織田信長は「人を信じやすい男」だった?信じては裏切られ傷つく信長(小栗旬)が、秀吉(池松壮亮)に語った夢【NHK大河『豊臣兄弟!』26話】

2026.07.08 LIFE

*TOP画像/信長(小栗旬)ほか 大河ドラマ『豊臣兄弟!』26話(7月5日放送)より(C)NHK

 

戦国時代のど真ん中を舞台にした『豊臣兄弟!』(NHK総合ほか)の主人公は仲野太賀が演じる豊臣秀長。兄弟の絆で“天下統一”という偉業を成し遂げた豊臣兄弟の奇跡を描いた大河ドラマ『豊臣兄弟!』(NHK総合ほか)の第26話が7月5日に放送されました。40代50代働く女性の目線で毎話、作品の内容や時代背景を深掘り解説していきます。

 

裏切られても、裏切られても、人を信じる信長

私たちは、織田信長(小栗旬)について、数々の裏切りによって心に深い傷を負っていること、現在の地位ではなく本質で人を評価する姿勢、そして義理堅い性格を知っています。しかし一方で、彼を極悪人のようにみなし、そのやり方に不満を抱く者や、親族を奪われた恨みから心の中で憎しみを募らせる者も少なくありませんでした。

 

信長の重臣として仕えてきた明智光秀(要潤)は信長のやり方に不満が募る中で、足利義昭 (尾上右近)の入れ知恵もあり、信長に対する反感が募っています。そうした中で、信長は三好康長(妹尾正文)らと桑実寺で話し合いを行った帰りに、何者かに襲われ、殺されそうになりました。

光秀(要潤)ほか 大河ドラマ『豊臣兄弟!』26話(7月5日放送)より(C)NHK

この事件の犯人として、さらには長宗我部元親(磯部寛之)と通じていると疑われたのは、信長の甥・信澄(緒形敦)でした。彼は信長に実の父を殺されたにもかかわらず、信長に秀吉(池松壮亮)も感心するほど献身的に尽くしていました。

 

信長は信澄を真っすぐに見つめ、「何故じゃ。何故 お前までもが わしを裏切った」と真相を尋ねていましたが、信長の中では信澄が裏切り者であることは確定しているようでした。

信澄(緒形敦) 信長(小栗旬) 大河ドラマ『豊臣兄弟!』26話(7月5日放送)より(C)NHK

実の弟にも、義理の弟・浅井長政(中島歩)にも裏切られ、織田家に長く仕えてきた三人の重臣も本願寺や武田と通じていたという疑いを理由に追放したばかり……。そうした中で、信頼していた信澄にも裏切り疑惑が生じたことは、信長にとって大きなショックでした。

 

弟に謀反を企てられる経験をしたら、人を二度と信じられなくなってしまう人は少なくないでしょう。しかし信長は、そんな裏切りを経験してもなお、人を信じ続け、裏切り者を許し、心の傷を深めていきます。小栗が演じる信長は、冷血漢というよりむしろ純朴で、どこか儚げで、人を信じやすい人物として描かれており、その姿に切なさを感じることもあります。だからこそ、お市(宮崎あおい)は兄に常に寄り添い、ときには不安げな表情で見つめているのだと思います。

 

ちなみに史実でも、織田信長は人を信じやすかったといわれています。その理由は、自己肯定感が高かったゆえ……。家臣に対して“オレ様に不満を抱いているやつがいる!”と想像を巡らせることができなかったのです。

 

信長を笑わせたい

今回の放送回のタイトルは「信長を笑わせろ!」。秀吉は落ち込んだ信長を深く心配し、彼の心の緊張を解きほぐし、なんとか笑わせたいと思いました。そしてあわよくば、信長に信澄のことをもう一度考え直してもらいたいと……。

 

秀吉は信長の五男であり、自身の養子である秀勝(柊木陽太)が近々初陣するとし、信長に長浜城を訪れ、秀勝を励ましてやってほしいと頼みました。

秀勝(柊木陽太) 秀吉(池松壮亮) 小一郎(仲野太賀) 大河ドラマ『豊臣兄弟!』26話(7月5日放送)より(C)NHK

信長が秀勝に激励の言葉を送り、立ち去ろうとすると、小一郎(仲野太賀)が「こたびのお礼に 余興をご用意いたしました」と述べ、扇子を開くと、羽柴家によるミュージカルのようなコントのような余興がはじまりました。

 

歌も楽器演奏も踊りもプロ級とはいえないものの、なかなか上手。何よりも、信長をもてなしたいという気持ちが伝わってきて、楽しみながら一生懸命にやっているのがいい。けれども、どこかバカバカしく、微笑ましさも感じられます。

 

羽柴家の女性陣は、秀吉の命令により踊り子を務めることになりました。芸を急いで仕込んだため、とも(宮澤エマ)のように激しく反り返る振付でバランスを崩し、そのまま倒れ込んでしまう者まで出てしまいました……。

とも(宮澤エマ) 信長(小栗旬) 秀吉(池松壮亮) 小一郎(仲野太賀)ほか 大河ドラマ『豊臣兄弟!』26話(7月5日放送)より(C)NHK

さらには、酔った勢いで、寧々(浜辺美波)は失態を犯してしまいました。寧々は「やれ上様をねぎらえだの 上様!上様!上様!あなたは いつも 上様のことしか考えておりませぬ」と、秀吉に対して不満を露わにしてしまったのです。”信長様の前でやめてくれ”と焦る秀吉と小一郎の表情が、失礼ながらもおかしく、笑いを誘われました。

秀吉(池松壮亮) 寧々(浜辺美波) 大河ドラマ『豊臣兄弟!』26話(7月5日放送)より(C)NHK

信長は秀吉の自分に対する愛情、羽柴家の人たちの気遣い、純朴さに心動かされ、「飲み比べじゃ。お主が勝ったら 信澄を信じる」と秀吉に提案しました。信長と秀吉は酒を必死にのみ、秀吉が僅差で勝利しました。

 

青空の下で明かされた信長の大志

翌朝、青空の下で、信長は秀吉に本音を明かしました。信長は「信澄は 許す」と伝えた上で、「弟 信勝の面影が浮かぶのじゃ」と、信澄に対する思いを口にしていました。

信長(小栗旬) 秀吉(池松壮亮) 大河ドラマ『豊臣兄弟!』26話(7月5日放送)より(C)NHK

秀吉が「上様と共に 新しき世をつくり 皆を喜ばせたい」と伝えると、信長は次のように言いました。

 

「じゃがのう 真を申せば その新しき世というのが どういうものか まだ わしにもはっきりせぬ。一つ思い当たるのは…この空じゃ。空には境目がない。境目がなければ 争いが起きることもない。空はどこまでも一つじゃ。わしは そういう国をつくりたい」

 

すると、秀吉は「わしが太陽になって 上様がつくり上げたこの国を照らし続けまする」と宣言しました。

秀吉(池松壮亮) 大河ドラマ『豊臣兄弟!』26話(7月5日放送)より(C)NHK

ちなみに、史実では、信長は国づくりにも長けており、支配圏の経済を発展させるため、関所を撤廃して人の往来を自由にしたり、インフラを整備したり、誰もが自由に商売をおこなえるようにしました。

 

しかし、私たちは信長が思い描く世が訪れないことを察しているはずです。というのも、次週は「本能寺の変」。史実通りであれば、信長が光秀によって打ち倒されます。ちなみに、史実では、織田信澄は信長の右腕として活躍した武将でしたが、明智光秀の娘婿であったため、光秀の共謀者と疑われ、謀反人として晒し首にされました。一方、『豊臣兄弟!』では本放送回のラストを見る限り、信澄は足利義昭(尾上右近)と実際に通じており、信長を倒す意志を持っているように描かれていました。果たして……。

 

本記事では、第26話を振り返りながら、信長の人柄についてお届けしました。
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