ロス必至!「本能寺の変」で織田信長(小栗旬)が退場。『豊臣兄弟!』における信長の名場面を振り返る――小栗旬はイケメン俳優から国民的俳優へ
孤高のカリスマ武将・織田信長を好演……。小栗の演技が力強くも切なかった
豊臣秀吉、徳川家康と並ぶ戦国三英傑の一人、織田信長。日本一の城と称された安土城を本拠とし、天下統一に向け着々と勢力を拡大していきましたが、明智光秀の謀反による本能寺の変で48歳の若さでこの世を去りました。
数々の映像作品で本能寺の変における信長の最期が描かれてきましたが、いずれも作品の見せ場となっています。反町隆史や江口洋介をはじめとする名俳優らが演じた信長は、炎に包まれた本能寺の中で自らの運命を静かに受け入れ、壮絶に散っていきました。
そして、『豊臣兄弟!』の27話では、小栗旬が本能寺の変での織田信長を好演していました。信長は炎に包まれた本能寺で、人生における喜怒哀楽を回想し、弟・信勝(中沢元紀)が待つあの世へと旅立ちました。信長の最後の微笑みには、人生の苦しみ、無念、罪の意識、そして生のあっけなさ――。そんな複雑な思いが豊臣兄弟に出会えた喜びとともに混じり合っていました。
本作では、小栗扮する信長のカリスマ性に圧倒されつつも、彼が背負うものの重さに胸が締め付けられる思いを抱くこともありました。信長のカリスマ性がもっともキラッと光っていたのは、小一郎(仲野太賀)と秀吉(池松壮亮)が初めて信長と対面する1話の場面だと思います。馬上の信長は「じっとしていては 欲しいものは手に入らぬ。自分の進む道は 自分で切り開くのじゃ」と、ひれ伏す豊臣兄弟に向かって力強く伝えていました。
また、信長は自身の感情を表に出さないイメージがありますが、必ずしもそうではありません。4話では、桶狭間の戦いに勝利した信長が「ああ。 勝った。わしは勝った」と、床に寝転びながら、市(宮崎あおい)の前で喜びを噛みしめ、笑みをこぼす場面がありました。史実通りであれば、この時の信長は27歳。若々しい青年の面影を滲ませつつ、安堵感が全身からあふれていました。
信長と浅井長政(中島歩)が相撲を取る13話におけるシーンも印象的でした。全身でぶつかり合う二人の姿からは心の通い合いが伝わってきました。相撲の後、信長は「つい 楽しくての。また こうして 弟と相撲がとれるとは 思ってもみなかった」と本音を明かしつつ、長政にあたたかな眼差しを注いでいました。しかしその後、信長は長政に裏切られます。長政の裏切りを知らされてもなお、彼を信じ続けようとする信長の姿は痛切でした。
そして、26話では、信長は「空には境目がない。境目がなければ 争いが起きることもない。空はどこまでも一つじゃ。わしは そういう国をつくりたい」と、秀吉と夢を共有していました。青空の下でどっしりと立ち、遥か先の地平をじっと見据える信長の姿。彼の関心が過去ではなく、未来にあることが伝わってきたと同時に、天下統一をその手に掴もうとする意志が感じられました。
本作における信長は振る舞いは荒っぽいものの、心は繊細で、数々の重荷を背負っていたと思います。だからこそ、感情的で、怒りっぽく、ときには残酷な命令を下します。身近な者たちに繰り返し裏切られながらも、それでも人を真っ直ぐに見つめ、信じようとする姿が切なくも美しい。そんな信長にとって、秀吉という自分に絶対的な信頼を寄せる優秀であるが、どこか馬鹿げた男に出会えたことが、苦しい人生における大きな喜びでもあったのです。
■小栗旬が演じてきた数々の役柄
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