「夢ではない、俺はここにいる」涙で交差する友情と裏切り──源内と意次の最期の絆【NHK大河『べらぼう』第16回】

2025.04.23 LIFE

源内と意次の心は再び通じ合ったのか…

意次は牢で震える源内の元を自ら訪れました。家基の暗殺事件から手を引かない源内に厳しいことを言い放ったものの、彼の顔を見ずにはいられなったのでしょう。

 

源内(安田顕)意次(渡辺謙) 大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」16話(4月20日放送)より(C)NHK

 

「俺ゃ もう 何が夢で 何が現だか…」と嘆く源内を、意次は「夢ではない。俺は ここにいる」と涙を流しながら、牢の格子の外から抱きしめました。家基事件で二人の絆は綻びましたが、それこそが“夢”であったかのように、お互いの存在を包み合います。

 

しかし、最終的に、意次は源内を救うことも、彼の無罪を証明して名誉を挽回することも試みませんでした。丈右衛門と名乗る何者かが偽りの普請話を源内に持ちかけたという事実にたどり着いたものの、息子の意知(宮沢氷魚)に、松本を呼び、奉行所に申し出ることを止められたためです。松本を巻き込めば、彼の命を危険にさらすことになりかねないから…。

 

さらに、蔦重(横浜流星)が持ってきた源内の無罪を証明する原稿を処分するよう側近に指示しました。この原稿には源内の無罪だけでなく、意次の潔白を証明するストーリーが綴られていたというのに…。なお、原稿に書かれている鬼畜の所業に気付き、人殺しに仕立てられた「七ツ星の龍」は意次であり、 そこに現れた「古き友なる源内軒」は源内だと解釈できます。

 

原稿 大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」16話(4月20日放送)より(C)NHK

 

原稿 大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」16話(4月20日放送)より(C)NHK

 

意次がすべてを投げうってでも源内を救うべきだったのかどうかは答えのない問いです。筆者は諸々の事情を考慮しても、意次が源内を救おうとしなかったことにモヤモヤした気持ちが残っています。源内の死が悲しいのはもちろんのこと、社会の上層部にとって不都合な存在が葬られることをどこか許容している雰囲気を感じられるから…。

 

蔦重にとって源内は… 次ページ

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