「更年期って薬に頼らないと具合がよくならないんですか?」更年期の素朴な疑問に専門家がズバリ回答!【更年期ラウンドテーブル#2】

一般的に閉経の前後5年を指す更年期。この時期は、ちょっとした疲れやめまい、生理周期の乱れなどを感じるたびに「更年期?それとも加齢?」と不安になりがち。

オトナサローネはこの10年間をよりよく過ごすための社会啓発「アフタヌーンエイジプロジェクト」をスタートしました。

更年期という言葉を口にしやすい「アフタヌーン」に置き換え、正しい医学的知識をわかりやすく届けます。最終的に「誰でも不調を口にしやすく休みやすい、脱落せず参加し続けられる社会」を実現するのが目的です。

この一環として、専門家と読者が同じ目線でひとつのテーマについて対話する「ラウンドテーブル」を定期的に開催。

「婦人科&漢方の医療専門家」である医師・新見正則先生、薬剤師・笹森有起先生が登場する2回目は、更年期のメンタル症状を中心にトークします。

 

薬に頼るその前に。「女性ホルモンが減少していく自分の体」とうまく付き合うことも大切

井一 前回は、加齢と更年期の違いについて教えていただきました。「60歳過ぎて治る症状は更年期、治らない症状は加齢」という判断方法、なるほど納得でした。今回は、具体的な症状や体験について話したいと思います。前川さんは、四十肩になったとき更年期を感じたそうですが、その後、他の症状は出ましたか?

 

前川 いろいろありますが、睡眠不足にはかなり悩まされました。眠りが浅く、1時間半ごとに目覚めてしまう日が続きました。眠れていないから昼間に眠くなるし、疲れも取れなくて、一日中だるい感じでした。そのうち、免疫力が落ちたのか、ちょっと忙しい日が続いただけで、体中にブツブツと湿疹ができてしまったんです。

 

力武 湿疹!? 怖いですね。今はお元気そうですが、何か治療をしたんですか?

 

前川 ちょうどその頃、取材でお会いした井一さんからホルモン補充療法(HRT)の話を聞いて、私の症状もホルモンバランスの崩れかもしれないと思ったので、ホルモン補充療法を始めてみました。

 

鈴木 何か変化はありましたか?

 

前川 一週間くらいで体調がよくなって、湿疹も治まってきました。ただ、ホルモン補充療法と同時期にホットヨガも始めたので、どちらの効果かなのかは分からなくて。できれば薬より運動で治したいので、ホルモン補充療法をいったん止めてみたんです。そしたら、止めた後も体調はよくて、深く眠れるようになったので、たぶん私にはホットヨガが合っていたんだと思います。

 

新見 薬の効果を確認したいとき、生命の維持に必須なものでないならば、いったん止めて変化をみるというのは正解です。素晴らしい方法です。

 

井一 そして、自分の体を薬ではなく運動で整えた点も素晴らしい。若い頃から薬に頼ってきた私にとっては、うらやましいケア方法です。

 

新見 人間は基本的に、ある程度の年齢を過ぎれば衰えるものです。逆らわず、可能なら薬に頼らず、運動で体調を整えるのはとてもいいことだと思いますよ。また、更年期に入ってホルモン数値が低い状態が体に馴染んで慣れてくることで、体調が安定することもあります。実際に、70代80代になっても更年期障害が治まらない女性はあまりいないです。

 

鈴木 たしかに、70歳以上の先輩世代たちからは、更年期の悩みは聞かないですね。

 

新見 結局、上手にホルモン値がゼロになれば問題ないんです。飛行機と同じです。一番上を飛んでいるときは風の影響が無いから穏やかで、着陸して止まれば静かになる。ガタガタ揺れて安定しない状態は、空から着陸する間に起きます。

 

鈴木 着陸態勢が更年期ということですね。わかりやすいです!

 

新見 そうです。そして、着陸時の揺れの強さや感じ方が天候や機体の状態でそれぞれ違うように、更年期の症状も受け取り方も人それぞれということです。

 

井一 そういえば、先日ご一緒した少し年上の女性が、頻繁に起きるホットフラッシュに対して、「ホットフラッシュなんてサウナみたいなもんよ! ばーっと汗が出たあと、止まったらなんか『ととのう』し! こんど冷静に自分で観察してみて、ほんとに『ととのってる』から!」と豪快に笑っていました。汗はすごく迷惑でしんどい症状ですが、考え方一つだなと思いました。

 

 

▶【後編】「更年期の不眠やうつって、治るんでしょうか?」ホルモンの乱高下にどう対策する?

スポンサーリンク

スポンサーリンク

スポンサーリンク