「やめてください」とやんわり伝えたい。どう言えば炎上しない?
「もう本当にやめてほしい」そう思っていることを敬語に直すのって大変ですよね。
心情的には「止めろって言ってるでしょう!?」くらいのこともあるでしょう。今回は、そんな時の言い回しについて。
みんなは「やめて」ってこと、どう言ってる?
「やめて」にはどんな言い方があるでしょうか。
「やめる」には、次のような漢字を使います。
- 止める
- 辞める
- 病める
「辞めてください」は別の問題ですよね(笑)。ここでは、「止めてください」を考えます。
「止める」ことをお願いする「やめて」には次のような敬語表現があります。
- やめてください
- おやめください
- やめていただけませんか
- おやめいただけませんか
また別の言い回しで表現する方法もあります。
- ご遠慮ください
- お控えください
ひとつずつ見ていきましょう。
まずは差し障りない「やめてください」
「やめてください」
「やめて」に「ください」を付けた敬語表現です。丁寧語にあたります。実はこれだけでも十分なんですね。
例
- 廊下での立ち話はやめてください。
- ここでタバコを吸うのはやめてください。
- 飲食物の持ち込みはやめてください。
ちょっぴり色気まで感じる「おやめください」
「おやめください」
「やめ」の方にも「お」を付けて丁寧にしています。「やめてください」よりも少し丁寧になります。
例
- 廊下での立ち話はおやめください。
- ここでタバコを吸うのはおやめください。
- 飲食物の持ち込みはおやめください。
さらに丁寧に「やめて」を言うと……?
「やめていただけませんか」「おやめいただけませんか」
さらに「~していただけないでしょうか?」というお願いを言いながらも、「やめるかどうかはあなた次第ですよ~」「決定権はあなたにあるのですよ~」というニュアンスを含みます。
例
- 廊下での立ち話はやめていただけませんか。
- 廊下での立ち話はおやめいただけませんか。
- ここでタバコを吸うのはやめていただけませんか。
- ここでタバコを吸うのはおやめいただけませんか。
- 飲食物の持ち込みはやめていただけませんか。
- 飲食物の持ち込みはおやめいただけませんか。
ところが、この言い方、「決定権はあなたにありますよ~」といいつつ、どこか上からの高圧的な物言いの要素がなくなりません。それは、決定権はあなたにあるのに、最初から間違った方を選んでいるのですよね?的なニュアンスまで含んでしまうからです。
敬語表現を除いた平素な文で考えると分かりやすいでしょう。
「廊下での立ち話はやめていただけませんか。」は「廊下での立ち話はやめてくれない?」の敬語バージョンとも取れる気がしませんか? どうしたらもっとやんわりとした、良い言い方になるでしょう。そこで考えられるのが「言い換え式」です。
言葉をかえるとグッとオトナな言い回しに
「御遠慮ください」「お控えください」
何かを伝えようと思った時、特に「禁止」のような強い指示を相手に伝えなければいけない時に、伝えたい気持ちはそのまま、言葉だけ言い換えるという方法があります。「やめてほしい」という強い希望は「遠慮してほしい」「控えてほしい」という言葉に置き換えられます。
例 ご遠慮
- 廊下での立ち話はご遠慮ください。
- ここでタバコを吸うのはご遠慮ください。
- 飲食物の持ち込みはご遠慮ください。
例 お控え
- 廊下での立ち話はお控えください。
- ここでタバコを吸うのはお控えください。
- 飲食物の持ち込みはお控えください。
ここで気になるのが、「ご遠慮」と「お控え」の違いです。もちろん、「遠慮」と「控える」は違う言葉ですが、「控えめにする」という共通の意味があります。大きく違うのは、漢語か和語かという点です。「遠慮」は音読みが重なる漢語ですから、固い印象を与え、「お控え」は訓読みの和語ですから、禁止の意味は含みつつも柔らかい感じがします。ですから、どちらかと言えば、しっかり「やめて」と伝えたい場合は「ご遠慮ください」の方が向いていますし、相手に気を遣いながら「やめて」と伝えたい場合は「お控えください」の方が相応しいということが言えるでしょう。
私ではなく、皆で決めたことなのです!
もっとフォーマルな印象を与える場合、私が言っている感をなくす言い方があります。それが、規則でそうなっているのだということを含む言い回し「ご遠慮いただいております」です。相手にとって、敵は「私ひとり」ではなく「企業」「会社」「店」などの組織となります。反論をしてもいいけれど、許可を出すかどうかは、ちょっとめんどくさい手続きを経ないといけないのですというような印象を持ちますよね。
例
- 廊下での立ち話はご遠慮いただいております。
- ここでタバコを吸うのはご遠慮いただいております。
- 飲食物の持ち込みはご遠慮いただいております。
恋愛にも使える?ビシッと断りたい時
「お断り申し上げます」
絶対に「やめて」ほしい場合の敬語表現として「お断り」に「申し上げます」を付ける方法もあります。
- 立ち話をされると、他のお客様に本当に迷惑になる!
- タバコを吸われると、火事になる危険性が高い!
- 飲食物を持ち込むと、持ち込み料をいただきますけれど?
こんな状況下では、敬語特有の遠回しな言い方が効果を発しない場合があります。そのような時にでも「止めろ!」と言えない場合は、「お断り申し上げます」という言葉が良いでしょう。ビシッとした感じがしますし、敬語表現を適切に使っているので、むしろ効果も高いと思います。特に「いただけませんか?」の表現では、先方の判断で決まりますから、相手が「遠慮?しないよ」などということになれば、効果は期待できませんよね。その場合は、ビシッとお断りしましょう。
- 廊下での立ち話はお断り申し上げます。
- ここでタバコを吸うのはお断り申し上げます。
- 飲食物の持ち込みはお断り申し上げます。
クッション言葉を使って、やんわり+ビシッ!
クッションになるフレーズを頭に付ける方法でも、印象は大きく変わります。
「お断り申し上げます」まではキツくはない、でもビシッと伝えたい。こちらの印象も悪くならないようにしたい。そんな時にはクッション言葉が便利です。
「恐れ入りますが」+「ご遠慮」
- 恐れ入りますが、廊下での立ち話はご遠慮ください。
- 恐れ入りますが、ここでタバコを吸うのはご遠慮ください。
- 恐れ入りますが、飲食物の持ち込みはご遠慮ください。
「恐れ入りますが」+「お控え」
- 恐れ入りますが、廊下での立ち話はお控えください。
- 恐れ入りますが、ここでタバコを吸うのはお控えください。
- 恐れ入りますが、飲食物の持ち込みはお控えください。
「申し訳ございませんが」+「ご遠慮」
- 申し訳ございませんが、廊下での立ち話はご遠慮ください。
- 申し訳ございませんが、ここでタバコを吸うのはご遠慮ください。
- 申し訳ございませんが、飲食物の持ち込みはご遠慮ください。
「申し訳ございませんが」+「お控え」
- 申し訳ございませんが、廊下での立ち話はお控えください。
- 申し訳ございませんが、ここでタバコを吸うのはお控えください。
- 申し訳ございませんが、飲食物の持ち込みはお控えください。
どうでしょうか。特に掲示物などではなく、相手に話しかけ「禁止」を伝える場合に、このようなクッション言葉は効果的ですね。
相手に「禁止」を伝える言い方を沢山お伝えしました。「禁止」のレベルや、伝えたい強さ、相手との関係によって、上手に使い分けてくださいね。
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