「誰かのぬくもりを求めていいですか?」アラフォー恋愛事情・40歳夏海の場合3
彼のぬくもりに、私の左手が包まれていく。
なんだかほっとして、なぜだか涙が溢れそうになった。
「バカだな」
つないだ手を彼が優しく前後に振る。
「もっと早く、こうしたいって、言えば良かったのに。いくらでも、つないであげたのに」
「うん……」
もしかしたらずっと、私はこうだったのかもしれない。
遠い昔、離れていった恋人に、行かないで、そばにいて、と言えていたら、もしかしたら、その人と今、手をつないでいられたのかも、しれないのに……。
スタッフがヒカリくんに近づいてきて、そっと耳打ちしている。
彼が残念そうな顔で私を上目づかいに見て、もう時間なんだって、と言う。
「このまま飲み続けることもできるよ? 別料金になるけど、どうする?」
どうする? と聞いたその瞬間、彼がぎゅっと、私の手を握る。
一瞬迷ったけれど、帰ることにした。
ヒカリくんは私をドアの外に送り出すと、優しくふわっとハグしてくれた。
さっき、他の女性客にしたのと、同じように。
また、彼に会いに行くかどうか、それは、わからない。
目の前に広がった繁華街を、私はひとりで歩き始めた。
彼の残り香が優しく私を包んでいる。
あんなに近くにいたから、香りが移ったのかもしれない。
寂しくなったら、行けるところがある。
ぬくもりを与えてくれる人がいる。
今の私には、もう、それで、充分だった。
きっと明日からも、頑張っていけると思う。
私ひとりで……。
>>誰かのぬくもりを求めていいですか?story6 40歳・夏海の場合・完 ……「40女の恋愛事情」毎週火曜18時更新中
この記事は
作家&エッセイスト
内藤みか
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