人生がつらい人は「つらい呼吸」をしている。身体を軽くする呼吸法
「恋人や夫と価値観があわない」「同僚とうまくいかない」など、常に人間関係の悩みを抱えている人。
また、「肩と首がいつも痛い」「朝起きたときから背中が重い」など、体の痛みを感じやすい人。
それらのストレスを一気にゼロにするのは難しくても、軽くしていくことはできます。
禅のセオリーをとり入れた「呼吸」もその一つ。息を変えるだけで人生が軽くなっていく、そんな知恵を教えます。
人間は「脳」に振り回されて生きている
まず、自分が息を吐き、吸うという動作をしていることに、この瞬間だけ注目してみてください。
「正しい呼吸って何?」と考えて呼吸をしてみると、
意外に同じリズムで呼吸することそのものが難しいことに気づくと思います。
上手くいかないと吐く息が浅くなったり、ビブラートしたり。
そして、今日これから数時間の間、ふと「いま自分は考え事をしているな」と気がついたとき、また息に注目してみてください。
浅くて短い息になっているのがわかるはずです。
これは、人間の本能そのものです。
人の進化の歴史で言えば、240万年前の原人から旧人、新人と進化してきましたが、ずいぶん最近まで野山で生活してきたと言えます。
その動物としての本能は、そう簡単に捨てれるものではないのです。
悩んで考え事をしている時は、息を殺し周りの状況を察知しようとしている時です。まだ状況もわからないのに、大きな息の音を立てるわけにはいきません。
常に新しい刺激を分析しようとするため、頭は休まることはありません。
そして、大きなストレスが訪れた時、その時代で言えば、例えば虎が出てきた時です。一気に頭の観察モードは、真っ白になって極端な二者択一の判断をする様になります。
周りにもその様な人がいませんか?「私が辞めるか、あの人が辞めるかよ。」と言った、極端な選択しか考えられない状態です。
原始人は、逃げるか又は戦うか、どちらが犠牲が少ないか瞬時に判断しなくてはなりません。
ジェットコースターに乗って、なんで頭が真っ白になってキャーッて叫ぶのかというと、逃げれないからに他なりません。仲間呼ぶしかないってことですよね。
さらに体はというと、血液は怪我した時の止血のためにドロドロになり、物を掴んで戦う時、滑り止めのために、手に汗をかきます。
瞬時の動きを実現させるために、心臓は速く脈を打ち、体に酸素を運びます。
現代社会は、ストレスがかかる頻度が増していて、まだ野山で生活していたころの原始人と比べて、さほど進化していない私たちは付いていけなくなるのです。
人類の進化の歴史を1メートル定規に例えると、文明ができてからは、たった1.6ミリ程の時間しか経っていません。
この体の反応を四六時中繰り返していたのでは、身体が保ちません。
体と心をつなぎ、脳のストレスを排除してくれるのは呼吸
坐禅のポイントは、体を整え、呼吸を整え、心を整えることだと言われます。
先ほどの話では、心に悩みがあると、呼吸が浅くなり、ストレスで体に変化が現れるということでしたが、全く逆であることがポイントたるゆえんです。
田中角栄さんの本を最近よく本屋さんで見かけますが、角栄さんは官僚に対して「結論から言え、理由は3つまでだ。」「世の中に3つで説明できないことはない。」と言っていたそうです。
結末から変えてみるというのも、意外と早い解決法かもしれません。理由は後からついてくるということでしょう。
坐禅の場合も、体を整えて、呼吸を整えると、心が色々動き始めます。嫌なことを思い出したり、明日の予定が思い浮かんだりします。
さしずめ三輪車の車輪とペダルの様なものです。心(考え事)がペダルを動かして車輪と言う体を動かすのですが、坂道に行ったら勝手に車輪が回って、ペダルは大暴走します。
このペダルを止めるには、車輪を止めればいいだけです。足ブレーキで地面を蹴って車輪が止まれば勝手にペダルも止まります。そうすると心(考え)も何処かへ行ってしまって、また新たに動かそうとする心がやってきます。
現れては消え、現れては消えです。
そして、その体と心をつないでいるものが呼吸なのです。
心臓を今からゆっくり鼓動させてください、と言ってできる人はいませんが、呼吸はというと、今からゆっくりと言われれば、直ぐにでもできます。
当たり前のことですが、意識しなくても行なっていて、意識してコントロールできるのは呼吸以外にありません。
それゆえ呼吸を整えることによって、体と心に影響を与えることができるのです。
今回は、心と体のつながりが呼吸にあることをお伝えいたしました。次回は実際に呼吸を整えていく方法をお話しします。
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