あまりの痛みに身も心も削られ、正直しんどい。元TBSアナが「思わず逃げ出したくなるほど残酷な衝撃作」をそれでも傑作だと感じた理由
アンヌ遙香です。今おすすめしたい映画をフックに今思うことを語る連載で今回は『ガール・ウィズ・ニードル』をクローズアップ。【後編】ではこの作品が傑作である理由についてさらに語ります。 ◀◀◀【前編】を読むにはこちらから◀◀◀
実話に基づく衝撃。ダウマの罪とは?

『ガール・ウィズ・ニードル』 絶賛公開中 © NORDISK FILM PRODUCTION / LAVA FILMS / NORDISK FILM PRODUCTION SVERIGE 2024
ダウマが犯した「罪」とはなんだったのか、これはぜひ劇場でご覧いただくとして、この映画は女の不条理、そして女の心身の「痛み」そのものを観るものに追体験させてくれる作品です。場面ごとに質の違った痛みを与えてくるので、正直観ているだけで身も心もしんどくなるのですが、なぜ私が「傑作だ」というのか。
傑作である理由、それは。
それは、最後のシーンですべてが報われ、救われる気がするから。私は劇場で、自らの頬を伝う涙を指でぬぐいました。私の前に座っていた女性も、かけていた眼鏡をそっと外し、静かに目頭を抑えていました。
ひどくてたまらない現実の連続。でも、最後に報われる瞬間があるからこそ、だからこんなとんでもない人生でもいきてこられたのだ、と感じさせてくれる温もり。まさしく私たちの人生そのものと重なるような、そんな結末。
「糞みたい」でも、生きていける。
人生ははっきりいって、損することだらけです。傷だらけになって泣き叫んで、なんで自分ばっかりこんな目に遭うんだろうとすべてを投げ出したくなる時が山ほど。むしろ生活そのものが孤独で、悩みしかないといっても過言ではない。
それでも、本当の「愛」(それは恋愛とは限りません)を見つけ、そっと微笑みあえる相手に巡り合えたとき、この瞬間のためのすべての辛さがあったのだと思えるのではないでしょうか。あきれるほど長すぎる、良いことがあったことなんてほとんど思いだせないような人生。
過激な表現をいとわず口に出せば「糞みたい」な人生だとしても、最後の最後に救われる一瞬が必ず来ると信じて、私たちは生き続けるのです。その一瞬の輝きのために、自分の命を削り続けるといっても過言ではないのかもしれません。
歯を食いしばって、やっぱりもう一度生きてみようと思わせてくれるのが『ガールウィズニードル』なのです。
『ガール・ウィズ・ニードル』
絶賛公開中
© NORDISK FILM PRODUCTION / LAVA FILMS / NORDISK FILM PRODUCTION SVERIGE 2024
配給:トランスフォーマー
公式サイトはこちらから

アンヌ遙香
元TBSアナウンサー(小林悠名義)1985年、北海道生まれ。お茶の水女子大学大学院ジェンダー日本美術史修士。2010年、TBSに入社。情報番組『朝ズバッ!』、『報道特集』、『たまむすび』等担当。2016年退社後、現在は故郷札幌を拠点に、MC、TVコメンテーター、タレントとして活動中。文筆業にも力を入れている。ポッドキャスト/YouTube『アンヌ遙香の喫茶ナタリー』を配信中。仏像と犬を愛す。インスタグラム:@aromatherapyanne[/hidefeed]
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