子どもが「学校に行きたくない」とき、親は「アシスタント」に。不登校を「人生ALL」で捉えることの大切さ

2025.05.11 LIFE

この「不登校の答え合わせ」は、登校に困難を抱えた経験がある方に、今だから語れる思いをお聞きするインタビューシリーズ。いまや40万人にのぼるともいわれる不登校児童生徒当事者や、それを見守る大人たちにとってのヒントを探ります。

現在お送りしているのは、「番外編」。入学・進級を迎えたこの時期に急増する「登校渋り」や「不登校」への対応法を、専門家にお聞きしています。解説は、不登校・発達障害の児童生徒を中心とした個別学習指導に20年以上携わる、公認心理師の植木希恵さん。一生懸命で頑張り屋な親ほど陥りやすい「初期対応の誤解」についてアドバイスをいただきます。

前回からは「甘えさせると子どもがダメになる?」という誤解を紐解いています。最終回となる今回は、「学校に行かない我が子の将来」に不安を抱くOTONA SALONE読者に向けて、多くの児童生徒を見守ってきた植木氏ならではのメッセージをいただきました。

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『「学校に行きたくない子」をどこまで頑張らせるか?親子の話し合いで、大切にすべきこととは【不登校指導の専門家に聞きました】』

 

【不登校の答え合わせ|不登校児の将来は?編】

 

 

「やっときっかけをつかめた」――時が満ちると、人は動く。

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私が主宰する個別指導に通っていた生徒さんのエピソードをご紹介しましょう。

彼は、小5から中3まで不登校。生活が昼夜逆転してしまったり、私が主宰する個別指導への来所も不安定だったり……そんな日々を経て登校を再開したのは、高1のときでした。

通信制の高校に通い始めた時、彼はこう言いました。「ずっときっかけ待ちだった」と。「やっと学校に行けるきっかけをつかめた」と言うのです。

改めて聞いてみると、12歳頃から、「学校に行った方がいいな」という気持ちを強く抱いていたのだとか。ところが、もし「行く」と言って、「じゃあどこか良さそうなところを見つけるね」と大人に言われるのもなんだか違う気がする。意志とは裏腹に、やっぱり行けなくなるかもしれない。「約束が守れないのが怖くて、なかなか言えなかった」と話してくれました。

「ああ、時が満ちたんだ。時が満ちた時に、人は動くんだ」――そう思わされました。

ちなみに彼は、自分で決めた高校にきちんと通いきり、専門学校に進学。今は事務所に勤務しながら、国家試験にチャレンジしています。「初任給では、両親と弟にラーメンを御馳走した」と報告してくれました。

 

 

「学校に耐えらない」と、「社会で働けない」は直結しない

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まさに今、我が子の登校渋り・不登校に悩む親御さんにとって、自らの子ども時代は「学校に行くのが当然だった」という人が大半かと思います。だからこそ、我が子が直面する困難に対して募る不安を突き詰めると、「学校に行かない先に、どんな未来が待っているのか?この子は自立できるのだろうか?」という点に辿り着くのではないでしょうか。

では、実際はどうかというと……私が関わった不登校経験者は、少なくともほぼ全員が社会に旅立っています。進学・就職・転職・結婚・子育てなど、「自分の人生をどう生きるか?」という問いに、自分なりの解を導き出しています。

この通り、「学校に行けない、学校生活に耐えられない」のと「働けない」のは別もの。学校生活に「何のために頑張るのかわからない/メリットを感じられない」という子も、仕事には、報酬・やりがいなどのメリットや喜びを感じて頑張れるケースはとても多いんですよ。私の教室でも、「これを手伝ってよ」と頼めば、喜んで協力してくれる生徒さんは多いですし、学校よりアルバイトに喜びを感じる子たちもたくさんいます。

 

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