銭内(ぜにない)と自称する男に振りまわされる重三郎。吉原でも人の心を動かすものは「カネ」ではなかった【NHK大河『べらぼう』#2】
*TOP画像/重三郎(横浜流星) 大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」2話(1月12日放送)より(C)NHK
吉原で生まれ育ち、数々の浮世絵師をプロデュースし、江戸のメディア王に成り上がった蔦重の人生を描いた、大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」の第2話が1月12日に放送されました。40代50代働く女性の目線で毎話、作品の内容や時代背景を深掘り解説していきます。
▶▶吉原のガイドブック『吉原細見』の内容は?「え、花魁に憧れていたのって男だけじゃないの?」【NHK大河『べらぼう』#2】
吉原のよさを聞かれて戸惑う蔦重 古き良き文化を守り続ける難しさはあちらこちらに
本放送では、重三郎(横浜流星)が吉原の案内本『吉原細見』の制作に花の井(小芝風花)の力を借りながら奔走する姿が描かれていました。
重三郎は『吉原細見』の「序」の部分をうまく使い、「いっちょ 吉原に繰り出してみっか」という気に読者をさせようと思い立ちます。そこで、考えたのが、ユーモアあふれる宣伝文句で歯磨き粉をヒットさせた平賀源内(安田顕)に「序」を書いてもらうことでした。
版元の鱗形屋(片岡愛之助)は重三郎のアイデアを受け入れるものの、源内への依頼を含めて「序」に関することは彼に丸投げ。
重三郎は銭内と名のる男に市で出会い、彼から吉原で遊ばせてくれたら、源内に引き合わせてやるといわれます。重三郎はこの男のいいなりとなり、松葉屋に希望どおり連れて行ったものの、源内を紹介してくれる気配はなし…。
重三郎が自分は騙されたのではないかと花の井と廊下で話しているところに、銭内の部屋に来客が訪れます。このとき、“銭内”こそが“平賀源内”であることが明らかに。
源内が「序」を書くのを渋っていたのは悪ふざけをしていただけでなく、吉原のどこを褒めればよいのか分からなかったというのもあるのでしょう。源内は「よその岡場所と比べて吉原のいいとこって どこだい?」と重三郎に尋ねます。重三郎は「そりゃあ 何たって女が綺麗です」「ほら 芸者も確かで」「ほらほらほら台の物も このように華やかで!」と必死に答えますが、源内は納得いかない様子。生粋の吉原っ子である重三郎が吉原独自のよさを分かっていないのに、他の人に分かるはずはないですよね….。
本作に描かれている吉原における客の減少問題は現代社会にも同様のことがいえるのかもしれません。例えば、20代~30代前半くらいの人の中には”銀座は若者が行く場所じゃない。安く、楽しめる場所がもっとある” “高いお金を払って老舗を利用する必要はない”と考えを述べる人もいます。本作において若者が近場の岡場所や宿場に流れ、吉原は爺や田舎者ばかりという問題を抱えているように、現代においてあちらこちらで似たような現象が見られます。襟を正し、しきたりを重んじ、高いお金を支払って得られる付加価値を数々の選択肢がある中で、多くの人に理解してもらうのは簡単なことではありません。重三郎が吉原の活気を取り戻すために励む姿に共感したり、鼓舞されたりする視聴者は少なくないのではないでしょうか。
花の井が発揮した花魁としての底力
男色(ゲイ)の源内に重三郎は花魁の格好をせまられる事態に…。重三郎の窮地を華麗に救ったのが花の井でした。(小芝演じる花の井の妖麗な姿は話題になっています)
「平賀様 ご無礼仕りんす なれど 男を差し出したとあっては吉原の名折れ。 叶うことなら 吉原は あの平賀源内をも夢幻に誘ったと言われとうござりんす」
花の井は源内が亡くなった二代目・瀬川菊之丞を恋しく思うあまり、瀬川という女郎を探していることを察しました。源内は菊之丞本人でなくても、彼の面影を感じるために瀬川という名の女郎とすごすことを望んでいたのです。
源内は部屋で花の井とふたりきりになると、彼女に舞を踊るように頼みました。この男が花の井を見つめる表情はあたたかくも切なさが感じられます。
源内は花の井の共感力や洞察力に心動かされ、『吉原細見』の「序」を書きました。
「…吉原は 女を そりゃ念入りに選びます。とはいえ 牙あるものは角なく柳の緑には花なく 知恵のあるは醜く 美しいのに馬鹿あり 静かな者は張りがなく賑やかな者は おきゃんだ。何もかも揃った女なんて ま いない。それどころかとんでもねぇのもいやがんだ。骨太に毛むくじゃら 猪首獅子鼻棚尻の虫食栗。 ところがよ 引け四つ木戸の閉まる頃 これがみな誰かのいい人ってな摩訶不思議」
この「序」は人間味あふれており、源内が吉原の女たちにあたたかいまなざしを向けていることが感じられます。
吉原では毎晩多額のカネが動いていますし、女郎を雇っている引手茶屋の主人たちはカネ、カネ、カネ。また、平蔵宣以(中村隼人)のように紙花を大量にばら撒けば、好意を抱く女の心を射止められると勘違いしている粋でない客もいます。そもそも、女郎として働く女たちは経済的な事情で、吉原に連れて来られた者ばかり…。
そうはいっても、本作に女郎たちのさまざまな日常の一コマが挿入されているように、吉原には吉原の人間模様があります。女郎は望んで来たわけではないにしても、時が止まったかのように俯いて座っているわけではなく、悲喜交々の日々を懸命に送っています。男性客についても 肉欲に駆られた人だけでなく、なぐさめを求めて訪れる人もいます。
また、女郎にも人間誰もが完璧でないように欠点があります。容姿に目立った難がある女郎もいます。だからこそ、彼女たちは誰かにとっての“いい人”であるのです。人間味あふれるところが吉原の魅力といえるのでしょう。
続き▶▶吉原のガイドブック『吉原細見』の内容は?「え、花魁に憧れていたのって男だけじゃないの?」【NHK大河『べらぼう』#2】
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