「誰かのぬくもりを求めていいですか?」アラフォー恋愛事情・40歳夏海の場合2
このホストクラブでは、永久指名制度というものがあるのだという。
指名が入ると、その女性客の売り上げの約半額がそのホストのものになるという。
ホスト同士の客の取り合いがないように、一度指名をしたら、他のホストを指名することができないのだそうだ。
「指名もなにも、私、今日初めてこういうとこに来ただけで……」
次も行く度胸なんて、全く持ち合わせていない。
今日は初回なので2時間飲み放題で数千円でいいというけれど、次からはきっとお会計も跳ね上がるのだろう。
「指名してよ」
曖昧な私に、彼は何度もそう頼み込んだ。
「そしたら、隣に座れるから」
「隣に……?」
どきっとした。
女性客の隣に座れるのは、指名ホストだけなのだという。
「ねえ、いいじゃん」
ヒカリくんは、甘え声を出してせがむ。
「指名料がかかるわけでもないんだし」
結局、私は彼を指名することにした。
男の人が、隣に座ってくれる。
そのことに心惹かれてしまった。
もう、1人の毎日に慣れてしまったから、いつも誰かが隣にいたら、面倒に思うかもしれない。
でもたまには、すぐ隣に男の人がいてくれるのもいい。
たまに、でいい。
わがままかもしれないけれど、そう思うときがある。
「今、そっちに行くね」
ヒカリくんは、腰を上げた。
彼の長いグレーのシャツが、ふわっと踊った。
この記事は
作家&エッセイスト
内藤みか
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