寒い!身体のどこにカイロを貼れば私は温まりますか?
正しいカイロの使い方、知っていますか?「使い捨てカイロは外出時の必需品」という人も多いでしょう。カイロはやみくもに体に貼り付けるのではなく、使い方にコツがあります。カイロを使っているのにやっぱり寒いという人は、使い方を見直してみましょう。
【漢方医が教える体温1℃アップ術#5】
最初の1枚は、腰に貼る
冷えに悩む人の心強い味方が使い捨てカイロです。でもいったん冷えてしまった体を温めるのは、実はなかなか大変。だから冷える前、「寒い!」と感じる前にカイロを体に貼るのが正解です。
そして、貼る場所もとても大事。もし使うカイロを1枚だけにするなら、そのときは、腰に貼りましょう。貼る場所は仙骨(=腰よりやや下の位置で、おしりの中心にある逆三角形の骨)の上あたり。ここにカイロを貼れば、冷えやすい下半身と体幹を温めることができます。ここは腰痛の解消にも効果的なあたためポイントです。
腰という漢字が、「月」(体を意味します)+「要」から成り立っていることからわかるように、腰は体の要。腰部は、脊髄や自律神経の通り道でもある脊椎(背骨)を中心に人間の体を支え、老廃物の排泄をする腎臓、栄養の吸収や免疫に関わる腸、生殖に関わる卵巣・子宮など、多くの内臓が集まっている大事な体幹部です。そんな「要」の腰が冷えてしまったら、内臓の機能はもちろん、自律神経のバランスにも悪影響を与えてしまうでしょう。
手先の冷えには、肩甲骨の間に貼る
手先の冷えがつらい人は、肩甲骨のあいだにカイロを貼りましょう。首や肩の血流がよくなるので首こり、肩こりもラクになります。また顔色もよくなり、イキイキと見えるでしょう。
実は寒さや暑さを感じる温度センサーは首から肩甲骨、二の腕といった肩回りにあります。ですから冷えがつらいときはカイロや衣類、ストールなどで肩回りをガードするのが効果的なのです。
また、肩をぐるぐると回すのもおすすめ。肩を動かすと、上半身の大きな筋肉を動かすことになるので、たくさんの熱が作れて上半身がポカポカとしてきます。
おなかが冷える人は、下腹部に貼る
使い捨てカイロを下腹部に貼ると、おなかや下半身の冷え解消に効果的です。
おなかが冷えると、まず初めに悪影響を受けるのが胃腸です。胃腸の機能が低下すると、胃がもたれたり食欲が落ちたりして、思うように食べられなくなります。食べられない=熱エネルギーを作り出す材料を補給できないということ。たとえ十分な量を食べられたとしても、冷えで消化吸収力が落ちてしまうと、十分な熱エネルギーを作れない心配があります。つまり、おなかが冷えると、冷えはどんどん進んでしまうのです。
また、病気から体を守る働きをする、免疫細胞の約6割が腸に集まっています。そのため腸の冷えは、下痢や便秘だけでなく、風邪をひきやすくなる、アレルギーが出やすくなるといった症状にもつながるのです。
低温やけどに注意!
使い捨てカイロは下着の上からつけたり、ハンカチなどに包んだりして、直接肌に触れないように使うのが基本です。肌に直接貼ると低温やけどの心配があるので、気をつけましょう。直接肌に貼って使う場合は、温度が上がりすぎない温熱シートを選ぶとよいでしょう。
お話・渡邉賀子先生
日本初の「冷え症外来」を、1997年に北里研究所にて開設。医学博士・漢方専門医。医療法人祐基会帯山中央病院 理事長。麻布ミューズクリニック 名誉院長。多くの女性が悩む冷え症の診断と治療にあたっている。2003年に、女性専門外来「漢方女性抗加齢外来」を開設。2004年には女性専門外来・麻布ミューズクリニックを開院し、より健康で美しい女性の一生をサポートするために、診療・研究活動を続け、現在に至る。
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