「一段落」は「いちだんらく」?知らないと恥かく読み間違え10選
元号改正で再び漢字に注目が集まっています。誤読をした政治家が立たされるなど、ヒヤヒヤする場面も。今回は、誰もが知っている漢字を使っているのに、誤読の多いものを選んでみました。
1・一家言
読み間違いの例
いっかごん
正しい読み
いっかげん
意味
その人独特の主張・論説。また見識のある意見。
例
あの人は、一家言(いっかげん)ある人だ。
説明
「言」は「ごん」とも読みますので、どちらか分からない人が当てずっぽうで読んでしまうことが原因かと思われます。普段、使うようにすると間違いが減るかもしれませんよ。
2・一段落
読み間違いの例
ひとだんらく
正しい読み
いちだんらく
意味
一つの段落。ひとくぎり。転じて、ものごとがひとくぎりしてかたづくこと。
例
仕事が一段落(いちだんらく)した。
説明
「一安心」は「ひとあんしん」、「一区切り」は「ひとくぎり」と読みますので、その流れで「ひとだんらく」と読む人が急増。その結果「ひとだんらく」でも変換されるようになってきましたが、変換されるからと言って正しい読み方ではありません。気をつけましょう。
3・徐に
読み間違いの例
じょに
正しい読み
おもむろに
意味
落ち着いて事を始めるさま。しずかに。ゆるやかに。
例
彼は、ずっと考えていた様子だが、徐(おもむろ)に、口を開いた。
説明
「徐々に」は「じょじょに」と読むので、読み方を知らない人が「じょに」と読んでしまうのかと思います。または「読めない」という人も多いのでは?
4・琴線・逆鱗
読み間違いの例
ことせん・ぎゃくりん
正しい読み
きんせん・げきりん
意味
琴線……感じやすい心情。心の奥に秘められた、感動し共鳴する微妙な心情。
逆鱗……天子の怒り。また、目上の人の怒り。竜のあごの下のさかさのうろこに触れると怒ってその人を殺すという韓非子の故事により、天子を竜に例えて言う。
例
琴線(きんせん)に触れる……感動すること
逆鱗(げきりん)に触れる……激怒すること
説明
これ、逆に使っている人が結構います。以前、怒って「彼女の言葉が私の琴線に触れたんです!」と言った人がいて、どうなだめたら良いか躊躇しました。私は大切な友人が誤読をしていたら、その人の為にと、それとなく話しているのですが、このときはとても怒っているので、さすがに言えませんでしたね。それこそ「こんな時に言葉の修正なんて!」と逆鱗に触れそうですから。
5・奇しくも
読み間違いの例
きしくも
正しい読み
くしくも
意味
不思議にも。怪しくも。
例
奇(く)しくも同じ日に亡くなられた。
説明
「奇」は「き」と読みますので、「きしくも」と読んでしまうのかと推察します。また、使い方にも注意が必要です。「皮肉にも」「悔しくも」のような意味には使えません。「不思議」の意味が強いからです。
6・十把一絡げ
読み間違いの例
じゅっぱひとからげ
正しい読み
じっぱひとからげ
意味
どれもこれもあまり価値のないものとして、多数をひとまとめに扱うこと。また、何もかも一緒くたにして扱うこと。
例
「これだから若い人は」と、若者を十把(じっぱ)一絡げにしてはいけない。
説明
これはこの言葉がどうというより、「十」の読み方に問題があります。「十個」も「じっこ」ですし、「二十点」も「にじってん」です。「十」には「じっ」という読みはあるのですが「じゅっ」という読みはないからです。会話の中では問題になりませんが、筆記では違いを把握している必要があります。小学生のテストでも「十羽」は「じゅっぱ」では不正解で、正解は「じっぱ」です。
7・脆弱
読み間違いの例
きじゃく
正しい読み
ぜいじゃく
意味
身体、器物、組織などが、もろくよわいこと。
例
セキュリティの脆弱(ぜいじゃく)性が発見された。
説明
「脆」の右側が「危」で「き」と読むので、このような読み間違いをする人が多かったのですが、最近ではパソコンのOSやソフトで脆弱性が発見された時に、この言葉を耳にする機会が増えましたので、誤読は減りましたね。
8・巣窟
読み間違いの例
すくつ
正しい読み
そうくつ
意味
悪者などの隠れ家。
例
この店は、麻薬密売人の巣窟(そうくつ)になっている。
説明
「巣」は「す」と読みますので、「すくつ」と読み間違う人も多いようです。まずは言葉をきちんと覚えておいて、「巣」の漢字を合わせて記憶しましょう。
9・総帥
読み間違いの例
そうし
正しい読み
そうすい
意味
全軍を指揮統率する人。総大将。最高指揮官。転じて、企業グループなどを率いる人。
例
彼は、系列グループ全ての総帥(そうすい)だ。
説明
「帥」が「師」の字に似ているので「し」と読んでしまう人がいるのだと思います。「帥」は「将帥」「元帥」でも使われる「大将」の意味を持つ「帥」です。
10・諸刃の剣
読み間違いの例
もろはのけん
正しい読み
もろはのつるぎ
意味
一方ではたいそう役に立つが、他方では大害を与える危険を伴うもののたとえ。
例
この方法は問題を早く解決できるが、少数意見を無視することになる。諸刃の剣(つるぎ)の案と言えるでしょう。
説明
先日、天皇皇后両陛下が退位前、最後の地方訪問で伊勢神宮に参拝された際、三種の神器がそろったのですが、その一つが「草薙剣(くさなぎのつるぎ)」です。「剣(つるぎ)の舞」でも「つるぎ」で使いますね。確かに「剣」は「けん」とも読みますが、この言葉に関しては「つるぎ」が正しいのです。またたまに「諸刃の刃(やいば)」という人を見かけますが、書いてみると分かるとおり「刃」がダブります。剣は、包丁などと同じで、普通は片側は切れないようになっています。両刃とは両方が刃になっている状態を表し、そこからこの意味になっています。
みなさん、どうですか?人によっては間違えて覚えていたり、あやふやだったりした言葉もあるでしょう。元号改正で言葉に興味が集まっているようです。間違っていたものは、この機会にしっかりと覚え直すと良いかもしれませんね。