腹を切り、豆腐に頭をぶつけて死を選んだ戯作者。命がけで笑いを生み続けた江戸の出版現場の悲劇耕書堂開業以来の最大危機とは【NHK大河『べらぼう』第36話】
*TOP画像/春町(岡山天音) 大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」36話(9月21日放送)より(C)NHK
吉原で生まれ育ち、江戸のメディア王に成り上がった蔦重の人生を描いた、大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」(NHK総合)の第36話が9月21日に放送されました。40代50代働く女性の目線で毎話、作品の内容や時代背景を深掘り解説していきます。
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世が変われば、戯作家たちの状況は大きく変わる
楽しい時間にはやがて終わりが訪れるもの…。蔦重(横浜流星)を囲み、春町(岡山天音)、京伝(古川雄大)、喜三二(尾美としのり)ら作家たちは“おもしれぇものを作る”という1つの目標に向かい、創作活動を自由な発想で楽しんでいました。けれども、定信(井上祐貴)が老中首座に就任すると、彼らの笑いに満ち溢れた楽しい日々も“過去のよき思い出”へと移り変わって行きます。
定信が推し進めた質素倹約を基軸とする世相を揶揄した三冊の黄表紙。その真髄にほとんどの読者が気づかなかったものの、ついに彼を風刺した本であることが定信に知られてしまったのです。奉行所の者たちが耕書堂に押し寄せ、黄表紙三作は絶版を言い渡されました。

蔦重(横浜流星) 大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」36話(9月21日放送)より(C)NHK
こうした騒動の中、自らの正体を隠して創作活動に励んでいた喜三二と春町の正体が明るみになりました。喜三二は“遊びは誰かを泣かせてまでやるものではない”と国に戻ることを決め、大文字屋で仲間たちに盛大に送り出されました。

蔦重(横浜流星) 喜三二(尾美としのり) 大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」36話(9月21日放送)より(C)NHK
一方、春町は定信に呼び出され、問題を丸く収める方法を蔦重とともに考えたものの、主君に迷惑をかけるわけにもいかず、この事態から逃れる方法を真面目な性格ゆえになかなか見つけられません。

春町(岡山天音) 大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」36話(9月21日放送)より(C)NHK
彼が最終的に決めたのは自ら命を絶つことでした。腹を切り、その後で豆腐に頭をぶつけ、この世を去りました。春町はてい(高橋愛)と耕書堂の前で会い、「豆腐でも買って戻るとする」と述べていましたが、豆腐をこのような目的で使用するとは勘が良いていもまったく予想できなかったはず。
喜三二や京伝といった仲間たちが春町の思いに気付いたように、戯作者として最後まで戯けたのです。もし、該当の黄表紙を出版していなければ、春町は生き長らえたかもしれません。人生の充実度はその期間でないとするのであれば、春町の人生は幸せだったと思います。
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