「なんとなく不調…」の原因は、免疫力の上がりすぎ!? 気づかずに放置するとマズい「腸漏れ」の正体とは【専門家が解説】

腸のダメージが進むと「腸漏れ」が起こる?

腸へのダメージが蓄積していくと、最終的には「腸漏れ」と呼ばれる状態になります。学術的には「リーキーガット」といいます。

通常、腸の壁は上皮細胞という細胞が手をつないでシートを作り、バリアを形成しています。たった1層の細胞のシートですが、この薄さがむしろ大切で、栄養をスムーズに吸収するために必要な構造です。この壁をくぐり抜けて変なものが入ってきた場合には、壁の内側にいる免疫細胞がすぐに反応できる仕組みにもなっています。

しかし体内に入ってくるエネルギーが不足してくると、細胞がしっかり手をつなげなくなってしまいます。細胞同士の間が緩んでしまうのです。すると、腸内にある未消化の食品成分や腸内細菌の構成成分の一部が、体の内側に漏れ出てしまうようになります。

 

この点について國澤先生は誤解のないよう強調します。腸漏れと聞くとウイルスや細菌がどんどん体に入ってくるイメージを持つ人が多いそうですが、そのレベルではないとのこと。そこまでになると敗血症のような激しい炎症が起こります。腸漏れはもっと小さいレベルの話で、「本来入ってこないはずのものが、ちょろちょろと入ってくる」状態なのだそうです。

免疫細胞が「なんか変なものが入ってきた」と気づいて、ずっと忙しく対応し続けなければならない状態になります。病原体が入ってきたほどのレベルではないのですが、何か変な状態がずっと続くことで、免疫がいわばアクセルを踏み続ける状態になってしまうのです。

 

免疫はバランスが大切で、上がりすぎて暴走すると花粉症になったり、炎症を起こしたりしてしまいます。腸漏れになると、アクセルとブレーキのバランスが崩れて、アクセルのほうが強くなってしまいます。病気にはならないけれど、だるいとか疲れやすいという症状が出てきます。そして炎症性疾患など何かのきっかけが加わると、元々アクセルが強めになっているところにさらなる刺激がプラスされて、病気の症状が出やすくなるというわけです。

 

さらに、腸漏れは腸内環境にも悪影響を及ぼします。通常、上皮細胞がしっかり手をつないで働いていると、小腸・大腸ともに最適な酸素の状態に保たれています。大腸には酸素が大嫌いな善玉菌(ビフィズス菌など)が多いのですが、腸漏れになると酸素が大腸の中にあふれてしまい、善玉菌がどんどん減ってしまいます。上皮細胞の連携が乱れ、免疫機能が落ち、善玉菌が減る——これが連鎖的に起きるのが、腸漏れの怖さだと國澤先生は指摘します。

自分では気づかないうちに腸はダメージを受け続けて「腸漏れ」を起こし、じわじわと免疫バランスを崩すかもしれないということがわかりました。「なんとなく疲れやすい」「だるさが取れない」という感覚は、腸からのSOSサインかもしれません。

 

後編では、秋の季節の変わり目に免疫力を保つための具体的な方法、そして「食物繊維を摂るだけでは足りない」という意外な真実についても、國澤先生に詳しく語っていただきます。

 

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『【腸活】食物繊維だけじゃ意味がない?「菌のリレー」で免疫力を最大化するために、専門家が明かす「誰でもできる生活習慣」』

 

 

■解説 
國澤 純 先生
国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 医薬基盤研究所 副所長/ヘルス・メディカル微生物研究センター センター長。大阪大学薬学部卒業、薬学博士(大阪大学)。米国カリフォルニア大学バークレー校への留学後、東京大学医科学研究所助手。同研究所助教、講師、准教授、現所属プロジェクトリーダーを経て、ヘルス・メディカル微生物研究センター センター長。2024年より医薬基盤研究所 副所長。その他、東京大学医科学研究所客員教授、大阪大学医学系研究科・薬学研究科・歯学研究科・理学研究科招へい教授(連携大学院)、神戸大学医学研究科客員教授(連携大学院)、早稲田大学ナノ・ライフ創新研究機構客員教授などを兼任。

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