「俺のほうが具合が悪い」が口癖。モラハラ夫と暮らすうち、妻が”怒れなくなった”本当の理由
モラハラ夫と暮らしていると、感情がなくなっていく
モラハラ夫と暮らし続けていると、Tさんのように少しずつ感情が薄れていきます。最初は、期待もあります。だから裏切られれば怒り、悲しみ、失望も感じます。ですが、「こうしてほしい」と伝えるたびに怒鳴られ、期待するたびに裏切られる毎日が続くと、人は自分の心を守るために期待することをやめてしまいます。
「どうせ何もしてくれない」
そう思うことが当たり前になり、怒りも悲しみも感じなくなってしまうのです。
「友人に『どうしてそんなことをされても怒らないの? おかしいよ』と言われて初めて、自分の感情がなくなっていることに気づきました。結婚した頃の夫は、もうどこにもいませんでした。最初は私も泣いて抗議しましたし、不満も伝えました。でも、そのたびに
『うるさい』
『俺が養ってやっている』
『文句があるなら俺以上に稼いでみろ』
『いつでも離婚してやる』
と言われ続けたんです。
私には頼れる実家もありませんでした。離婚されるのが怖くて、『夫に逆らってはいけない』『夫を怒らせる私が悪い』『機嫌を損ねないようにしなければ』と考えるようになっていました。今思えば、完全に洗脳されていたんだと思います」
友人に病院へ連れて行ってもらった日の夜、夫は22時過ぎに帰宅しました。長女は涙を流しながら夫に訴えます。
「ママは本当に大変だったんだよ! なんでパパはママのことを心配しないの?」
ところが夫は、
「パパだって具合が悪かったから、会社の途中で病院へ行ったんだ。ママにうつされたのかな」
と、自分の体調の話を始めました。妻を心配する言葉は、一つもありませんでした。
さらに夫は、
「ママ、具合が悪いなら明日も寝てればいいじゃない。俺は体調が悪くても仕事だけどね。本当に女はいいよな。明日も早いから朝は起こして」
そう言うと、そのまま寝室へ行ってしまいました。
翌朝もTさんの熱は下がりません。それでも、ふらつく体で夫を起こし、朝食だけは用意しました。すると夫は平然と、
「もう動けるじゃない。俺はまだだるくて熱っぽいけど、会社へ行かなきゃいけないんだよ。夕飯は、具合の悪い俺が元気になるものを作っておいて」
と言い残し、家を出ていったそうです。
「その様子を見ていた長女が、『ママ、あんなパパとは離婚したほうがいいよ。ママ、いつか殺されちゃうよ』と泣きながら言ってくれました。でも私は、そんなことを子どもに言わせてしまう自分が悪いんだ、とまた自分を責めてしまったのです」
「自分が悪い」と思ってしまうのは、なぜなのか 次ページ
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