
働く女性の2/3以上は、職場で更年期の相談ができていない!「せめてサプリで対策したい」どんな成分がいい?何に注意すべき!?【医師監修】
更年期障害は、女性の人生において避けて通れない時期であり、多くの女性にとって大きな試練となります。特に、日本では働く女性の割合が増え、40代から50代の女性が職場で重要な役割を担う中、更年期障害への適切な対応が求められています。産婦人科専門医の柴田綾子先生に解説してもらいました。
更年期障害とは
更年期とは、一般的に閉経前後の約10年間をさします。閉経の年齢には個人差がありますが45~55歳の間に閉経する女性が多いです(平均閉経年齢は約50歳)。すなわち45歳から55歳頃には更年期になっている女性が多いです。この時期、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌が急激に減少し、身体的・精神的なさまざまな不調が現れることがあります。
これらの症状が日常生活に支障をきたす状態を「更年期障害」と呼びます。具体的な症状としては、ほてり、発汗、頭痛、動悸、気分の落ち込み、イライラ、不眠などが挙げられます。
更年期障害と労働への影響
更年期障害は、働く女性の労働生産性やキャリア形成に大きな影響を及ぼすことが明らかになっています。経済産業省の試算(令和6年)によれば、更年期症状による経済損失は日本全体で約1.9兆円に上るとされています。
また、2021年にNHKが実施した調査では、更年期症状が原因で離職した女性は約46万人に上ると推計されています。
職場における更年期障害への対応の重要性
更年期障害に対する職場での理解と支援は、女性のキャリア継続に不可欠です。しかし、現状では多くの女性が職場でのサポートを受けられていない状況にあります。例えば、イギリスの調査では、更年期の女性の2/3以上が職場で症状について相談できず、88%が何のサポートも受けていないと回答しています。
日本でも同様の傾向が見られ、職場での支援体制の整備が急務となっています。
企業による具体的な取り組み
企業が更年期障害に対して取り組むべき具体的な施策として、以下のようなものが考えられます。
・相談体制の整備:従業員が気軽に相談できる窓口や専門家との連携を構築する。
・柔軟な勤務形態の導入:テレワークやフレックスタイム制など、個々の健康状態に応じた柔軟な働き方を提供する。
・職場環境の改善:制服の上から何かを羽織ったり、スカートだけでなくズボンなどの選択ができるようにする。勤務するデスクに卓上扇風機を置くことを許可したり、温度調整が可能なオフィス環境や休憩スペースの設置など、身体的な不調に対応できる環境を整備する。
・啓発活動の実施:更年期障害に関する社内研修や情報提供を行い、全従業員の理解を深める。
国の取り組みと今後の課題
日本政府も更年期障害への対応を重要視し、2024年の「女性版骨太の方針」で女性特有の健康課題を柱に据え、企業に対して配慮や支援を促しています。また、国立成育医療研究センター内には女性特有の健康問題に特化した初の研究拠点(女性の健康総合センター)が開設され、多様な成果が期待されています。
さらに、厚生労働省の検討会では、事業主に義務付ける健康診断の検査項目に月経困難症や更年期障害など女性特有の疾患を問診に追加する案が取りまとめられています。
更年期障害は、多くの働く女性にとって避けられない課題であり、個人の努力だけでなく、職場や社会全体での理解と支援が必要です。企業は従業員の健康と生産性を維持するために、柔軟な働き方の導入や職場環境の改善、相談体制の整備など、多方面から取り組みを進めることが求められます。また、国や研究機関も更年期障害に関する実態調査や政策提言を通じて、働く女性の健康とキャリア継続を支援することが重要です。
>>>次のページでは、忙しく働く女性の更年期対策として人気のサプリメントについて、その注意点と効果について柴田先生にお伺いします。
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