「更年期を怖がらなくていい、絶対に大丈夫だから」。ただし、とても大事なことがあって……植物療法士・森田敦子さんが教える「更年期じたく」

昨年還暦を迎えた植物療法士の森田敦子さん。常々思います、森田さんを表現するための新しい言葉が必要だと。「若々しい」という言葉ではまったく足りない、その髪も肌も姿も声も考えも行動も気持ちもすべてが常に「新鮮な」存在。しかし同時に円熟も迎えようとしている豊かな女性、それが森田さんです。

 

森田さんは今年1月から「森羅塾」という小規模セミナーをスタートしました。かつて一緒に暮らした作家・桐島洋子さんがご自宅のサロンで開いていた伝説の会を、60歳の現在に洋子さんの意思を引き継いで始めたのです。

 

ルボア フィトテラピースクールで後進の育成を続けながら、デリケートゾーンケアブランド・アンティーム オーガニック、コンサル事業や開発事業、日本女性財団理事職など30以上の重責も変わらずハンドル。昨年はご自身の知見をフルに生かした訪問看護施設を愛知県豊橋市と長野県大町市にオープンし、今年は東京にもオープン予定という森田さん。植物療法の知見で人生の最後の瞬間まで女性が潤って幸福に生きられる社会を作り出そうとしています。

 

そんな森田さんは、いったいどのような更年期を過ごしたのでしょうか。「これから更年期を迎える女性に向けて助言をお願いします」とお願いしてみたところ……

【更年期を助けてくれる人たち名鑑】#4

夜中に携帯を見ながらプレ更年期の到来を不安に思う人。「順番がちがうでしょ、と思います」

森田さんの運営するルボア フィトテラピースクールは、フランス植物療法普及医学協会(AMPP)のアジア唯一の認定校。これまで約6000人が卒業しました。

 

「受講生の多くは40代から50代前半の女性たちです。もちろん20~70代の方々もいらっしゃいます。特に不調を起こしてそのケアのために学びにくる方が多く、休職してやってくる人、大きな病気のあとの人、不妊治療をしていた人……。会社にも同僚にも言えずに、何かのきっかけでここを見つけ、いらしてくださいました。私、この学校を宣伝したことがいちどもありません。それでもみなさん、集まってくださいます。とてもうれしいことです」

 

そんな学校で、入校初日に森田さんがルールとして告げることがあるのだそう。

 

「寝る前に携帯を見て目に光を入れるようなことをしていてはダメです、そんな生活習慣を変えられない人ならば全額返金しますから入学はしないほうがいいです。いきなりそう言い出すので、聞いたみなさんはポカンとしています(笑)」

 

その背景には、友人を喪った体験があるのだと言います。

 

「昨年、3人の友人をがんで失いました。乳がん、子宮頸がん、子宮体がん。全員、なんでそこまで頑張るの?というくらい頑張る人たちでした。命を守るために絶対必要なのが生活習慣、その中でも大切なのが質の高い睡眠をとることです。寝る直前に視神経に強い光を入れることで睡眠ホルモンの一つ・メラトニンが従来の働きをしなくなります。そんな体のサインを大切にしてほしいのです」

 

ついつい見てしまう携帯を我慢するのは相当の努力のいること。しかし、これを守った人は、入校してすぐに外見からして変わるそうです。

 

「顔色も変わり、笑顔も違ってきますから、あ、守ってるなってわかるんです。まず、目の潤いが変わります。きちんと涙液が分泌されるようになるのね。あとでお話しますが、身体に何より大切なのは潤いです。それを損なうようなことはしてはならない。だからこそ私は『夜中に携帯を見てしまうのに、プレ更年期どうしようって、心配の順番が間違い』とまで思うのです。体が出している声、バイタルサインをきちんと聞いてあげてほしいのです」

 

ステロイドや薬が自分の細胞をどんどんだめにしていったときもあった

そんな森田さんと植物療法の出会いは、20代に苦しんだ疾患がきっかけでした。大学を卒業し、航空会社の客室乗務員として働いていたころ、自己免疫疾患のひとつ、膠原病を発症し8カ月間入院。呼吸ができなくなり、あちこちの筋肉が動かなくなります。投与されるステロイドや薬は確かに症状を抑えましたが、その副作用にも追い詰められていったといいます。

 

「髪の毛も抜け、肌なんて炎症が起きてお化けみたいにボロボロで。看護師さんに八つ当たりして迷惑をかけて、ますます心が荒んでいきました。薬が自分の細胞をどんどんだめにしていくさまがあまりにすごすぎて悲しかった」

 

バブル真っただ中の時代でした。「女性は寿退社が幸せ」と言われながらも、なんとか治療を遂げて職場に復帰。しかし「どこか知らない場所へ逃げ出したい」という気持ちが膨らみ、植物療法を学ぶという名目でパリへ渡ります。1992年のことです。

 

「人間の体の仕組みを大学で勉強しなおすと決めて、職場に相談しました。寿退社が王道の当時、体を壊して留学なんて『負け組の優等生』もいいところでしたが、一緒に働いていたみんなは『留学がんばれ!』って大パーティをしてくれて。笑顔で送り出してくれたんです」

 

留学先のパリ第13大学医薬学部では、生化学と薬草学を体系的に学びます。植物の構造と人体への作用を解剖学的に理解する、本格的な医薬学のアプローチ。病院実習では、西洋医学と並行してハーブが処方されているさまを目の当たりにしました。

 

「私の病気はフィトテラピーだけでよくなったわけではありません。でも、こうした植物が体にどのように代謝されてホルモンがどう動き、成長ホルモンが動くのかを全身で体験できた。学んだことを自分の身体に実践していくに従ってゆっくりと健康状態が改善され、最終的にはステロイドをやめることができたんです」

 

帰国したのは32歳のころ。以来「予防とケア」を徹底しながら暮らします。薬の影響で8年間止まっていた生理が突然戻ったのは38歳のときでした。「戻るんだな、嬉しいな」と思ったそのあと、なんと43歳で自然妊娠。

 

「30歳の時点で医師にも『子どもは産めません』と言われていたので、主人には養子に入ってもらっていました。しかし、私の『予防とケア』は常に本気、徹底しています。息子が4000グラムで生まれたとき、本当にありがたかった。子どもが笑っている、朝がくると目が覚める、天気がいい、そんなことも全部ありがたい。20代からの大病で私の死生観は変わりました。もうあんな思いはいやだ、という経験があるから」

 

更年期はホットフラッシュもうつもほぼなく、駆け抜けた。「あったのは年齢相応の老化、それだけです」

そんな森田さんのプレ更年期(35〜45歳ごろ)から閉経(50歳)にかけての体験を尋ねると、意外な答えが返ってきました。

 

「更年期もプレ更年期も、ほとんどなく駆け抜けました。ホットフラッシュもうつもほぼなくて。あったのは老化。それだけです」

 

言うまでもなく、森田さんの「予防とケア」は徹底しています。「この季節はここが弱い」「これは眠りに影響する」「これは免疫力を下げる」という知識を積み重ね、淡々と実践してきたのだといいます。なかでも徹底したのが、骨と筋肉のケアでした。

 

「筋肉からはマイオカインという筋ホルモン、骨からはオステオカルシンというたんぱく質の一つが分泌されて、私たちの体を補ってくれます。ただ単にホルモンが枯渇して更年期症状が出るわけではない。こうしたことを知ることも大事ですが、もっと大事なのは知った上でケアを自分で選び、実践し続けられることなのです」

 

最近は更年期という言葉が知られるようになったせいか、怖がりすぎる人も増えた気配です。

 

「でも、怖がる必要は実はないの。人は絶対に更年期を迎えるし、いろいろな症状が起きやすくなります。激動期を通っていくけど、薬もピルも含め選択肢がいっぱいあるから、起きてもいないことを心配しなくていい。日々の生活を見直すだけで更年期はひどくならないですよ」

 

森田さんはそう力強く答えてくれました。

 

「実は私は48歳のとき、もう一回自然妊娠をしました。日本の婦人科の先生がたには驚かれましたが、ヨーロッパの婦人科医たちは『あたりまえじゃない』と言うんですよ。ちゃんとケアをしたなら妊娠する、それを彼らは知っているから。『なのに日本の女性は、妊娠したいと言いながらも頑張りすぎ、働きすぎ、体を壊しすぎている』と」

 

日本の女性はあまりにも自己犠牲が普通すぎる、そう指摘されるそうです。

 

「なぜ自分の心や体をケアする感覚がないのか、生理のときだけでなく排卵のときに体を温めるべきなのにそもそも自分がいつ排卵しているのかを知らない。排卵痛があるのが普通なのにそれも知らず、いつでも仕事を頑張り、体を冷やし、冷たい水をごくごく飲んで、サラダばかりもりもりと食べて、まわりの人や仕事優先で生きている、と」

 

つづき>>>更年期を恐れないで。「日本人がずっと続けてきた食事と暮らしに立ち返るだけで私たちは大丈夫です」植物療法士・森田敦子さんが語る

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