
【不登校・行き渋り】学校に「行きたくない」子と「病気じゃないなら行け」という夫。家族の目線・とらえ方とは?
この「不登校の答え合わせ」は、登校に困難を抱えた経験がある方に、今だから語れる思いをお聞きするインタビューシリーズ。いまや40万人にのぼるともいわれる不登校児童生徒当事者や、それを見守る大人たちにとってのヒントを探ります。
現在お送りしているのは、「番外編」。入学・進級を迎えたこの時期に急増する「登校渋り」や「不登校」への対応法を、専門家にお聞きしています。解説は、不登校・発達障害の児童生徒を中心とした個別学習指導に20年以上携わる、公認心理師の植木希恵さん。一生懸命で頑張り屋な親ほど陥りやすい「初期対応の誤解」についてアドバイスをいただきます。
今回は前回に引き続き、「欠席した日、家でいい思いをさせると学校から足が遠のくのでは?」という誤解を紐解きます。「好きなことしかしないのは怠けではなく、それ以外をするエネルギーがないから」という前回の解説を踏まえ、今回は、「家族同士での理解の醸成」と、「欠席中の外出や社会とのコミュニケーション」について考えます。
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夫婦の目線が合わない時は、真正面から説得するのではなく、客観的な視点を取り入れて
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家で好きに過ごす我が子を母親が受け入れても、父親はその考え方に反発する――そんな悩みをよく聞きます。その背景にあるのは、恐らくジェンダー的な問題です。
というのも、これまでの歴史や文化的に、男性のほうが抑圧的な環境で生きてきているケースが非常に多いから。「泣くな」「男らしくない」と言われながら、自らの感情を切り離して頑張ってきたからこそ、我が子にも「頑張らせろ」という発想になりがちなのだと思います。
この悩みに対して、意外と効くのは「権威がある人の発言や考え方」を引用しながら伝えるという方法。
- 「文献に○○と書いてあった。この子に合うかわからないけれど、試してみたい」
- 「カウンセラーさん曰く、最近王道なのは○○という考え方のようだよ」
母親が「私の意見」として伝えると、「入れ込み過ぎだ!」などと話がこじれがちですが、客観性と権威性を取り入れると、思いの外すんなり納得してくれる場合も少なくありません。
あるいは、カウンセラーやドクターから父親へ、直接伝えてもらうという方法もおすすめです。「父親の協力を得たいのだが、私が話してもうまく伝わらないので、こういう話をしてもらえませんか?」と専門家にお願いすると、協力を得られる場合もあります。
他人の力を借りるのは、登校渋りや不登校の対応で、非常に重要かつ有効なテクニック。一人で抱え込まないでくださいね。
兄弟姉妹が「ずるい」「学校に行きたくない」と言い出したら。理解を求めるよりも「その子の頑張り」を認めよう
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家族の難しさという点で、もう一つ。
子ども1人が学校を休み、表向きは気ままに過ごす姿を目にすると、他の兄弟姉妹が「ずるい」「自分も休みたい」と言い出す場合も。1人ならまだしも、2人、3人……と「学校に行かない子」が増えると、「育て方が悪かったのでは……」と自責する親御さんも多いですが、そうではありません!当然のように毎日登校している家庭と比べると、「学校に行かない」という選択肢が非常に身近である、というだけの話です。
では、「ずるい」と感じる兄弟姉妹にどう対応するか。――恐らく「自分とは違う形で、休んでいるあの子も頑張っている」と、兄弟姉妹は十分理解していると思います。だからこそ、大切にしてほしいのは、「学校を休んでいる」という状況への一層の理解・共感ではなく、「この子にも何か認めてほしいことがあるのでは?」という視点です。
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「何か頑張っていることがあるんじゃない?お母さんもいっぱい褒めたいから、あったら教えてね」と、声をかけてみてください。それを聞きながら、親子デートに連れ出してもいいですし、おいしいものを一緒に食べてもいい。愛情を独占するタイミングを上手に交えながら、自慢させてあげましょう。
それでも最終的に、兄弟姉妹まで休み始めたとしたら……それは「先に1人休ませていたから」ではありません。後に続いたその子は、別の一個人としてものすごく頑張り、キャパシティを越えてしまった――その結果に過ぎないはずです。
学校を休んだ日も、外出していい。大切なのは、「コミュニケーションを断絶させない」こと

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最後に、「学校を休んだ日に、外出してもいいの?」というお悩みについて。これは、 本人が行きたいと思えるなら、ぜひ行かせてあげてください。
登校渋りや不登校に直面すると、まずは「勉強の遅れ」が気になると思いますが、それは後でどうにでもなります。エネルギーが復活したタイミングで、それまでと見違えるような勢いで遅れを取り戻す子もいますし、極端な話、お金で解決できる部分も多いです。それよりも気にかけるべきは、コミュニケーションの断絶です。こちらは一度つまづくと、勉強以上に取り戻すのに時間がかかるという現実があります。
授業中に出かけるのは気が引ける、というお子さんも、放課後遊びや習い事には前向きというケースは少なくありません。本人が行きたいタイミングや方法を尊重しながら、外に出られるタイミングを大いに活用しましょう。
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