「100年先の江戸を見てみたくないか」“売れるもの”と“書きたいもの”の間で揺れる男たちの選択【NHK大河『べらぼう』第19回】
鱗の置き土産。蔦重と孫兵衛の縁
蔦重と孫兵衛(片岡愛之助)は書を愛し、同じ方向を見ていましたが、いつからか、二人の関係に亀裂が入りました。
二人の関係修復に動いたのは、市兵衛でした。
蔦重が商いを返せなかった償いとして、細見を500冊購入した話を聞き、孫兵衛はすべてを悟りました。蔦重に謝罪し、自分がしくじったことが失敗の原因であること、やり場のない怒りを蔦重に向けて気を保っていたことを認めました。

孫兵衛(片岡愛之助) 大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」19話(5月18日放送)より(C)NHK
孫兵衛は蔦重に火事のときに赤本の中で一枚だけ残った『塩売文太物語』の版木を贈りました。鱗形屋にとってこの作品は絵草紙の始まりのようなもので大切な宝物です。

『塩売文太物語』の版木 大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」19話(5月18日放送)より(C)NHK
蔦重にとってもこの作品は特別なもの。市右衛門(高橋克実)に初めてもらったお年玉で購入した本であり、落ち込む花の井(小芝風花)に後に贈った本でした。
新しいものが勢力を拡大すると、古いものは吞み込まれることもあります。しかし、古いものはなくなるわけではなく、誰かの心に残っており、永久に生き続けるといえるのではないでしょうか。
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この記事は
アメリカ文学研究/ライター
西田梨紗
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