「恥ずかしくない性教育を行うきっかけに」52歳ラジオパーソナリティがソープを開発せざるを得なかった「これだけの必然」

熊本市在住、現在52歳の西川佳江さんは、中2・高2の2人娘のママ。アパレルECのCEOのほか、埼玉県のFM局「Nack5」火曜深夜の番組「Goo Goo Radio」のパーソナリティを20年に渡り務めています。

よく食べよく笑いよく働く、そんな佳江さんの肩書がある日突然「がん患者」になったのは、いまから5年前、46歳のときでした。

前編『「こんなに辛いことが人生にあるだなんて誰も私に教えてくれなかったことを呪うような治療」抗がん剤+放射線「お願いだから麻酔をかけてください」と懇願する私に医師は』に続く後編です。

 

2つのがんに連続してり患して気づいた。私はいま、生き方を見つめなおせと言われている

「46歳の2月に乳がん、4月に子宮頸がんと、立て続けに2つのがんが発覚しました。私、これって、お知らせだなと思ったんです。きっと神様が、あなたは女性の幸福に対して何かちょっとでもお手伝いをしなさいって言ってるのだなと」

 

そう語る西川佳江さん。今年24年の12月24日には治療終了から5年の節目を迎え、経過観察も終了、転移なく無事に卒業となりました。

 

「私は旅と食が大好きで、それらをテーマにしたライフスタイルECを営んできました。フェムケアについては何も知りませんでしたが、闘病からは女性の身体のことをもっと知ろうとフェムテック系の展示会に出向くようになりました。そして22年の秋、導かれるようにしてフェムソープに出会いました」

 

ここで衝撃の事実を知ります。腕の内側の皮膚の吸収率を1としたら、実は男女とも陰部の粘膜は42倍の吸収能力を持っているのです。

 

「いいものも悪いものも吸収するなら、いいもので洗ったほうがいいのは当然だし、子どもにはよりよいものを使わせたい。私はもう人生が半分終わってるけれど娘たちはまだまだこの先の時間があります。この衝撃をきっかけに女性の体とケアについて幅広く勉強を始めたのですが、すぐに日本は性教育が周回遅れという事実に気づきます」

 

とはいえ、一般に娘と母は小学校3年くらいまではお風呂に一緒に入ります。もしかしてここに解決の糸口があるかもしれないと西川さんは考えました。

 

折しも容器の中に入れて振ることで超微細泡「ナノバブル」を作り出す「ナノバブル発生ボール」に出会ったときでした。母も子も恥ずかしさをなるべく持たずに性の話ができるきっかけが何かあればいい、ならばソープの容器を「振る」のはどうか。

ボトルの底に2つ、透明なナノバブル発生ボールが。

「子どもって楽しいことが大好きですよね。振って泡立てるなんて、小学校低学年までの子どもだったらきっと一緒にやってくれます。当初は界面活性剤をできる限り減らすためにクレイ状のソープを考えていましたが、ボールを振って泡立てながら『おまたはとっても大事な部分で、赤ちゃんの通り道があるから泡を立てるのよ』なんて、話のきっかけになるならこんなに強いものはないと感じたのです」

 

同時に素材もこだわり抜き、通常なら配合しないリッチな素材も試行錯誤を経て利用。「病を経験した自分が安心して使える」ソープが完成します。『NANO SHAKE SOAP(ナノシェイクソープ)』は、なんとリリース直後に東尾理子さんが立ち上げた第1回「リプロダクティブヘルスアワード」で栄えあるブロンズ賞を受賞します。

 

「それはもう、嬉しかったですよ! 子どもに性をどう教えるかなんて悩んでいるのは私だけなのかな、と鬱々するときもありましたが、こんな名誉ある賞で共感してもらえて。でも、肝心の我が家には間に合わなかったんです(笑)。完成したときに娘はすでに中1で、『ママこれ開発したんだけど使ってみて』と言ったら、『え、なに』と聞かれ、大事なところを洗うんだよと教えたら『気持ち悪い!いやだ』って言われてしまって……」

 

せっかく苦心して開発したのに、いちばん届けたかった娘のタイミングには遅かったか……と、猛烈に落ち込んだそう。

 

「でも、ある日娘のあとにお風呂に入ったら、NANO SHAKE SOAPのふたが開けて置いてあって。なーんだ、使ってるじゃん!って安心しました(笑)。きっと、そこに娘を大切に思う気持ちがあるならば、どんなときでも遅いということはないんですね」

 

つづき>>>「実は3・4歳が分水嶺?」みんな手探りの性教育を「小さいうちに始めるほどいい」と言える決定的理由

 

撮影/園田ゆきみ(PEACE MONKEY)

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