医師が教える!夏本番に「やせ体質」になる3つの呪文
はじめまして。埼玉県で医師をしています奥平智之です。食事や栄養は、心や身体、そして美容にも大きく影響しています。
私はこの事実を、ひとりでも多くの方に知っていただきたいと思い、病院での診療に加えて、書籍や講演会を通じて情報発信をしています。この度、3回の連載の機会をいただきましたので、どうぞよろしくお願いします。
第一回目は、やせ体質になる方法
第一回目は、やせ体質になる方法について書きたいと思います。
「太りたくないと思って食べる量を減らしても、体重が増えてしまう」「ダイエットで、やっとやせたのに、普通に食べ始めると体重は戻ってしまう」そんな悩みをお持ちではありませんか?
3つの呪文は、「筋肉」「ミトコンドリア」「インスリン」です。この3つと上手くつきあえば、心も体も健康にやせるだけでなく、美容にもプラスの効果が得られます。ひとつずつ、わかりやすく説明しますね。
呪文1.「筋肉」をつけて、燃やせる体にしよう
筋肉量が増えると基礎代謝が上がります。基礎代謝とは、何もしなくても体が自動的に行う活動で必要とするエネルギーのことです。筋肉量が多い方が、この基礎代謝エネルギーを多く必要とするわけですから、同じものを食べても太りにくくなります。食べて使われずに余った食物は最終的に脂肪になるので、筋肉量が少ない人は太りやすいというわけなのです。
おすすめは有酸素運動。ヨガやピラティスなど息が上がりすぎない運動がいいですね。毎日の歩く距離を長くしたり、階段を使ったり、電車で座らずに立ったりと、普段の積み重ねも大切です。
筋肉をつけるには、もちろん運動が必要ですが、筋肉の材料となる「たんぱく質」が必要不可欠です。太りにくい体質になるには、たんぱく質をしっかり摂る必要があります。たんぱく質が不足すると、私たちのからだは筋肉を分解してしまいます。たんぱく質は、からだのさまざまな生命維持活動に必要な材料。たんぱく質を食べる量が少ないと、筋肉はアミノ酸(たんぱく質を構成するの最小単位)に分解されて、からだがより必要とする酵素や免疫、脳内ホルモンなどを作る材料に使われてしまいます。
ですので、たんぱく質が不足すると、やせにくくなるだけでなく、心身にさまざまな影響が出てしまいます。疲れやすくなったり、免疫力が落ちて、風邪を引きやすくなったり。また、憂うつ、不安、イライラなど、こころの状態や、睡眠の質にも影響を与えます。
呪文2:鉄とビタミンB群であなたの「ミトコンドリア」を喜ばせよう
「ミトコンドリア」ってご存知ですか? 私たちの全身の細胞にあるエネルギー産生工場のことです。この工場で、脂肪やたんぱく質、糖質をエネルギーに変えるためには、ビタミンB群や鉄、マグネシウムが必要不可欠。
特に鉄が十分にあると、ミトコンドリアで効率よく大量のエネルギーを産生することができます。逆に鉄が足りないと、余った食べ物は最終的に脂肪として蓄えられてしまいます。また、蓄えてしまった皮下脂肪を効率よく燃焼するためにも、これらの栄養素は必要で、意識してしっかり摂ると、やせやすくなります。
ミトコンドリアの機能を高めるためには、体温を上げることも重要です。冬の冷え対策はもちろん、夏にはクーラーや冷たいものの飲みすぎで体を冷やさないようにしましょう。運動して体温を上げることもいいでしょう。
ちなみに、先ほどお伝えした栄養素がしっかりあると、エネルギー産生効率がよくなるので体温が上がりますが、足りないと冷え体質となり、悪循環に陥ってしまいます。
呪文3:肥満ホルモン!「インスリン」を出しすぎない食生活を
やせ体質になるには、「インスリン」を分泌しすぎないことが重要です。インスリンは、食事で上がった血糖を下げるホルモンですが、別名「肥満ホルモン」とも呼ばれていて、余ったエネルギーを脂肪として蓄えてしまうホルモンです。
インスリンの分泌を抑えるキーワードは、低糖質・食事のタイミング・ストレス対策。お菓子、ジュースなどの過剰な糖質はもちろん、パン・麺・ごはん中心の食事は、血糖値の急上昇を招き、インスリンの分泌を促してしまいます。お菓子、ジュースなどはやめて、おかずをたっぷり食べて、主食を減らす低糖質な食事をすると、インスリンの分泌は抑えられます。
同じものを朝・昼・晩に食べたとして、インスリンの分泌量が一番少ないのはいつでしょうか?答えは朝です。これからの活動にエネルギーが必要なので、体が食べたものをエネルギーに変えることを優先し、インスリンの分泌を抑えるからです。
逆にインスリンの分泌が多いのは、そうです、晩です。食事の後は、くつろいで寝るだけ。エネルギーはそんなに必要ないと体が判断し、インスリンをたくさん出して、脂肪として蓄積してしまうのです。
また、食事の間隔を十分にあけて、インスリンを下げることも大切です。糖質に関わらず、こまめに何か食べてばかりいると、インスリンが常に分泌されるため、脂肪は分解されずため込むばかりです。インスリンを分泌しない時間を作るために、不要な間食を減らしたり、週に1~2回、昼食などをスキップしたりするといいかもしれません。
ストレスや睡眠不足も要注意です。インスリンの分泌を促してしまうからです。ストレスや睡眠不足により、コルチゾールという抗ストレスホルモンが分泌されます。コルチゾールは血糖を上昇させるホルモンでもあり、インスリンの分泌を促します。やせ体質になるには、ストレスを減らしてしっかり寝ることも大切です。
やせたいなら、糖質オフのまえに、おかずをしっかり食べること!
やせ体質になるキーワードについてご理解いただけましたでしょうか? では、結局、どんな食事をすればいいのでしょうか?
お菓子・ジュースをやめるのはもちろんですが、私のオススメは、おかずをしっかり食べる食事です。たんぱく質やビタミン、ミネラルなど、体が必要とする栄養素をしっかり摂るためには、おかずをしっかりと食べる必要があり、そうすることで、必然的に主食の糖質量が減り、低糖質な食事となります。
鉄やビタミンB群を補給する上で、オススメの食材は、肉・魚などの動物性たんぱく質です。腸内環境を意識して、食物繊維や発酵食品も摂りたいですね。マグネシウムは、にがりをおすすめしています。ペットボトルに、にがりを数滴たらして持ち歩くといいでしょう。
このような食事が美容にどのようにいいのか知りたいですよね?でも、もう文字数が足りないので、それは次回に詳しくご説明したいと思います!では!
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