年心と行動を分けて考えることを大切にしていまして。これは動物愛護活動を共にしている友人に教わったことなんですが、心って変えるのが難しいですよね。例えば、嫌いな人をすぐ好きになるのってなかなかできないです。でも行動を変えるのは、すぐできると思うんです。ですから、今先生が教えてくださったことを早速実践してみます。

 

鈴木 それに気づくことができたのは、すごいことですよ。行動を変えてみることで、中心軸は作られていくものです。毎日が一ミリ一ミリの成長ですよ。天から自分に向かって降りている柱があって、そこを通って神様のエネルギーが入ってくる。行動することで、自分はその力を発揮できる。そういうイメージをもって、誰かと比較するのではなく、行動するといいですよ。

 

青木 行動してみないと一ミリも動くことはないですもんね。

 

鈴木 もしやってみて、「失敗した」「できなかった」と思っても、また始めればいいんです。人は生きている限り、いつでもやり直すことができますから。うまくできたら、「今日、これがうまくいったよ」と、お友達と一緒に自慢大会をするのもいいですよ。

 

青木 面白そうです。つい謙遜癖が出てしまうので、自慢はほとんど人に言ったことがありません。自分を卑下することを言いがちです。その方が楽なので。

 

鈴木 難しく考えず、相手に通じないような自慢だっていいと思ってやってみるといいですよ。さやかさんだったら、お子さんと一緒に自慢大会をやってもいいじゃないですか。

 

青木 わたしは恐らく中心軸が弱いせいか、何か行動する前に人に話を聞きに行くことが多く。占いにもよく行きました。それが最近はおみくじになってきました。おかげで課金が数万円から百円に。だんだん安くなってきています(笑)。

 

鈴木 あら、良かったじゃないですか。おみくじを抜けたら、その次は自分にどうすればいいか聞いてみればいいんですよ。

 

青木 迷ったらいつも自分に聞く。どうしたら、そこまでいけるんでしょうか? 何か心掛けたらいいことがあれば教えていただきたいです。

 

鈴木 人から「ありがとう」とお礼を言われたら、その言葉を素直に受け取ること。あるいは、人から「親切ね」と褒められたら、「いやいや、私はそんなに親切な人間ではない」と思うのではなく、「その人は私のことをそう感じてくれるんだ」と、素直に受け取ること。自分を卑下することなく、「そうか、私にはそんな力もあるんだ。自分は神様が作ってくれたものだから」と思うことですね。自分で自分を認められれば、中心軸ができ、人は本来の力を発揮するんです。

 

青木 中心軸は、自分が人とは違うと気づくこと。それを認めていくことでできていくんですね。

 

 

話せば、うまくいく。―50代からの人生を機嫌よく生きるヒント』聖心会シスター 鈴木秀子・青木さやか・著 1650円(10%税込)/時事通信社

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【著者プロフィール】 

鈴木 秀子(すずき・ ひでこ)

1932年生まれ。聖心会シスター、文学博士。東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了。フランス、イタリアに留学。ハワイ大学、スタンフォード大学で教鞭をとる。聖心女子大学文学部教授(日本近代文学)を経て、国際コミュニオン学会名誉会長。長年にわたり、執筆・講演活動を行い、多くの相談を受けてきた。聖心女子大学キリスト教文化研究所研究員・聖心会会員。『9つの性格 エニアグラムで見つかる 「本当の自分」と最良の人間関係』、『人はいつか死ぬのだから』(共にPHP研究所)、『機嫌よくいれば、だいたいのことはうまくいく。』(かんき出版)など多数の著書がある。

 

青木さやか(あおき・ さやか)

1973年生まれ。タレント、俳優、エッセイスト。名古屋学院大学外国語学部卒業。名古屋でフリーアナウンサーとして活動後、上京しタレント・お笑い芸人になる。「どこ見てんのよ!」のネタがブレイクし、バラエティ番組で活躍。2007年に結婚、2012年に離婚。2017年と2019年に肺腺ガン手術を受けた。実母との確執と自身の半生を綴った 『母』(中央公論新社)、『厄介なオンナ』(大和書房)、『母が嫌いだったわたしが母になった』(KADOKAWA)、『50歳。はじまりの音しか聞こえない』(世界文化社)などの著書がある。

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