平安時代の貴族、「愛をコクるとき」にはどうしていた?意外なキューピッド役とは【大河ドラマ『光る君へ』#9】
貴族たちの恋のキューピットは「女房」!?
自由恋愛による結婚は難しい時代であったものの、当時においても貴族が恋心を抱く相手にアプローチを行う試みは多々ありました。男性から女性にアタックするのが一般的であり、男性は好意を抱く女性に女房をとおして文(ラブレター)を送り、関係を育んでいきました。
女房はお仕えする娘の教育や身のまわりの世話だけでなく、性愛の成就にも貢献していたのです。当時、男女の性愛を実現するには男が女の寝所に入るしか方法がなかったのでしょう。女性は生理になると里屋敷に下ったため、男性は愛すべき女性のもとに女房に協力してもらって入り込みました。
女房にとって二人をひそかに導くという行為にはリスクがあります。男性は恋心を抱く女性に会うために、女房に根気強く頼むことも珍しくなかったと言われています。また、女房の多くがお仕えする娘を心から尊敬し、かわいがっていたため、お力になりたいという母性的な思いもあったようです。
現代の私たちは恋する相手とスマホ1つあれば連絡をリアルタイムで取り合えます。それゆえに、恋人からの連絡であってもうとましく感じたり、粗雑なやりとりになったりすることも珍しくありません。
一方、平安時代における貴族のカップルは人づてに届く手紙が主なコミュニケーションのツールでした。手紙が思うように届かないことや相手に気持ちを伝える機会が得られない時期もあったはずです。相手に思いを届けられる機会は貴重であるからこそ、手紙の内容をじっくりと考えていました。また、自分の気持ちと草花や季節の移ろいに重ねながら向き合っていました。
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参考資料
・木村朗子 『紫式部と男たち』 文春新書 2023年
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