「もう会社に行きたくない」突然の夫の申し出。私が反対しなかったのは、おたがいの責任と自由を約束する「結婚協定」があったから【体験談】

2025.02.24 LIFE

「結婚に必要なのは、愛情よりもビジネス視点」。2人が高め合い、よい未来へと進んでいくために。貫いたのは徹底的なすり合わせ

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「結婚はビジネスだと思っています。もちろん、夫に愛情はあるし大切な存在。それでも、愛情以上にビジネスパートナーとしてうまくいく相手かどうか。そこを重視するという考え方は、結婚前から今に至るまで変わりません」と、きっぱり語るたま子さん。

その迷いのなさには、長い時間をかけて完成されたのであろう強い信念がうかがえました。

 

「そもそも、結婚願望を抱かず大人になったんです。最も大きな理由は家庭環境かな……。両親は夫婦仲が円満ではありませんでした。離婚こそしませんでしたが、私が小学校高学年になる頃から今に至るまで、父は別の場所で暮らしています。幼かった私の前で、母は『この結婚は失敗だった』と口にしていましたね」。

明るさや幸せというイメージから程遠い場所に位置づけられた「結婚」。ところが、たま子さんは30歳を迎える頃、「一人で人生を歩み続けることは、自らの理想から遠ざかる行為かもしれない」と思い始めたといいます。

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「『結婚はさておき、自らの視野を広げながら、良い方向へと変化し続けるためには、本音で対話できる相手が必要なのでは』と考えるようになりました。

もちろん、パートナーの有無にかかわらず、行動や交流の範囲を広げて自分をアップデートし続ける方は数多くいらっしゃいますよね。でも、当時の私の周りには、一人で過ごすうちに自分の価値観に縛られ、頑なになっていく人々が多かったんです。

たとえば、私の母。父との別居期間が長くなるほどしなやかさを失って、母ならではの世界観に凝り固まっていくような印象がありました。独身の男性上司にも似たようなところがありましたね。仕事を抱え込む姿や勤務時間の長さを心配して周りが声をかけても、あまり変化があるようには思えませんでした。年功序列のお堅い職場でしたから、年齢や立場が上がるほど周りからは遠慮され、本音をぶつけてくれる相手は減っていく。だからこそ、これからは、本気でぶつかって自分を諫めてくれたり、気づきを与えてくれるような相手をきちんと探す必要があるのかもしれないと思いました」。

 

そう考えてパートナー探しを開始したたま子さんは、2年ほどかけて今の夫と巡り合います。

「その間、たくさんの男性とお会いして、お話をしましたよ。そうですね、15人くらいかな……。彼らに気づかせてもらったのは、私は男性の顔を立てるのが苦手な人間だということ(笑)。デートコースは自分で決めたいし、相手色に自分を染めるなんてこともできない。『誰にも縛られず、私がやりたいことをそのままやらせてもらえることが、ものすごく重要なんだ』と、ようやく認識しました。

その点、私をどんどん受け入れてくれたのが夫です。『ここに行きたい』と言えば賛成してくれるし、デートの途中で電車を乗り間違えても、次の一手を穏やかに提案してくれる。それまでの男性は『だから言ったのに!』なんて苛立つことも多かったですから、最初は『ガマンしているのかな?』と思いました。でも、どうやら彼は、はっきりとものを言い、意思を持って行動する――そんな私だったからこそ気に入ってくれたようです」。

 

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