出自ではなく才能で家臣を抜擢。城主となった藤吉郎(池松壮亮)と小一郎、「向こう側にいた二人」は、どんなリーダーになるのか【NHK大河『豊臣兄弟!』18話】 

2026.05.13 LIFE

*TOP画像/藤吉郎(池松壮亮) 小一郎(仲野太賀) 大河ドラマ『豊臣兄弟!』18話(5月10日放送)より(C)NHK

 

戦国時代のど真ん中を舞台にした『豊臣兄弟!』(NHK総合ほか)の主人公は仲野太賀が演じる豊臣秀長。兄弟の絆で“天下統一”という偉業を成し遂げた豊臣兄弟の奇跡を描いた大河ドラマ『豊臣兄弟!』(NHK総合ほか)の第18話が5月10日に放送されました。40代50代働く女性の目線で毎話、作品の内容や時代背景を深掘り解説していきます。

 

藤吉郎は立派な殿様に……城持ちの夢が実現

本放送の幕開けとともに現れた藤吉郎(池松壮亮)と小一郎(仲野太賀)は、立派な着物に身を包み、貫禄があふれていました。藤吉郎は羽柴筑前守秀吉と名を変え、織田家の家老に。一方、小一郎は羽柴小一郎長秀となりました。小一郎に「殿」と呼ばれた藤吉郎は喜びを噛みしめ、「殿」と繰り返し呼んでもらいたいゆえに、聞こえないふりをする場面も……。藤吉郎は浅井長政(中島歩)の旧領・北近江を与えられ、長浜城を築城。小一郎とともに「これが 我らの城 我らの治める国じゃ」と満ち足りた表情を浮かべていました。

 

史実では、豊臣秀吉が長浜城主となったのは38歳で、この段階で母と妻を尾張から呼び寄せています。18歳の頃から織田信長に仕えているため、城主になるまで約20年もの月日を経ました。本放送でも、なか(坂井真紀)、とも(宮澤エマ)、あさひ(倉沢杏菜)、寧々(浜辺美波)が同じ城で暮らす様子が描かれていました。彼女たちの着物も立派になり、暮らしの余裕が表情にも表れています。

あさひ(倉沢杏菜) 大河ドラマ『豊臣兄弟!』18話(5月10日放送)より(C)NHK

寧々(浜辺美波) 小一郎(仲野太賀) 大河ドラマ『豊臣兄弟!』18話(5月10日放送)より(C)NHK

しかし、一国の長は決して楽ではありません。小一郎の提案で年貢や役(えき)を免除し民を集めたものの、“魚を横取りされた” “橋が壊れそう”などの要望が続きます。小一郎は、中村でもこうしたトラブルの対応を中村でも行っていましたが、仲間内の揉め事のときのようにはうまくいきません。

 

さらに、盗人トラブルも発生。盗人と疑われ、追いかけられたのは藤堂高虎(佳久創)でした。高虎は銭を盗人から取り返し、持ち主に返そうとしたところ、盗人に間違えられたのです。

高虎(佳久創) 大河ドラマ『豊臣兄弟!』18話(5月10日放送)より(C)NHK

小一郎は数々のトラブル対応に疲弊し、藤吉郎は越前一向一揆の討伐でくたびれていたところ、竹中半兵衛(菅田将暉)が「この城には 肝心なものが足りておりませぬ。人でござりまする」と現状を伝え、二人に戦場でも国づくりでも、信用できる有能な家来を召し抱える重要性を説きました。

 

小一郎と藤吉郎、出自を問わず家臣を募る

小一郎と藤吉郎に今があるのは、織田信長(小栗旬)に才能を認められ、活躍の場を与えてもらったからです。彼らも信長に倣い、家臣を本人の能力だけを基準として選ぶことにしました。

 

「わしは もともと武家の生まれではない。百姓の生まれじゃ。こたびは広く呼びかけた。なぜなら どんな身分の者にも 才がある者はおるからじゃ」

 

藤吉郎は信長の“出自で人を評価しない姿勢”に心惹かれ、信長に20年以上にわたって仕えてきました。そして今は、他者にチャンスを与える立場になったのです。

 

現代社会では“能力主義”といわれながらも、出身地や出身校といった本人の力では変えられない要素が依然として影響を与える場面もあります。だからこそ、信長や藤吉郎らの人に対する評価の基準には一庶民として希望を感じられます。

 

藤吉郎は、集まった候補者の中から3人に絞るため、試験を行いました。蜂須賀正勝(高橋努)との槍試合、籠城時の対応力を問う課題、そして想定外のトラブル発生時の動きを見る試験が課されました。

 

いずれの試験でもひときわ目を引いたのが、盗人の疑いをかけられていた高虎でした。彼は槍試合で仲間が命を落とした(実際は死んだふり)にもかかわらず、戦わなかった者が試験を通過したことに不平等を訴えました。また、米俵の中身が炭だと見抜いて指摘。さらには、火事を装った試練では誰よりも早く危険を察知しながらも逃げずに仲間を救出するなど、卓越した行動を見せました。

高虎(佳久創)ほか 大河ドラマ『豊臣兄弟!』18話(5月10日放送)より(C)NHK

高虎(佳久創) 三成(松本怜生)ほか 大河ドラマ『豊臣兄弟!』18話(5月10日放送)より(C)NHK

高虎はこの試験での言動だけでも、万人に受け入れられる性格でないことがうかがえます。小一郎はそんな高虎を高く評価。気が短いのは素早く知恵が回る長所の裏返しだと考えました。また、常に正しい行動を取るあまり周囲に理解されず苛立つ彼の心情にも、深く共感していました。

 

最終試験に残ったのは、高虎、石田三成(松本怜生)、平野長泰(西山潤)、片桐且元(長友郁真)の4人でした。藤吉郎が課した最終試験は、4人で話し合って落第する1人を決めるという内容でした。藤吉郎は信長の命令で数々の調略を行ってきたからこそ、候補者たちの調略力を見極めようと思ったのでしょう。三成は且元に自ら折れるよう頼みました。優秀な且元であれば、他にお仕え先はいくらでもあると考えたからです。三成のこの案は、多少自己中心的にも見えますが、理にかなっています。且元にとっては堪えたものではありませんが、力のない者が落第して4人の中から路頭に迷う者が出るよりも、優秀な者が別の道を探る方が、4人全員が最終的に安定した身分を手に入れられる可能性は高いでしょう。

 

続いて、長泰が「誰が 羽柴家の家臣として 一番役立たないか。ここまでの 取り組みを考えれば 藤堂殿 やはり そなたがふさわしくない」と、口を開きました。高虎は短気ながらもこの失礼な発言に怒りを露わにすることもなく、4人の中で自分が最もふさわしくないと冷静に認めていました。高虎が身を引こうとしたところで、三成が新たな案をひらめきます。藤吉郎に「誰も外れませぬ」と伝え、自分と高虎の禄を1人分に抑えることで、4人全員を雇ってもらうことを試みたのです。

高虎(佳久創)、三成(松本怜生)、長泰(西山潤)、且元(長友郁真) 大河ドラマ『豊臣兄弟!』18話(5月10日放送)より(C)NHK

高虎(佳久創)、三成(松本怜生)、長泰(西山潤)、且元(長友郁真) 藤吉郎(池松壮亮) 小一郎(仲野太賀) 大河ドラマ『豊臣兄弟!』18話(5月10日放送)より(C)NHK

そして、藤吉郎が出した答えは、三成、長泰、且元を自らの家臣とし、高虎を小一郎の家臣とすることでした。

 

小一郎と藤吉郎はどんな国をつくるのか

本作のラストで、小一郎と藤吉郎は「国を治めるのは たやすいことではないからのう」と、未来を懸念していました。そんな二人の背中を優しく押したのは、なかでした。

 

「あんたらなら できる。 いや あんたらだからこそ できるんだ。だって あんたらは ず~っと 向こう側にいたんじゃないか」

半兵衛(菅田将暉) 高虎(佳久創)ほか 大河ドラマ『豊臣兄弟!』18話(5月10日放送)より(C)NHK

本作では、市が「あの子ら(我が子)が 同じ思いをせずにすむ世を 兄上がつくってくだされ」と信長に頼んでいましたが、小一郎と藤吉郎も“民が笑って暮らせる世をつくりたい”と願っています。百姓としての苦労を知り、出自ではなく本人の力を認めてくれる人の尊さも知っている二人だからこそ、民を幸せにできるはず。

 

また、”向こう側にいた人”がどんなリーダーになるかは多くの人が関心を抱く問題です。例えば、現在放送中の『銀河の一票』(フジテレビ系)はスナックのママ・月岡あかり(野呂佳代)が都知事選に出馬するストーリーです。

 

最後に、豊臣秀吉を派手好きの成り上がりで、残酷というイメージを抱く人もいますが、素朴で心優しい一面もありました。例えば、故郷・中村の百姓から好物のごぼうを贈られた際には大いに喜び、その村の税を免除したと伝えられています。関白になっても生まれ育った田舎を蔑むことはなく、かつての仲間たちに思い遣りの心を持つこともあったのです。

 

本記事では、第18話の見どころを振り返りながら、城主となった藤吉郎と小一郎の目指したであろう未来についてお届けしました。

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