家庭崩壊で深夜の警察署へ…ヤングケアラーの高校生に警察官がかけた「忘れられない言葉」

2026.10.28 LIFE

きみは、絶対に応援されるべき人間だ

警察署に到着してから2時間ほどが経過したころ。ようやく両親の取り調べが終了しました。

結果的には刑事事件として取り扱われないことになったものの、慎重を期すため、両親は家に帰り、僕と妹は、隔離施設で一晩を明かすことになりました。

まだ朝の5時だったので、先ほどの警察官は僕らをパトカーで隔離先の施設まで送り届けてくれました。

後部座席に座った僕と妹ですが、疲れ切った様子の妹は、ぐったりと寝てしまいました。パトカーの窓越しに夜明け空を眺めていた僕に、警察官は言いました。

「きみ、『ドラゴン桜』って知っているか?」
「『ドラゴン桜』、ですか? すみません、知りません」
「ああ、謝る必要はないよ。いま、テレビで『ドラゴン桜2』というドラマが放送されてるんだ。偏差値の低い生徒たちが東大を目指して人生を逆転させていくっていう物語なんだが、きみの話を聞いていたらね、よっぽどきみのほうが『ドラゴン桜』じゃないかって思ったんだ。こうやって、逆境から東大を目指している人がいると知れて、感銘を受けたよ」

当時は、テレビをまったく見ていなかったので『ドラゴン桜2』というドラマを知りませんでした。ただ、自分の人生がドラマみたいだと言われたのは、なんとも不思議な感覚だったのを覚えています。

しばらくして、隔離施設に到着しました。僕は「ご迷惑をおかけしてすみませんでした」と挨拶をして、パトカーを降りようとしましたが、警察官は、それを引き止めて静かに、力強い声で言いました。

「謝る必要はない。むしろ謝らなければならないのは、私たち警察官のほうだ。民事不介入と言ってね、私たちは家庭の問題には深く介入できない。きみたちのように苦しんでいる子どもが目の前にいても、できることは本当に限られているんだ」

警察官は運転席から振り返り、まっすぐ僕の瞳を見て続けました。

「しかしきみは違う。きみには、私たちにはない力がある。これだけ過酷な環境の中で未来をつかもうとしている。その覚悟と努力は、誰にも真似できるものじゃない。きみは、絶対に応援されるべき人間だ。だから、負けるな。必ず東大に行ける。そしてきみならこの社会を、きっとより良く変えられる。信じているよ」

この言葉を、僕は一生忘れません。そして、僕は決心しました。「東大に合格できたら、この経験を社会に届けよう」と。

 

最初から読む>>「一家心中」寸前から難関校受験へ…残された時間はあと1カ月。偏差値52の中3男子が「東大」を目指した理由とは

 

◆関連記事◆
■富裕層から一転、全財産を失い人生をやり直した40代男性。愛する家族と幸せになるはずが…妻との離婚を招いた「意外な原因」とは

 

Amazonでこの書籍を見る
楽天ブックスでこの書籍を見る

1 2

スポンサーリンク

スポンサーリンク

スポンサーリンク