日本人の48%が誤用。「気が置けない人」は、信頼できない人という意味であってる…?
「気の置けない仲間と、のんびりした週末を過ごした」。
こんなふうに全文の印象が「リラックスムード」だと、「気の置けない」という言葉の正確な意味が分からずとも、話は通じますよね。
でも、「あの人とあの子、気の置けない間柄って感じ?」のように、「良いムード」「悪いムード」どちらにも取れる言葉になると、急に意味が分からなくなりませんか?
若い人、幼い人ほど誤解している「気の置けない」。ここらでこっそり復習しておきましょう。
28歳~31歳の人、注目!
12年前に16~19歳だった人にお知らせです(笑)
もし、まだ間違えて覚えているならば、この機会に正しい方を覚え直しましょう。
平成18年度の文化庁「国語に関する世論調査」で、「その人は気が置けない人ですね。」という例文を挙げ、「気が置けない」の意味を尋ねました。
http://www.bunka.go.jp/tokei_hakusho_shuppan/tokeichosa/kokugo_yoronchosa/h18/
結果は次の通り。
問題
気が置けない
例文:その人は気が置けない人ですね。
全体の結果
- ア 相手に気配りや遠慮をしなくてよいこと……42.4%←正解
- イ 相手に気配りや遠慮をしなくてはならないこと……48.2%←誤用
- アとイの両方……1.4%
- ア、イとは全く別の意味……1.4%
- 分からない……6.7%
このように、全体の結果は、正解であるアの「相手に気配りや遠慮をしなくてよいこと」が、不正解であるイの「相手に気配りや遠慮をしなくてはならないこと」を下回っています。
そして、特に、16~19歳の人たちで見ると、
- ア 相手に気配りや遠慮をしなくてよいこと……30.4%←正解
- イ 相手に気配りや遠慮をしなくてはならないこと……60.8%←誤用
となり、その差が30ポイント以上開いての「誤用」です。平成18年度の調査ですから、その人たちは、今、28歳~31歳になっているはずです。どうでしょう?もう正しい方を覚え直しましたか?
気の置けないの「気」は「気遣い」の「気」
「置けない」とあるので、まずは「置ける」の反対だと言うことは文字面から分かると思います。
では、そもそも「気の置ける」とはどういう状態でしょう。
気の置ける
1 何となくうちとけられない。遠慮される。
2 気にかかる。気になる。
日本国語大辞典 第2版
このように「気の置ける」は「打ち解けられない」「気にかかる」という意味があります。つまり「気の置ける」の「気」とは「気遣い」のことです。「置ける」は「置くことが出来る」という可能の意味はなく、自然にそうなってしまうという「自発」の意味があります。
ですから、「気が置ける」は、自然に気を置く、つまり遠慮してしまう、気になってしまうという意味になるのです。
気が置けない
辞書にはどう載っているでしょうか。
気が置けない
遠慮したりする必要がなく、うちとけられる。
例 彼は旧友で気が置けない
現代国語例解辞典 第一版
「気が置けない」は、例文の「彼は旧友で気が置けない」の「旧友」のイメージからも分かる通り、安心したイメージの言葉です。「気遣い」が意味するマイナスの「気」を置く雰囲気にはならない、「気」を使おうと思っても出番がない、そんな感じだと考えると覚えやすいかもしれません。
もしかしたら、「置けない」だけに着目して、「信頼の置けない」と同じような意味だと勘違いしている人もいるかもしれませんね。
年末年始、気の置けない仲間、気の置けない家族と、どうか良い時間をお過ごしください。
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