義母の「近距離介護」ストレスでついに限界が。そんな心を救ってくれたのは「亡き父の教え」だった。「介護をスムーズに進めるために大事なこと」

感情が入り込まない関係だからこそ、冷静に介護ができる

私には、102歳で亡くなった母方の祖母がいました。クリスチャンだった祖母は、穏やかでとても心の優しい人。母も「おばあちゃんは全然手がかからないし、できる限り家で介護したい」と言っていましたが、それでも特別養護老人ホームに入居するまでの数年の間に、しんどそうにしている母の姿を何度か目にすることがありました。

 

それは、入浴や排せつなどの介助で生じることではなく、「そこに子どもがいるよ」と幻覚を訴えたり、夜中に徘徊しようとしたり……と、いわゆる認知症の症状が出たときのこと。その様子に動揺し、母が辛く悲しそうにしていたのを今でも覚えています。

 

そんな中、義理の息子である父はどうしていたかというと……。父もとても思いやりのある人で、長年同居する中で得た祖母(義母)からの信頼は厚く、自然な流れで介護に参加しているようでした。

 

たとえば、先ほどのように祖母が幻覚を訴えても、慌てることなくユーモアたっぷりに返し、夜中に徘徊しかけた祖母を連れ戻したときも、冷静に落ち着いて対応するので、祖母としても安心してベッドへ戻れたようなのです。

 

あるとき父に、「おばあちゃんへの対応、すごいね」と伝えたことがあります。すると「義理の親だと、距離があるから逆にいいんだよ。そうじゃないと、感情が入り込んで大変だからね」と言ったのです。

 

残念ながら父は昨年(2023年)、この世を去りました。今も父が生きていたら、介護のことをもっと聞いてみたかった。でも明らかなのは、父の言葉に実親を介護する母への優しさが詰まっていたことです。そして、私が「義母の介護に関わろう」と決めたきっかけにもなりました。

 

>>「認知症」診断に落ち込む義母と夫。私だけは冷静でいられた

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