【新連載】山口智子さんも有働アナも。新しい大人ライフ「おこなしさま」とは【おこなしさまという生き方】

「よくぞ言ってくれた!」

女優・山口智子さんが女性誌のインタビュー(FRaU 2016年3月号)で、子どもを持たない人生を選択したことについて「一片の後悔もない」と自身の生き方を語り、大きな反響を呼びました。少子化で出産を賛美する風潮のなか、未産の女性はどこか肩身が狭い……。いつまでたっても結婚・出産をしない女性は、自分のことを最優先にして好き勝手に生きてきた。だから少子化が進むんだ!という空気が漂っていたからです。

 

産む人生と、産まない人生

生き方が多様化しているといわれながらも、時代のセンターにいるのはママ達で、未産女性は社会からの無言の圧力を受けていました。心の奥にあったドヨーンとした気持ちが、山口智子さんの潔い発言でスカッと救われた思いがしたのです。

出産には時間に限りがあります。望む、望まざるにかかわらず、女性は「産んだ人」と「産まなかった人」の二通りしかありません。自ら産まない人生を選択した人もいれば、パートナーやチャンスに恵まれなかった、努力したのに授からなかった、身体のことが原因で産むことができなかった……事情は人それぞれだと思います。

NHKの有働由美子アナウンサーは「子どものいない生き方」を特集した番組(あさイチ 2016年5月18日放送)で、「去年ようやく出産の可能性を諦めて、やっとひとりで生きて行く自信が出てきた」と発言しました。

 

出産というシャッターを下ろすとき

自分の努力だけでは、どうにもならないことがあります。ましてや出産はタイムリミットがある。思い描いていた人生通りにはならず、辛い思いを胸の内に抱えている女性は多いのです。

「人生の後半、まだ結婚はできる可能性はあっても、もう出産できる可能性はない。」

ある年齢を過ぎた女性は、有働アナのように“子どもがいない人生”を覚悟する時がきます。それは産まなかったことを後悔する、しないに関わらず、店じまいのシャッターを下ろす感覚に似ているかもしれません。

自らの意志で早々にシャッターを閉じる女性もいれば、シャッターが下りかかっているのに「まだ閉めないで!」と踏ん張ってみたり、気が付いたらシャッターが閉められていたケースもあるでしょう。

シャッターの向こう側では、母でもきれいなワーママが「素敵な女性像」として脚光を浴び、メディアではママタレ、政界でもママ議員が大活躍。「母・妻・女性」というマルチな視点を持つ彼女たちは、社会でも重要視されています。

 

女性の生き方の「スタンダード」とは?

一方、平成26年度の出生数は100万3,532人の過去最少で、合計特殊出生率は1.42(厚生労働省発表)。平成27年度の出生率は1.46と微増したものの、15歳未満の子どもの推計人口(2016年5月 総務省発表)は前年より15万人少ない1605万人で、1982年から35年連続の減少となっています。

低迷が続く出生率と少子化の裏側では、「生涯無子率」が上昇している現状があります。様々な時代背景・要因などから「子どもがいない人」が増えているのに、なかなかそこにスポットはあたりません。

それには、センシティブな問題が絡んでいることもありますが、「女性は子どもを産むべき」という社会的風潮がまだ根強く残っていることも一因としてあるような気がします。

長年、結婚して子どもを産み、育てることが「女性の生き方のスタンダード」とされてきました。時代と共に価値観は少しずつ変化してきているものの、まだまだ未産女性の立場は心地良いものとはいえません。

そんなシャッターが閉まった後のどこか薄暗い場所に、力強く光を差し込んでくれた山口智子さんの影響力は大きいものでした。女性は子どもを産んだか、産まないか。言い換えれば「子どもがいる人生」か、「子どもがいない人生」か、どちらかを歩むことになります。

 

おこなしさまは、新たな大人ライフのひとつ

昔に比べて、子どもがいない生涯を送る人は増加しています。今までは少数派だったけど、「新たな大人のライフコース」のひとつとして捉えられるのではないでしょうか。そこで、独身・既婚を問わず「生涯子どもがいない大人の総称」を“おこなしさま”と名付けました。呼称をつけることで、そこに新しいマーケットが生まれ、宙ぶらりんだった私たちの居場所ができるからです。

当然ですが「子どもがいない人生」、「子どもがいる人生」、どちらかを肯定・否定するつもりはありません。ただ、子どもがいない“おこなしさま”が肩身の狭い思いをすることなく、人生の後半を前向きに幸せに生きていきたい。“おこなしさま”の一人として、切に感じています。

そして、子どもがいても、いなくても、すべての女性が心地良い社会になりますように!そんな願いを胸に、“おこなしさま人生”を歩んでいきます。

 

くどうみやこ/大人ライフプロデューサー

 

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