「毒くない」は誰が仕込んだ? 信長が試した“忠義”と“裏切り”の境界線。孤高のカリスマ・信長の悲しい過去が明らかに……【NHK大河『豊臣兄弟!』6話】
信長の悲しい過去
信長が次郎左衛門を葬ろうとしたのには、彼自身の過去と次郎左衛門の生き方が関係しています。
信長の「あの男は 道三に見いだされ 大沢家の婿となり 次々に親類縁者を亡き者とし 家督をつかみ取ったのじゃ。ハッ どこか わしに似ておる」という言葉が物語るように、信長も自分に謀反を働いた弟・信勝(中沢元紀)を殺めた過去があります。最初に命を狙ったのは信勝の方であり、それも二度繰り返しました。信長は自分の命を守るためにも、信勝を葬るしかなかったのです。
本放送では、少年時代の信長と信勝の回想シーンが挿入されていました。二人は仲が良く、相手を気遣い合うきょうだいでした。しかし、大人になると、信勝は家臣にたきつけられたからなのか、実兄に謀反を企てるようになったのです。
幼い頃に楽しい時間を共有した弟に裏切られ、自分の命を守るため、弟を葬らざるを得なかった信長は、つらかったはずです。
また、次郎左衛門が信長の信用を得られないのは、自身の生き方そのものが原因でもありました。小一郎が「大沢殿は 昔とは違いまする。信長様を裏切ることはございませぬ!」と次郎左衛門をフォローすると、信長は「人は そう たやすくは変わらぬ」「その何よりの証しが 大沢が ここに来たことじゃ[中略]何も変わっておらぬではないか」と返しました。
確かに、信長が言うように、自分が仕えていた主君を裏切り、調略に応じて寝返ってきた人間など、信用できるはずがありません。誰かにそそのかされれば、今度は自分も裏切られるに違いないのだから……。
人を信じること
人は自分さえよければそれでよいと思うこともあり、都合の悪い存在は排除したいと思うこともあります。また、他者を信じるには勇気がいります。特に、信長のように裏切られた経験がある者は、人を信じられなくなってしまいます。
そんな中で、本作には人と人との信頼関係も描かれていました。一番印象的だったのは、兄を信じ続けた小一郎です。信長から「約束どおり お主の手で 大沢を斬れ さすれば 藤吉郎の代わりに 侍大将にしてやる」と命じられましたが、小一郎はきっぱり断っていました。
市(宮崎あおい)もまた小一郎から信長に藤吉郎救済の口添えを頼まれた際、断っていました。信長の孤独をこれ以上深めたくないという、妹としての思いからでした。
次郎左衛門は小一郎と藤吉郎に誘われて、信長のもとを訪れたばかりに、命の危機に立たされましたが、小一郎が自分を守ろうと必死に奔走する姿を見て、自分の身より小一郎を案じるようになりました。

小一郎(仲野太賀) 大沢次郎左衛門(松尾諭) 大河ドラマ『豊臣兄弟』6話(2月15日放送)より(C)NHK
藤吉郎も信長を信じていました。成政から信長が次郎左衛門を殺すつもりだと聞いていたものの、「調略に応じれば 大沢の城と領地は安堵すると 殿は わしに そう申した」と、信長の言葉だけを心に留めていたのです。
最終的に、信長は藤吉郎の忠義、小一郎の兄への愛情、次郎左衛門の仏門入りの覚悟に心を動かされ、次郎左衛門を解放しました。
人は天涯孤独で、他人は裏切るものだと感じることもあります。しかし、信長には誰よりも案じてくれる市、忠実に支えてくれる柴田勝家(山口馬木也)と藤吉郎がいるように、自分は気づいていないだけでひとりぼっちではないこともあります。
藤吉郎と寧々
鵜沼城から解放された藤吉郎は寧々(浜辺美波)の前に跪き、「わしと めおとになってくだされ」とプロポーズしました。寧々が笑顔で受け入れ、二人は晴れて夫婦となりました。

寧々(浜辺美波) 藤吉郎(池松壮亮)ほか 大河ドラマ『豊臣兄弟』6話(2月15日放送)より(C)NHK
また、本放送を観て、あさひ(倉沢杏菜)ととも(宮澤エマ)がいつの間にか結婚していたことにおどろいた視聴者も多いと思います。
史実では、あさひは秀吉の出世のために離婚させられ、別の男と結婚することになるのですが、かれらの今後にも目が離せません。
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