もし40代独女が海外で運命の人に出会ったら…?【国際結婚】のリアル

2018.12.24 LOVE

あなたの周囲に、外国籍の人と結婚した日本人はいますか? もし外国籍の結婚相手が日本に引っ越してくる場合、実は、ファーストステップではすべての結婚が「偽装かもしれない」前提で扱われるらしい……?

 

「外国籍の人と日本籍の人が結婚し、日本に一緒に住む場合、外国籍の人は日本のビザ(在留資格)を取得して生活することになります。すでに日本で就労して安定的なビザ(在留資格)を取得している人との結婚ならよいのですが、海外で出会い、結婚をきっかけに日本へという場合は、そう簡単ではありません。そもそも、国際結婚には特有のいろいろな苦労があります」。

 

こう教えてくれたのは、外国人の日本ビザ(在留資格)の取得を専門とする東京・池袋の行政書士法人KIS近藤法務事務所代表社員・社会学者のこんどう秀将先生です。詳しい話をうかがいました。

 

【連載・国際結婚すると起きること ♯1 はじめに】

結婚の“実態”があることを「証明」しないとならない!

–あなたが幸福な恋愛をしているかどうかとは別に、ビザ(在留資格)取得のための審査を行う入国管理局(以下入管当局当局)では、まず日本人同士の結婚をモデルとした「良き結婚の“実態”があるかどうか」をチェックしていると感じています。

 

その理由は、特に経済的に豊かな国――先進国では、そこで稼げる(母国と比較して)“高額な賃金等”を目的とした「偽装結婚」が多いからです。例えば、と結婚した外国人は、在留資格「日本人の配偶者等」という活動制限のないアドヴァンテージが高いビザ(在留資格)を手に入れることができます。

 

この点、私が取り扱う案件の中にも、40代の女性が海外旅行中に現地の男性と恋に落ちる例はあります。ですが、それが“運命の出会い”であっても、やはり、出会いから結婚までの期間が短ければ、入管当局は「偽装ではないか」という前提で審査します。理由は、後述します。

 

私たち入管当局実務専門行政書士(Immigration Lawyer)は、外国人及びその配偶者である日本人と入管当局の間に立ち、ときには私たちを騙して手続を進めさせようとする偽装結婚ブローカーの存在を見抜き、また知識がなく右往左往する外国人と日本人をサポートする立場といえます。

 

入管手続で難しいのは、前述のとおり旅先で恋に落ちてゴールインする《スピード婚》、年齢の差が開いている《年の差婚》などの「偽装が疑われやすい」ケースです。これらは、入管当局に「結婚の”安定性”がない」、さらには「結婚の”実態”がない」と評価されます。

 

実際、私が、相談も含めて数多くのケース――特に、年齢が高い日本人と若い外国人とのカップル《年の差婚》――に対応していると「大丈夫かな……」と心配になるものもあります。もっとも、実際は、そう私が感じただけで、上手く行くカップルも多くいます……そもそも他人の“結婚生活”の心配するほど、私自身の経験は足りません。

 

ですが、語弊を恐れなければ、「仮に片方(外国人)が経済(ビザ)目的でも、片方(日本人)が本気なら、やはりそこには結婚の“実態”が生まれるので「偽装結婚」とは言えない」と言えると考えます。

 

そもそも、人の「心の中」、本心というのは自分自身以外には理解できません。もしかして、自分自身でもわからないかもしれません……。

 

ですから、私たち行政書士は、クライアントであるカップルから“結婚に至った経緯”を丁寧にヒアリングし「二人の話に矛盾がないか」等を見極めます。

 

そして、彼らの“結婚に至った経緯”を裏付ける“客観的資料”を求めます。

具体的には、交際写真、日本人側の親族や友人達との交流、通話記録、交際もしくは同居に関するレシート等――「結婚するのであれば存在し得るもの」となります。

 

そのため、もし、あなたが出会って間もない外国籍の男性と結婚したいのなら「交際記録」を残すことが大切です。《スピード婚》が、入管当局から「偽装結婚」を疑われやすいのは前述どおりです。

 

これが、日本人同士の結婚なら、第三者に見せる「交際記録」を残すなんて考える人はいないでしょう。まぁ、SNS全盛時代なので、一概には言えませんが……。

 

入管手続においては、この「交際記録」が全てだと言っても過言ではありません。つまり、第三者から見て「わかりやすい結婚」「わかりやすい交際」でなければならないということです。

 

あなたは、「こんなのは非常にバカらしい!」と思われるかもしれません。

 

ですが、「本当の結婚(偽装結婚ではない)かどうか」ということを第三者である入管当局が判断するには、あなたと外国人配偶者を客観的に証明する「交際記録」に拠るしかないのも事実なのです。

 

国際結婚にも大きなトレンドがあります

男女を問わず、日本人との結婚数がいちばん多いのは中国人です(2018年6月現在31,607人)。フィリピン人も相変わらず多いですが(2018年6月現在26,538人)、中国は、男女ともに多いのが特徴であり、フィリピンは女性が多いのが特徴です。

 

そして、最近増えていると感じるのは、40代前後の日本人女性が途上国出身の若い外国人男性と結婚するパターンです。

 

前述の通り、人の「心の中」、本心というのは第三者には理解できないので、本気でお互いが向き合っているのなら、私たち専門家は応援する立場ですが、正直トラブルも多いです。

 

結婚とは“生活”そのものであり、日々変化します。

 

だからこそ、お互いが歩み寄れないのなら継続できません。
それが、生まれた国が異なり、その「文化的背景」が違う者同士の結婚である「国際結婚」であればなおさらでしょう。

 

なのに、日本人女性と外国人男性との「国際結婚」が増えています。
私は、こうした「国際結婚」が増えている背景には、日本人女性のキャリア構築の難しさがあると考えています。

 

男性社会で、自分たちが働きやすい「場」を作りにくく、また出産などの生活変化を乗り越えにくい。キャリアのことを考えれば簡単には結婚し難いことから結婚の機会を逃しやすいのではないでしょうか。

 

国際結婚後に起がちなトラブルの原因は?

「国際結婚」においてトラブルが起きる原因は「文化的背景」の違いが最も多いと考えます。

 

例えば、外国人と結婚すると、当然ながら相手の親や親族との関係性が生まれます。それは、世界中どの国の人と結婚しても同じです。結婚する本人同士は熱にうかされてその親や家族のことまで頭にないかもしれません。

 

ですが、相手の親や親族との関係ができれば、全く「文化的背景」が異なる集団と長く付き合っていかねばなりません。

 

この点で、「国際結婚」における離婚原因として、外国人配偶者の親や親族が関係することも珍しくありません。特に、中国や韓国等の儒教の国では、親に対する想いというのは、我々日本人よりも強いと言っても過言ではありません。

 

また、外国人男性と結婚した日本人女性が遭遇するトラブルとして「外国人配偶者が、母国にもうひとつ家庭を持っていた」というケースがあります。

 

外国人である夫の母国に行ったとしても、言葉が通じない、また、地理的にも不慣れであれば、「親戚」として紹介された女性や子供が、実際は、外国人である夫の「家族」であったとしても、なかなか見抜くことはできないでしょう。

 

一方、日本人女性ではなく日本人男性が外国人と結婚して発生るトラブルとして「子どもが自分の子ではなかった」というケースがあります。

 

正直、外国人である奥さんの交友関係まで把握しきれませんから、里帰りだと言って帰っている間に地元男性との間に子どもができていたというようなケースは少なくありません。
“器の大きい”日本人男性だと不倫の子どもであるということを認めて(入管当局にも事実を告げて)日本に迎えることもあります。

 

こうした“二重家庭”“不倫”は、日本人同士ならここまで大胆にやらないでしょう。バレる確率が高いから当然です。

 

実際に結婚してみないとわからない部分なのですが、やっぱり同じ国の人、同世代の人との結婚のほうが、トラブルが発生する確率は低いと思います。

 

「国際結婚」は、「文化的背景」が異なる時点で、様々なストレスが発生します。
だからこそ、それをお互いが協力して、さらに、お互いの文化を理解しようという姿勢――「教養」で乗り越えて結婚を継続します。

 

上手く行っている「国際結婚」カップルは、例外なくお互いがこうした並々ならぬ努力を払っています。

 

「教養」は、思い遣りであり、想像力であり、またたゆまない努力でもあるのです。

 

 

 

■入管実務専門行政書士・社会学者 こんどう秀将先生の【国際結婚すると起きること】シリーズ、オトナサローネで連載開始!お楽しみに!

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