【不倫の清算5】「仮面妻」の孤独。40代女性がハマるニセの愛

年末年始の街に漂う幸福なムードとは裏腹に、恋人が家族と幸福に過ごす時間をひたすら耐え、連絡を待ち続ける「不倫女性」。
どうして彼女たちは妻ある男を愛してしまったのか。なぜ夫ある身で他の男性に身をゆだねたのか。
彼女たちは、幸福なのか。不幸なのか。
そこにあるのは欲なのか。純粋な愛なのか。
恋愛の裏のただひたすら聞き続けたひろたかおりが、「道ならぬ恋」の背景とその実情に迫る。

 

ファーストフード店での出会い

 

— E子(43歳)からの呼び出しは、いつものように彼女が出勤する前、朝早くから開いているファーストフード店だった。

平日のうち数回、そこで朝食をとってから勤めている夫の会社に向かうのがE子の習慣だ。会社では総務部長という肩書きだが、実質は「社長の奥さんのためのポジション」であり、仕事はほかの社員がほとんどを担当しているという。

「遅刻したって誰も何も言わないしね、本当に『お飾り』だと自分でも思うのよ」

E子はからからと笑う。それでも、仕立ての良いウールのスーツに身を包み、パールのイヤリングが控えめな光を放っているE子の姿はどう見てもキャリアウーマンだ。従業員は10人ほどの小さな会社ではあったが、そこの「社長夫人」という自分を、E子はいつだって忘れていなかった。

こんなファーストフードで済ませなくても、と以前言ったが、「別に節約じゃないんだけどね、何か普通っぽくない?」とE子は楽しそうに答えた。

学生やサラリーマンが慌ただしく出入りする店内で、E子は「馴染んで」いた。それこそ、普通の会社員のように。

同じメニューを注文して席に座り、最近の「彼氏」との話を聞く。

E子の彼は年下の35歳、独身で仕事は製薬会社の営業をしている。出会いはこのファーストフード店だった。

いつも同じ席に座るE子を見初めたのが彼で、あちらから話しかけてきたのがきっかけだった。

「この年でナンパじゃないとは思ったけど」

と、そのときのことを思い出してE子はふふっと笑う。

彼からの最初の言葉は、「これから出勤ですか?」だった。顔を上げると、自分と同じようにマフィンを手に持ったスーツ姿の彼が斜め向こうに座っていて、思わず「そうです」と普通に答えていた。

そのときは短い会話で終わったが、それからたびたび同じ時間に見かけるようになった。注文の列に並んでいると「おはようございます」と彼から声をかけられるときもあって、気がつけば「何となく隣同士の席で食べるようになった」という。

明らかに彼より年上で、若くもなく美しさの消えた自分にどうして話しかけてくるのか、E子は不思議だった。

「でも、刺激的だった。こんなことってあるのね」

と笑うE子の顔は、以前より濃い目にチークが入り、アイシャドウも華やかなピンクのラメが印象的だった。

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