もう、故郷に帰っていいですか?-42歳・栄子の場合(1)-【40女の恋愛事情・story5】
幾つかの会社を移りながら、淡々と事務仕事を続けてきた。
多くの友達にも恵まれたし、自分で自分を養える程度のお給料はもらえていたし、特に不満もなく、今日までやってきたと思う。
このまま、派遣のプロという顔をして、働けるだけ働きたい、そう思っていた。
一体何歳まで働かせてもらえるのか、それはケースバイケースだと思うし、いざ仕事がなくなったら、その時に考えればいい。そう思っていた。
なんとかなる。
そんな気持ちが一気に崩されたのは、病気になってからだった。
突然の入院と2ヶ月近い静養。
女性特有の病気での手術で、派遣先で働き続けることはできなくなった。
突然、仕事を失ったことで、私の気持ちは大きく揺らいだ。
また倒れたら。
今度はもっと入院が長引いたら……。
たとえ失業保険をもらえたとしても、家賃や生活費は赤字になるかもしれない。
大した蓄えもないし、やっていけるのだろうか。
不安でグラグラになった私は、実家に戻り、何日かゆっくり過ごすことにした。
半年ぶりの故郷は、静かに私を迎えてくれた。
母も、ひとりで寂しいのだろう、しきりに私に帰ってこいとすすめてくる。
「東京で無理したから、体を壊したんだ」
そんな風に言ってくる。
この記事は
作家&エッセイスト
内藤みか
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