40代美人は「やっていない」自宅での2つのスキンケア【ヘルスリテラシー#2】
こんにちは。「予防医学」を啓蒙するアンチエイジング医の中村康宏です。
前回はどうして僕が「予防医学」を志すようになったのか、NYのセレブを通じて知った事実と、健康に関する正しい情報を使いこなす概念「ヘルスリテラシー」を簡単にお伝えしました。
そして最後に、40代女性が最初に気づく老化現象、シミ・シワ・たるみなど顔の変化の原因と対策に触れました。
今回は、「家庭用の低周波美顔器や、たるみとりローラーは意味があるのか?」という質問へのお返事からスタートします。
僕の答えは、「イエス」。ただし、2つ条件があります
1つめ、「現状維持」にはなるけれど、「改善」は期待しない。
2つめ、絶対に「力をかけたマッサージはしない」。
そもそも、これら、シミ・しわ・たるみは「老化」で起きるものです。外側からは「顔の老化」とひとくくりですが、
1・【土台】部分の筋肉のたるみが原因で起きる現象
2・【表面】の皮膚に近い、筋膜より上の表層部分が原因で起きる現象
2つのあわせ技です。
気になる部位でわかる、あなたの「たるみ」の原因
あなたの気になる「たるみ」部分はどこですか?
☑ 頬骨の上
☑ 頬骨の下
☑ 頬の横
☑ 全体的な脂肪のたるみ
これらは「1・土台部分の筋肉のたるみが原因で起きる現象」です。
低周波美顔器は表皮を通して筋肉を収縮させますが、「収縮させ続ける」効果はありません。ですから、瞬間的な筋肉の張りは出ますが、引き上げの効果をずっと保てるかは難しいところ。
皮膚~筋肉は、表面側から、まず表皮・真皮。次に皮下組織に皮下脂肪がくっつき、その下が筋肉をつつむ筋膜(鶏肉を切ると出てくる白い膜、SMAS)と筋肉です。
筋膜を刺激できれば土台の筋肉が上がり、あわせて皮下脂肪も上がるので、美容医療の世界ではこのSMASに直接届く、超音波やラジオ波を使います。
もう1つの「2・表面の皮膚に近い、筋膜より上の表層部分が原因で起きる現象」は、表層のシワ。これは化粧品などの、上から補うアプローチでOKです。
どちらが原因かで行うべきケアが違う
ポイントは、「1・土台が原因のたるみ」に、「2・表層のケア」を行っても無駄な点。ですから、あなたのたるみが1か2か、どちらかを見極める必要があります。
僕たち医師の立場から見ると、家庭用のケアは基本的に治療ではなく「維持」のためのもの。
身体が老化していくと、本来リンパ管を経由し血流に乗って身体に戻っていくべき脂肪などが漏れ出てきて、表情に無駄に脂肪がつきます。そして表情グセを悪化させます。
家庭用のケアは本来身体に戻っているべきものを戻すもので、いわばマイナスがゼロに近づく「維持」。それを越えてプラスの「効果」を得るためには構造にアプローチする必要があります。
2の表面ならヒアルロン酸、1の深いところならば筋膜という具合に、クリニックならではの対策をするのです。なお、皮膚を切開するフェイスリフトは侵襲性が高いので、最近は超音波がトレンドです。
あなたのたるみが、額、目の下ならば、それは「2・表面」のしわ。この部位は皮下脂肪が少ないので、土台が多少崩れても感じにくいんです。
いっぽう、目の上は「1・土台」で、脂肪部分です。土台が下がることでしわができやすくなってしまう。眼瞼下垂などもこのタイプです。まぶたの上がたれれくると、目を開けるために眉毛を上げるので、おじいちゃんみたいな額にしわの寄った表情になります。
頬、ほうれい線の場合は、「1・土台」も「2・表面」も両方の場合があり得ます。どちらだけの場合も、両方の場合ももちろんあり。コラーゲン補充やラジオ波照射を行います。
どちらにせよ、冒頭で申し上げた通り、「力を入れたマッサージ」は否定的。やればやるほど表皮に対して悪い影響があると考えられています。化粧品を塗布するならあくまでも軽く、力を入れずに。
医師・予防内科医・米国栄養士・産業医・MPHホルダー(米国公衆衛生学修士)
中村 康宏先生
米国留学を経て、健康増進・健康防衛のための医療を提供すべく「中村康宏内科クリニック」を京都で開業。その後、日本初のアメリカ抗加齢学会施設認定を受けた「虎の門中村康宏クリニック」を東京で開業。一般内科診療、アンチエイジングを追求する女性への美容医療、外国人の企業検診や訪日旅行客へのヘルスケアサービス、IT企業の社長へジムの運動メニューまで考える「顧問ドクター」、産業医として、企業のメンタルヘルスに関する相談などの予防に特化した医療サービスを提供している。無料相談会も全国各地で実施、ぜひお運びください。
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