インフルエンザ予防に「効果的な食べ物」って?感染してしまったとき「無理にでも病院に行って投薬を受けるべき」なの?

11月のインフルエンザA型が一段落したと思ったら、東京都は1月29日に「注意報基準を超えた」ことを発表しました。A型のときと同様、小学校を中心に、中学・保育所などで感染が拡大している模様です。

 

前編では、健康ビッグデータを活用した弘前大学・京都大学・大正製薬による共同研究の結果*1によって判明した「インフルエンザにかかりやすいタイプ」についてご紹介しました。

◀◀「インフルエンザにかかりやすいのはどんな人?ビッグデータからわかった「5つの特徴」と感染しないために大切な3つのこと」

 

血糖値の急激な上昇を抑える食生活、そして「呼吸器の保護」がインフル対策に

まず弘前大学・京都大学・大正製薬の共同研究チーム*2が行った研究でわかったのは、インフルエンザにかかりやすいタイプとして、血糖が高め、肺炎の既往歴がある、多忙で睡眠不足、栄養不良、アレルギー持ちという5つの特徴があることです。

これらの研究結果を踏まえ、血液の病気を専門とし、感染症やワクチン、海外での病気に詳しい内科医・久住英二先生に今冬の感染拡大に備えるための具体的な予防対策についてお話を伺いました。

 

久住先生はまず、血糖値が高い状態が続くと白血球の働きが鈍くなり、免疫力が落ちてウイルスに感染しやすくなることを指摘します。糖質を極端に減らず食生活は逆に栄養バランスを崩してしまいますが、血糖値を急激に上げない食べ方を意識することで対策は十分に可能だそうです。

 

「主食は白米よりも雑穀米や玄米など食物繊維の多いものを選ぶだけでも効果はあります。また食事をする際には野菜から食べ始めて、たんぱく質、炭水化物と食べる順番を変える、間食では甘い飲み物を避ける、果物を食べるなら食後に少量を食べるといったことに気を付けることも大事です」(久住先生)。

 

また、1日15〜30分のウォーキングなど軽い運動の習慣化が血糖コントロールと免疫維持の両面に効果をもたらします。ただ、もし病院で血糖値が高いと診断された際には必要に応じて薬物治療を行うことも視野に入れることが大事になってくるとのこと。

 

「肺炎の既往歴がある人は、呼吸器が弱っている可能性が高いため、肺や気道の粘膜を守ることが何より大切になってきます。部屋の湿度は40〜60%を保って加湿して乾燥を防ぐこと、外出後や食事前の手洗いによってウイルスを体に入れないこと、粘膜の乾燥を防ぐための水分補給が基本対策です」(久住先生)。

 

また、鼻呼吸をして口呼吸を減らすことで粘膜防御を高めることもできるのだそう。粘膜の健康を支えるため、にんじんやほうれん草に豊富に含まれるβ-カロテンレバーやうなぎに含まれるビタミンA、レモンやキウイ、パプリカに多いビタミンCを意識的に摂るなど食生活でも対策できますよ。

 

さらに寝る前の深呼吸や軽いストレッチで横隔膜を整えるのも効果的だそうです。

 

インフルエンザ予防に効果的な食べ物がある?実は意外なコレ!

12月から1月にかけては何かと忙しく、睡眠不足や乱れた食生活に陥りやすい時期。しかしこれらの要因がインフルエンザにかかりやすい特徴になっていることは忘れないでおきたいですね、まず睡眠不足は免疫に関連するホルモンの乱れを招き、感染リスクを大きく高めてしまいます。長時間寝るだけでなく、生活習慣から質のいい睡眠を確保したいですね。気を付けるべきことは?

 

タコやイカ、魚、牡蠣、あさりに含まれる細胞の代謝と疲労回復のために働く肝機能を支えるタウリンと、魚や肉の皮部分に含まれる成長ホルモン分泌を助けるグリシンを摂取すること。また就寝1時間前にはスマホやPCを切り、電気を消して睡眠導入がスムーズになるリラックスタイムを作ること。さらに温かい飲み物やストレッチで副交感神経を優位にすることも大事です」(久住先生)

 

また毎日同じ時間に起きる睡眠時間が短い人は昼の15分仮眠で体をリセットするなど早寝以外にもさまざまな工夫ができます。

 

栄養バランスが乱れると免疫細胞そのものが弱ってしまうので、インフルエンザに限らずさまざまな感染症や病気にかかりやすくなってしまうことはよく知られているでしょう。

 

「食事で免疫細胞が働きやすい環境を整えるためにも朝食は抜かずに体温を上げ、自炊でも外食でも主食、主菜、副菜を揃え、特にキャベツやレタス、ブロッコリー、柿、みかんといった抗酸化作用の高い栄養素を含む食材を積極的に摂ることが理想的。魚や卵、大豆、鶏むね肉などの良質なたんぱく質を毎食取り入れることも効果的です」(久住先生)

 

最後に「アレルギー体質の人は免疫が常に過剰に反応しているため、炎症で防御機能が疲弊しがち」と語る久住先生。ただ食生活や生活習慣の改善でインフルエンザ対策することは十分に可能です。

 

EPAやDHAを豊富に含む青魚のほか、抗酸化力の高いビタミンCやビタミンE、ポリフェノールを含む果物や緑茶を意識的に取り入れましょう。鼻づまりがある場合は温湿布や入浴で血流を促進し粘膜を柔らかく保つことも大切になってきます」(久住先生)

 

病院受診を躊躇したら選択したいセルフメディケーション

高熱が出たり体がだるくなったりすると、インフルエンザを疑ってすぐに病院に行きたくなるもの。しかし忙しいとなかなか病院に行くことも難しいですし、症状が軽いのに病院に行って他の患者からウイルスをもらいたくないと考える人もいるかもしれません。そうしたときに積極的に活用したいのが「セルフメディケーション」という選択です。

 

市販の解熱鎮痛薬(アセトアミノフェンなど)や総合感冒薬、インフルエンザや新型コロナの感染をセルフチェックできる抗原検査キットなどは薬局でも購入できるので、家に常備しておくと安心です。なお検査は発症から10時間以上経ってから行うと精度が高まるということも覚えておきたいですね。

 

もしインフルエンザ陽性だとわかったら、かかりつけ医での発熱外来受診やオンライン診療を活用し、抗ウイルス薬の処方を受けるのが理想的。インフルエンザは、喉の痛みや鼻水よりも関節痛、筋肉痛、強い悪寒といった全身症状が特徴的です。発症時は水分をしっかり摂り、体を温め、十分な休養をとることが大事になってきます。

 

その後もし高熱が出てしまったら水分と一緒にお粥やうどん、ゼリー、アイスなど食べやすい炭水化物でエネルギーを補給することが大切です。無理に病院へ行かず自宅療養のほうが望ましいケースもある一方で、自力でトイレに行けない、水分が摂れない、尿がほとんど出ない、嘔吐や下痢がひどいといった状態はすぐに医療機関を受診すべき目安だと思っておきましょう。

 

高熱と悪寒といった症状が出てもインフルエンザではなく、細菌性肺炎や溶連菌感染症、急性腎盂腎炎などの病気が潜んでいる可能性も。インフルエンザ検査が陰性でも症状が悪化する、または5日以上発熱が続くといった場合は、必ず病院を受診するようにしてください。

 

インフルエンザにかかりにくくするためには日々の食生活や生活習慣が改めて大事になってくることがわかった今回の研究結果。久住先生の推奨する対策でインフルエンザにならないように気を付けつつ、もしインフルエンザにかかってしまっても正しい知識やセルフメディケーションの活用で自分や家族の命を守っていきたいですね。

 

【お話を伺ったのは】
内科医・血液専門医  久住英二先生

立川パークスクリニック院長。1999年新潟大学医学部卒業。内科医、とくに血液内科と旅行医学が専門。虎の門病院で初期研修ののち、白血病など血液のがんを治療する専門医を取得。血液の病気をはじめ、感染症やワクチン、海外での病気にも詳しい。

 

*1 論文情報
掲載誌:Scientific Reports(Nature系国際学術誌)
論文タイトル:Network analysis reveals causal relationships among individual background risk factors leading to influenza susceptibility
公開日:2025年8月21日 著者:Terada A., et al.
DOI:https://doi.org/10.1038/s41598-025-15131-4

 

*2 弘前大学大学院医学研究科附属健康・医療データサイエンス研究センター玉田嘉紀教授、京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻ビッグデータ医科学分野奥野恭史教授を研究代表者とする共同研究チーム。

 

つづき▶▶▶「インフルエンザにかかりやすい人」はどういう人? ビッグデータからわかった「意外な理由」と感染しないために大切な3つのこと

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