乳がんが7倍、東京のキャリア女性は危ない!?未産女性の危険因子とは <乳房編>

東京の罹患率は突出して高い

国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」によると、乳がんの死亡者は1958年の1,692人から2014年には約13,240人と、増加の一途をたどっています。また罹患数も、1975年の11,123人から2012年には82,773人と、約7倍に増えています。

 

乳がんの発症率を年齢別でみると、30歳代から増加しはじめ、40歳代後半から50歳代前半にピークを迎えます。ちょうど女性の働き盛りの時期と重なり、壮年期(30歳から64歳)の死亡原因1位になっています。

 

乳がんの罹患率に関して、他にも気になるデータがありました。国立がん研究センターが2012年のデータに基づき発表した「全国がん罹患モニタリング集計」によると、都道府県別での乳がんの罹患率は東京都が突出して高くなっています。このことに関して同研究センターは、東京は結婚年齢が高く、未産女性が多いことが影響している可能性があると見解を示しています。

 

日本経済の中心地・東京にはキャリア女性が多く、地方に比べて未婚化・未産化が進んでいます。ちなみに、2015年の出生率は全国平均が1.46で、東京都は1.17と出生率が全国で最下位。出生率の低下と乳がんの罹患率の因果関係は、“おこなしさま”にとって無視できない問題です。

 

40代の働き方に「昭和の根性論」はNG

乳がんが増えてきた背景には、現代女性の出産回数が減ったことに加え、ライフスタイルの変化が大きく関わっていると考えられています。女性の社会進出が進み、不規則な生活や食事、疲労やストレスなどでホルモンバランスが崩れることが、女性疾病を招きやすくしています。

 

40代以降では責任を伴う仕事に就くことが増えるので、無理をしなければいけない場面も多々あるでしょう。ましてや、子どもがいない“おこなしさま”は、産休や育休で休んでいる同僚や後輩のサポートで、仕事量が増えてしまうこともあるかもしれません。若くない肉体に「昭和の根性論」で乗り切ろうとすると、身体に負荷がかかってしまいます。

 

多忙な中でも、できるだけ規則正しい生活習慣やストレスを貯め込まない環境作りを意識することが大切です。また、乳がんが増加している一因として、食生活が欧米化してきたことも上げられています。40歳を過ぎたら、バランスのとれた食事や適度な運動をすることを心がけましょう。

 

2人に1人が健診を受けていない

現在、乳がん罹患率は女性のがんで第1位です。それなのに日本では、検診率が世界に比べて驚くほど低いことをご存知ですか。平成25年に実施された「国民生活基礎調査」によると、日本のがん検診受診率は、乳がん43.4%。これは、OECD(経済協力開発機構)加盟国30カ国の中で最低レベル。

 

海外の乳がん検診受診率は「OECD Health Data 2013」によれば、アメリカ 80.4%、イギリス 72.6%、オランダ 82.1%、韓国 74.1%と高い検診率を保っています。日本では子宮頸がんの検診率も乳がん同様、世界のなかではまだまだ低いのが現状です。

 

乳がんの検査方法は、主に「視診・触診」、「乳房X線検査(マンモグラフィー)」、「乳房超音波検査(エコー)」があります。圧迫板で胸を挟んで撮影する「マンモグラフィー」は、個人差はありますが痛みを感じることがあります。私も毎回「早く終わって!」と心の中で叫んでいます。それでも検査することで早期発見ができるなら、耐えられる痛みです。加えて、乳がんは自分で発見できる数少ないがんの一つなので、セルフチェックも習慣づけるようにしましょう。

「自分は大丈夫」とは思わないこと

乳がんは子どもを産んでいないことに加え、血縁関係の乳がん歴も危険因子を高めます。アメリカの女優・アンジェリーナ・ジョリーさんが、乳がん予防のために乳房の手術をしたことは世界中で注目を集めました。

 

彼女の選択を促したのは、遺伝子検査で乳がんのリスクが発覚したことと、祖母、母、叔母が乳がんと卵巣がんで亡くなったことでした。彼女は後に、卵巣・卵管の摘出手術も受けています。予防のために手術をすることはハードルが高いですが、危険因子が多いほどリスクが高まることを認識することは重要です。

 

出産を経験していない“おこなしさま”は、エストロゲン過多によって子宮や乳房など、女性特有の病気になりやすい要素をもっています。乳がん以外にも、30~50代でよく見られる良性疾患の「乳腺症」も、出産経験のない人に多い傾向がみられます。「自分は大丈夫」という根拠のない自信を持たず、日頃から予防意識を高めるようにしてください。知っているだけで未然に防ぎ、重篤な状態になる前に手を打てることもあります。

 

40代以降になったら、これまで以上に自分の身体のことを考慮して、実行していくことが不可欠。過剰に気にしすぎるのはよくありませんが、適切な知識をもち、事前に対応すれば病気のリスクも軽減できます。なにより病気は早期発見、早期治療が最善策。そのためにも定期的に健診を受け、この世にたった一つしかない身体を「自分ファースト」で守ってあげましょう。

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