働く女性の2/3以上は、職場で更年期の相談ができていない!「せめてサプリで対策したい」どんな成分がいい?何に注意すべき!?【医師監修】

更年期障害のサプリメントの効果

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更年期障害は、多くの女性が経験するライフステージの一部であり、その症状の緩和を目的として、さまざまなサプリメントが市場に出回っています。しかし、これらのサプリメントの効果や安全性については、慎重な検討が必要です。本記事では、厚生労働省や研究機関の公式データをもとに、更年期障害に対するサプリメントの効果と安全性について詳しく解説します。

 

■更年期障害とサプリメントの関係

 更年期障害は、閉経前後の女性に見られるさまざまな身体的・精神的症状を指します。これらの症状を緩和するための治療法に、ホルモン補充療法(HRT)がありますが、副作用のリスクや個人の健康状態によっては、HRTが使用できない場合もあります。そのため、自然由来の成分を含むサプリメントが代替療法として注目されています。

■大豆イソフラボンの効果

大豆イソフラボンは、植物性エストロゲンとして知られ、エストロゲン様の作用を持つとされています。いくつかの研究では、大豆イソフラボンの摂取が更年期症状、特にホットフラッシュ(ほてり)の頻度や重症度を軽減する可能性が示唆されています。

例えば、2012年のKyoko Takuらのシステマティック・レビュー研究(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22433977/)では、大豆イソフラボンサプリメントがプラセボに比べてホットフラッシュの頻度と腟の乾燥の重症度を有意に低減したと報告されています。また、2016年のFrancoらのシステマティック・レビュー研究(https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2529629)でも、食事およびサプリメントによる大豆イソフラボンの摂取がホットフラッシュの頻度を有意に低減したとされています。

 

■レッドクローバーの効果

レッドクローバーは、イソフラボンを豊富に含むハーブとして、更年期症状の緩和に利用されています。しかし、厚生労働省のeJIMによれば、レッドクローバーの効果に関する研究結果は一貫性がなく、明確な有益性は示されていません。また、骨密度やコレステロール値に対する効果についても、限られた研究しか行われておらず、結果には一貫性がないとされています。

 

■未承認医薬品のリスク

インターネット上では、「サプリメント」や「健康食品」と称して、本来医師の処方が必要な医薬品と同等の海外製品が販売されていることがあります。厚生労働省は、未承認医薬品による健康被害のリスクを指摘しており、安易な購入や使用を避けるよう注意喚起しています。例えば、エストロゲン製剤「ESTROMON」を服用したところ、子宮からの不正出血が生じたケースが報告されています。このような製品は、医師の処方が必要な医薬品であり、インターネットでの購入は避けるべきです。

 

■一般用女性保健薬の効果

小林製薬株式会社が実施した研究(23人を対象)では、ある一般用女性保健薬は更年期不定愁訴の22症状に改善効果があり、特に不眠、憂うつ、神経質などの精神神経系の症状に有効であるという報告があります。。また、効果が現れるまでの期間は、症状の系統や各症状によって異なることもわかりました。一般用女性保健薬は、大規模研究等で検証されていないものもあるため、効果については慎重に判断する必要があります。

 

■サプリメントの選択と使用上の注意

サプリメントの使用にあたっては、以下の点に注意することが重要です。

  • 信頼性の確認:製品が国内で承認されているか、信頼できるメーカーから提供されているかを確認しましょう。
  • 成分の確認:含まれている成分やその量を確認し、自分のアレルギーの有無を確認しましょう
  • 医師への相談:、現在使っている薬がある場合は、サプリメントを使う前に医師に相談しましょう。
  • 過剰摂取の回避:サプリメントは適切な用量を守り、過剰摂取を避けることが重要です。

更年期障害の症状緩和を目的としたサプリメントの効果については、成分や製品によって効果が異なります。。大豆イソフラボンは、ホットフラッシュの軽減に一定の効果があるとされていますが、レッドクローバーについては明確な有効性が確認されていません。

 

また、未承認医薬品の使用は副作用などリスクがあります。サプリメントは、信頼性のある製品を選択し、心配な場合は使用前には医師や専門家に相談しましょう。

バランスの取れた食事や適度な運動、十分な休息など、健康的な生活習慣は更年期症状を和らげる効果があります。そして、これらのセルフケアでも症状が改善しない場合、産婦人科で相談をしてください。

 

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プロフィール

柴田綾子(しばた あやこ)先生

産婦人科専門医・指導医、周産期母体・胎児専門医
世界遺産15カ国ほど旅行した経験から母子保健に関心を持ち産婦人科医となる。周産期センターで診療するかたわら、女性の健康に関する情報発信や、低用量ピルや更年期障害に対するホルモン補充療法を解説するセミナーを開催している。『女性の救急外来 ただいま診断中!』『産婦人科ポケットガイド』『女性診療エッセンス100』『明日からできる! ウィメンズヘルスケア マスト&ミニマム』など、著書多数。

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