「それ、愛じゃないよ」友人の一言で気づいた監視生活の異常さ、妻が支配から抜け出すまで
「愛している」と言われると、迷ってしまう
本当は、夫のことが怖い。それでも「愛している」という言葉に満足し、恐怖の記憶が少しずつ薄れていくのです。Sさんは、子どもの頃、親から十分に愛されていると感じた記憶がありませんでした。いつも親の顔色をうかがい、機嫌を損ねないように過ごしてきたのです。
本当は、愛されたかった。
その思いが心の奥に残っていたからこそ、「愛している」と言われるたびに心が揺れ動き、夫の行為に意味を与えようとしてしまったのです。本当は苦しい、怖いと感じている。それでも「愛されている」という感覚にしがみつき、違和感に蓋をしてしまう。「私を愛してくれる夫を信じよう」そう考え続けるうちに、3年以上の月日が流れていきました。その間、Sさんは夫の暴言と優しさの繰り返しの中で、正常な思考ができなくなっていきました。
監視され行動を制限され続ける環境の中で、人の感覚は少しずつ変わっていきます。常に監視されていると、緊張の中で生活することになります。その状態が続くと、人は「どうすれば安全か」を最優先に考えるようになります。自分がどうしたいかではなく、相手がどう反応するかを基準にするようになるのです。言葉を選び、行動を制限し、相手の機嫌に合わせて感情を抑える。
その積み重ねの中で、「自分はどうしたいのか」という感覚が少しずつ薄れていきます。そして気づいたときには、「このままでいるしかない」そう諦めてしまうのです。
「これが普通なんだ」「自分は愛されているんだ」
そう思い込むことで、自分を保とうとしていたのです。
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モラハラカウンセラー
麻野祐香
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