「よく噛まない人」を待ち受ける悲しい未来。「風邪をひきやすい」「すぐ疲れる」「頬がたるむ」腸の名医が教える(後編)【自律神経研究の第一人者・小林弘幸教授に聞いた】
30分かかる食事を40分に。噛む回数を増やそう
腸内環境のバランスを保ち、IgAを増やすためにも、食事中に、よく噛むことを意識してください。1日100回以上噛めると良いのですが、回数を数えるのはなかなか難しいので、ゆっくり食事に時間をかけてみませんか。例えば、30分かけていた食事を40分に延ばすことで、噛む回数も増えることが研究データで明らかになっています。「そこまで食事に時間をかけられない」という人は、ガムを噛むだけでもおすすめです。
また、左右均等に噛むようにすることもポイント。両側の奥歯で交互に噛んだときが、最も唾液の分泌量が多くなり、IgAも増えることが分かっています。あまり神経質になることはありませんが、30秒の間隔くらいを目安に、左右交互に噛む習慣をつけましょう。片側だけで噛むクセがつくと片側の筋肉だけが発達してしまい、顔のバランスに悪影響が出ることもあります。
噛むことは当たり前の習慣。だからこそ、おろそかにしてはいけない
「きちんとたくさん噛む」という行為だけで、口の周りの筋肉に適度な刺激を与えることもできます。それが、アゴや頬のたるみ防止にもつながるのです。腸内環境を調整し、体の免疫力アップだけでなく、見た目の老化防止にもなるのですから、噛むことをおろそかにしてはいけません。
いかがでしょうか?
毎日忙しく、食事にゆっくり時間をかけられないオトナサローネ読者もいるかもしれません。しかし、食べることは毎日に欠かせない習慣です。腸や体が元気になり、美容にもつながるのですから、簡単にできるヘルスケアとして、「よく噛んで食べる」ことをぜひ意識してみてくださいね。
【取材協力】順天堂大学医学部 小林弘幸教授
順天堂大学医学部教授。日本スポーツ協会公認スポーツドクター。 1987年に順天堂大学医学部卒業。自律神経研究の第一人者として、プロスポーツ選手などのパフォーマンス向上指導に関わる。また、順天堂大学に日本初の便秘外来を開設した“腸のスペシャリスト”。整腸に寄与する食材やストレッチを提唱。
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