親の年金や貯蓄が少ない場合、施設はムリで自宅介護するしかないの!? 認知症になる前が重要!施設入所で失敗しないための準備

2026.08.30 LIFE

「施設入所はお金がかかる」とは限らない

全国的に高齢者施設が増え、価格帯はさまざまです

「施設に入所するとお金がかかる」というイメージを持っている人は多いかもしれませんが、この10年ほどで有料老人ホームやサービスつき高齢者向け住宅が増え、価格帯もさまざまになりました。地方であれば年金の範囲内で入所できる有料老人ホームも増えています。

「施設に入れるお金がない!」という場合、特養(特別養護老人ホーム)が第1選択肢になるかもしれません。特養などの介護保険施設は、所得が少ない人に手厚い補助があります。

年金額や資産の額によって食費や部屋代への「補足給付」があり、本来1日1450円ほどの食費が300円に、1日2100円の部屋代が880円に減額されるケースも(※)。ただし、特養は原則として要介護3以上でないと申し込めないので、それまでどうするかが問題です。

※年金などの収入が一定額以下で、資産額650万円以下(単身者の場合)の人がユニット型個室に入った場合。

「特養は申し込んでも入れない。数百人待ちだ」といわれていましたが、現在はそうとも限りません。補足給付の資産基準が見直しになったことで、負担があまり軽減されなくなった世帯も多いからです。

施設の選択肢が増えている今、親が元気なうちに情報を集め、施設の見学などを始めておくことをおすすめします。

 

貯蓄が多いと補足給付が受けられない⁉

2021年に補足給付の資産基準が見直されてからは、年金額が少なくても預貯金が一定額あれば補足給付がつかなくなりました。そのため、同じものを食べて同じタイプの部屋に住んでも、月額で7万円近く差が生じてしまうことに。

 

施設の種類による費用の目安

施設の種類による費用の目安

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認知症になるとお金が引き出せないことも

認められるのは本人の利益が明らかな場合です

「認知症になると口座が凍結されるって本当ですか?」と聞かれることがありますが、半分は本当です。預貯金の引き出しには口座名義人本人の意思確認が必要。金融機関側が「判断能力が著しく低下し、契約できない」と判断した場合、お金を引き出すことができなくなるからです。

しかし、介護や施設の入所にお金は必要です。そのため、全国銀行協会が「医療や介護費用で支払いが必要な場合に限り、家族がお金を引き出すことを認める」という統一見解を発表。成年後見制度の利用を前提としつつも、医療費や介護費であることが確認できる請求書や領収書の提出で、家族もお金を引き出せます。

親の判断能力がしっかりしているうちなら、代理人キャッシュカードを作っておくのも手です。ただし親と生計を一(いつ)にする親族、または同居の親族という条件があります。

当てはまらない場合には、銀行に「代理人届」「代理人指名」などの手続きをすませておくと、窓口での出入金が可能になります。いずれも、親に判断能力があるうちしか手続きできませんので、早めに対応することが重要です。

 

「生計を一にする」とは?
多くの場合、同居していれば一つの生計と見なされるが、別居していても生活費や介護費などを定期的に送金していれば「生計を一にしている」と認められるケースが多い。

 

認知症になるとできなくなること

定期預金の解約/株や投資信託の売買

定期預金の解約、株や投資信託の売買などは、銀行や証券会社の窓口や電話口で本人の意思表示がないとできない。認知症とわかると口座は凍結される。

 

不動産の売買
親の名義の不動産を売却して施設入所を考えることもあるが、認知症になると売買契約ができなくなるし、賃貸契約を結ぶこともできなくなる。

生命保険の解約・請求
契約者が認知症になってしまった場合、生命保険の解約はできない。受取人が認知症の場合も請求することができないし、新たに生命保険に入ることもできない。

遺言書の作成
遺産相続に関する遺言書はすべて本人による手続きなので、認知症が進むと書くことがむずかしくなる。また、認知症になってからの遺言書は無効になることも。

 

成年後見制度を利用するなら判断能力があるうちに手続きを

成年後見制度とは判断能力が不十分な人にかわって、後見人が財産管理や契約の締結を行うことです。本人に判断能力があるうちなら、家族などの当事者間で契約して後見人に指名する「任意後見制度」を使うことができますが、判断能力が落ちてからでは家庭裁判所に後見人を選出してもらう「法定後見制度」しか利用できません。その場合、法定後見人に選出されるのは弁護士や司法書士などが多く、月額数万円の報酬も必要になります。

 

ここまでの記事では、介護費用の考え方や認知症に備えるためのポイントについて紹介しました。つづく関連記事では、「親のデジタル財産の確認方法」をお届けします。
つづき>>サブスク代が、死後も親の「ネット銀行」から引き落とされ続け…相続で困る「デジタル遺産」の落とし穴

 

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黒田尚子(くろだ・なおこ)
ファイナンシャルプランナー。CFP®認定者、1級FP技能士。一般社団法人患者家計サポート協会顧問、消費生活専門相談員失格、CNJ認定 乳がん体験者コーディネーター、城西国際大学・千葉商科大学非常勤講師。がんなど病気に対する経済的備えの重要性を訴える活動を行うほか、老後・介護・消費問題にも注力。著書・監修書に『マンガで解決 親の介護とお金が不安です』『マンガでわかる お金に人生を振り回されたくないから 超ビギナーが今すぐやること教えてください』(ともに主婦の友社)など多数。

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