イライラが止まらないとき、「落ち着こう」とするのはNG⁉ 瞑想前に「あること」をするといいらしい…専門家がすすめる「意外な行動」とは

2026.09.15 LIFE

「気持ちを切り替えようとしてもイライラが消えない」「同じことで何度もモヤモヤする」──そんな経験はありませんか?

心理学をベースに、経営者やトップアスリートなど多くの人を支援してきたメンタルコーチ・平本あきお氏は、感情を本当に手放すには“身体”へのアプローチも欠かせないと語ります。

本記事では、平本氏の著書から、ネガティブな感情を解放するための意外な方法と、心をおだやかに整えるヒントを紹介します。

※本記事は書籍『感情は全部出し切ったほうがいい つい、自分の気持ちを我慢しすぎてしまう人のためのメンタルスキル』(平本あきお:著/日本実業出版社)から一部抜粋・編集したものです。

 

感情は頭ではなく、身体で手放す

近年は、ネガティブ感情をコントロールするためのメンタルスキルが、世の中にたくさん出回っています。

このような方法を耳にしたことはないでしょうか。気になることを紙に書き出して、「親がいつも怒っていたから、自分も怒ることがクセになってしまった」などという自分の心のパターンに気づき、「イラッとしたら待つ」といった行動のコツを身につけていく。

さらに、「自分は何に傷ついたのか」や「本当はどうしてほしかったのか」がわかる場合は、それを言葉にして伝える練習をする。

このようなトレーニングを重ねることで、すぐに怒るクセから少しずつ抜け出していくこともできるでしょう。

それでも、こうしたことに意識的に取り組んでいるのに、なぜかイライラが収まらないとか、どうしても抜け出したい状況から抜け出せない場合は、いったんその感情を、身体全体を使ってしっかり出し切る必要があります。

なぜなら、「感情」と「身体」は、深くつながっているからです。感情を本当に解放するためには、身体を動かすことがとても大切なのです。

たとえば、身体を動かしたら、どんよりしていた気分が少し軽くなったという経験は、きっと誰にでもあると思います。

走ったり、踊ったり、ジャンプをしたり、軽く汗をかくような運動をすることでも、心の奥に溜まっていた怒りや不安がだんだん弱まっていくのを感じることがあるでしょう。

ストレッチで身体をぎゅっと縮めたり、大きく伸ばしたりする動きも効果的です。身体を動かすことは、心に溜まった怒りや不安、不満などを、誰も傷つけないかたちで外に出す「安全な出口」になるのです。

 

心を軽くするための具体的な方法

私がセッションの場で感情を出し切ってもらうときにも、身体を使ってもらいます。とくに、枕やクッションを叩きながら、大声で不満や怒りを吐き出す方法は、とても効果的です。

とはいえ、最初は多くの人が「そんなことをするのは恥ずかしい」「バカバカしい」と感じます。その根底には、「自分の感情を出すのはよくないこと」「人として恥ずかしいこと」という思いこみがひそんでいます。

その場合は、無理をせず、両手のこぶしを強く握りしめ、前かがみになり、歯を食いしばり、「ギューッ」と顔の中心に力を集め、足の指先まで全身を入れながら、不満や怒りを吐き出してみます。

声を出すのが難しい場合は、実際に声を出さなくても、クッションを叩きながら「ふざけるな! 勝手なことばかり言いやがって!」などと心のなかで叫んでみます。

そうして身体を使って感情をしっかり吐き出していくと、ある瞬間、ふっと腑に落ちる感覚がやってきます。「自分のなかに、押し殺していた怒りや悲しみがあった」という気づきが、自然に湧いてくるのです。

瞑想も「静かに座る」イメージが強いかもしれませんが、じつは、身体を動かしたあとや思いきり笑ったあとに行うと、驚くほど深く入れます。

たとえば、腹が立つことを思い浮かべながら枕を叩き、そのあとで静かに座って目を閉じると、頭のなかがすっと静まり、とても深い精神状態になります。

身体を使って、ネガティブな感情を出し切ってはじめて、本当の喜びや愛といったポジティブな感情が湧き上がってくるのです。

全身運動や感情の発散をすることで深い瞑想状態に入るということを、私は40年以上前に世界的な瞑想指導者であるOSHO(オショー。当時は「バグワン・シュリ・ラジニーシ」と呼ばれていた)から学びました。

 

そもそも、瞑想を重要視していたお釈迦さまが生きていた時代には、人々は日常的に肉体労働で身体を動かし、そのなかで起きる口ゲンカや泣き笑いによって自然に感情を発散できていました。

「ただ黙って座る」ことは、当時の人々にとっては新鮮で、意識を深い瞑想へと導くための有効な手段だったかもしれません。

けれども、現代の私たちはどうでしょうか?身体を動かす機会が極端に減り、感情もできるだけ出さないように無意識のうちに抑えこんでいます。

そんな状態で、いきなり「何も考えないようにしよう」としても、頭のなかでいろいろ浮かんできて、ぐるぐるしてしまうのは、むしろしかたのないことです。

人は、身体を使い、何かに没頭しているときには、余計な思考から解放されます。

たとえば走っているとき、サウナで感覚を研ぎ澄ませているとき、あるいはカラオケで熱唱している瞬間、私たちは過去の後悔や未来の心配に心を奪われることはありません。

つまり、大事なのは「考えないようにする」のではなく、「身体と感情を動かす」こと。心を整えるいちばんの近道は、無理に考えを止めようとすることではありません。

まずは身体と感情を動かして、自分のなかに溜まったものをしっかり出し切ること。それこそが、心をもっともおだやかに鎮めてくれるのです。

 

ここまでの記事では、心をおだやかに整える方法についてご紹介しました。つづく関連記事では、成果を出しても満たされない人が抱える「見えない怒り」の正体をお届けします。
つづき>>なぜ?役員候補だった女性管理職がまさかの降格…「男社会」で店員から上り詰めた彼女が直面した壁とは

 

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著者: 平本あきお
エグゼクティブ・メンタルコーチ。カウンセリング、コーチング、ZONEフローの専門家。米国アドラー大学院修士、東京大学大学院修士(臨床心理)。偏差値37から中央大学を卒業後、心理カウンセラー、心理学講師を経て、1995年の阪神・淡路大震災で両親を亡くしたことを機に渡米。小学校、州立刑務所、精神科デイケアなどにコーチングを導入する。2001年に帰国・起業。現在は上場企業経営者・役員、トップアスリート、アーティスト、インフルエンサーなどのエグゼクティブコーチを務める。オリンピック金メダリスト、メジャーリーガー、サッカー日本代表、プロ野球監督、俳優、経営者など、多くのハイパフォーマーを26年間サポート。また、ソフトバンク、本田技研工業、三菱UFJ銀行、富士通など200社以上・12万人に、リーダーシップや管理職、キャリア研修を実施。著書に『すぐやるコツすぐやめるコツで全部うまくいく!』、共著に『アドラー心理学×幸福学でつかむ! 幸せに生きる方法』などがある。

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