【岩井志麻子】やってはいけない! 40代からの「イタイ恋愛」 

2019.09.03 LOVE

八月の半ばに世間を騒がせたあの、あおり運転の熟年カップル。

あれはもう例外というか論外というか、いちゃもんつけられて殴られた罪なき運転者達はお気の毒ではあったが、不慮の事故、不測の事態で死者が出なくてよかったというしかない。

 

婚活の出会い系で知り合ったアノ二人

しかしあれ、独身のアラフォー、アラフィフ女性をちょっと別のところでざわつかせた。あの二人、婚活の出会い系で会ったらしい。

で、正式な結婚はしていなかったものの、公私ともにパートナーとなり、犯罪行為でも共犯者となってしまった。男は反社会的乱暴者としかいいようがないが、資産家の息子で高学歴、すぐ辞めたとはいえ有名会社にも勤め、会社も経営していた。

イケメンではないが、まぁ普通の範囲内に収まる見た目ではないか。外車に高級ブランド品、本人も見た目や持ち物に気を遣ってこだわりもあったようだし。

 

意外と若さと外見は重視しない?

なんといっても彼女は、彼より八歳も年上だったのだ。

彼女の中では、若いイケメンの金持ちをゲットしたーっ、だったんだろうね。ものすごく異論あり、異議申し立てはしたいが、彼女のその考え、思いを真っ向から否定もできない現実はあった。

彼をかばうところなどないが、連れていた女が若い派手な美人ではなかったことで、微妙な情状酌量の余地ありかも、と揺らぐ熟年女性達もいる。大っぴらにはいえないけど。彼は女を、若さと容姿で選ばなかった。

共依存といういい方もあるが、外車やブランド品のように、女を自分を飾る持ち物、道具ではなく、気が合う相手、一緒にいたい仲間、悪事ではあったがともに突き進む同志として選んだのだ。

彼もまったく女を見る目はないが、とにかく若さと外見は重視しないのよ。

 

四十路からは控えたい、イタイ恋愛

では彼女も、そのように並べて語れるかというと、これは違ってくる。

彼女は明らかに、彼のスペック、経歴に惹かれたんだろうからね。その条件のいい男を逃がしたくなくて、たぶん彼が望んだはずの包容力だの母性愛だのを良き方向には発揮せず、「あなたが正しい」とけしかけ、「私のダーリンの敵は私の敵」と暴走を加速させてしまった。

これは悪い妻ではなく、悪い母だわ。彼が全て、彼が一番。四十路を超えたら、その視野狭窄さは純愛にも情熱にもならない。

スポンサーリンク

この記事は
作家 岩井志麻子

スポンサーリンク

スポンサーリンク