心臓病や脳卒中の引き金にも?「雨の日は不調」を軽く見ないで…天気の変化が体に及ぼす意外な影響を専門医が解説

雨が降る前になると頭が痛くなる。天気が崩れる日は体がだるい。そんな不調を「気のせい」や「疲れのせい」と片づけていないでしょうか。

実は、天気の変化は頭痛やめまいだけでなく、自律神経や血管にも影響を与え、心身にさまざまな不調を引き起こすことがあるといいます。天気痛研究の第一人者で、日本初の「天気痛・気象病外来」を開設した佐藤純氏は、こうした症状を「気象病」と呼び、注意を呼びかけています。

本記事では、佐藤氏の著書から、天気の変化が体に及ぼす影響や、見過ごされがちな気象病の実態について紹介します。

※本記事は書籍『1万人を治療した天気痛ドクターが教える  「天気が悪いと調子が悪い」を自分で治す本』(佐藤純:著/アスコム)から一部抜粋・編集したものです

 

天気の変化は、心と体にさまざまなストレスを与えます

天気の変化に悩まされているのは日本人だけではありません。世界各国で、その症状をうったえている人たちがいます。

つまり、国や地域ごとの気象条件にかかわらず、天気の変化は人間の体になんらかの影響を与えうるということです。

症状は痛みだけにとどまりません。天気の変化による温度の高低が心臓病や脳卒中の引きがねになることもあります。

暖かい屋内から気温の低い屋外に移動する際の急激な血圧の上昇や、気温の変化が血管にダメージを与えるからです。

気象病研究が進んでいるドイツでは、気象庁が心臓疾患の天気注意報を発表していたりもします。また喘息の症状やうつ病などの精神疾患をまねく恐れもあります。

さらには、虫垂炎や歯周病が悪化する要因になることもあるといわれています。

このような、天気の影響を受ける病気や症状は、「気象病」という総称で呼ばれており、ドイツでは、30種類にもおよぶ病気や症状が認められています。

その中で、頭痛や関節痛など、とくに痛みにまつわる症状を私は「天気痛」と名付けています。

 

自分も他人も原因に気づきにくく人間関係のトラブルをまねくことも

気象病がやっかいなのは、自分では判断がつきにくいことです。

たとえば、雨の日に体調を崩しやすかったり、気分が落ち込んでしまったりする傾向にある人でも、それが雨のせいであると自覚できないケースが多々あります。

体がダルくて動かない。どことなくイライラする。でも、はっきりとした病気というわけではないから頑張るしかない。そうやって無理をして、ストレスをため込んでしまう。

これは本当に危険で、うつや不眠といった症状を誘発しますし、最悪の場合は自殺願望を抱いてしまうことさえもあります。

さらに問題なのは、気象病のつらさは自分以上に他人にはわかりにくいということです。

ゆえに仮病と思われたり、サボっているように見られてしまうことがあり、そんな他人の“懐疑のまなざし”を気にして、なおいっそう心を病んでしまう人もいます。

過去に私が診察した患者さんのなかに、こんな人がいました。曇りや雨の日に頭痛がひどくなり、学校に行けなくなることもあるという、高校1年生の女性Aさんです。

Aさんの頭痛がはじまったのは小学5年生のころで、最初はひどい痛みはなかったものの、中学に入ると症状が悪化し、授業中に保健室に行ったり、頻繁に学校を休んだりするようになりました。

それが周囲に「サボり」と認識され、いじめを受けるようになってしまったのです。

Aさんは、適切な治療を受けてからは元気に学校に行けるようになりましたが、中学時代に心身両面に負ったダメージは相当大きかったはず。

病気のことを他人に理解されないのは、本当につらいことだったと思います。

気象病を放っておいて、いいことは何もありません。とくに思い当たる原因がないのに、何かおかしいな? 調子が悪いな?と思ったら、天気との因果関係を考えてみるようにしましょう。

 

ここまでの記事では、天気の変化が心身に及ぼす影響について紹介しました。つづく関連記事では、「気象病」の実態をお届けします。
つづき>>全国に1000万人以上!? 「雨の日は調子が悪い」を放置しないで…専門医が警鐘を鳴らす「気象病」の実態

 

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著者:佐藤 純(さとう・じゅん)
天気痛ドクター・医学博士。日本慢性疼痛学会認定専門医。中部大学生命健康科学研究科教授、愛知医科大学客員教授。1958年福岡県生まれ。30年以上にわたり、気象と痛み、自律神経との関係を研究。1983年に東海大学医学部を卒業後、名古屋大学大学院で疼痛医学、環境生理学の研究をスタート。1987年、米ノースカロライナ大学に留学し、慢性疼痛と自律神経系の関係について研究を行う。名古屋大学教授を経て、2005年より愛知医科大学病院・痛みセンターで日本初の「天気痛・気象病外来」を開設。天気痛研究・診療の第一人者として「ためしてガッテン」「あさイチ」(NHK)、「世界一受けたい授業」(日本テレビ)などメディア出演も多数。2020年には株式会社ウェザーニューズと共同開発した「天気痛予報」をリリースし、注目を集めている。主な著書に『天気痛 つらい痛み・不安の原因と治療方法』(光文社)、『まんがでわかる天気痛の治し方』(イースト・プレス)、『「雨の日、なんだか体調悪い」がスーッと消える「雨ダルさん」の本』(文響社)、『ビジネスパーソンのための低気圧不調に打ち勝つ12の習慣』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)などがある。

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