この正月太り、どうすればいい?医師が提案する「簡単リセット法」は

オトナサローネの読者のみなさん、2020年、明けましておめでとうございます。「予防医療」のスペシャリストで、医師の桐村里紗です。

この連載では、人生100年時代の折り返し地点、50歳になる前にやめたい悪習慣についてお伝えしていきます。

オリンピックイヤーでもある今年は、特に楽しい気分と共に食欲も高まり、お正月太りに悩まされる方も多いかも。
ハメを外し過ぎると後戻りがたいへんになりますから、我慢しない程度に工夫しながら過ごしつつ、明けましたら、ちょっとリセットしましょうか。

【ネオヘルスケアドクターLISAの「50歳になる前にやめる100のこと」#8】

太る正月の過ごし方モデルケース

年越しは、家派かアクティブ派か、もしくは海外逃亡派かに分かれると思いますが、皆さんはどうでしょう。

太って当たり前な正月の過ごし方のモデルケースは、やはり家派でしょうか。かくいう私も家派です。

年末はやや豪華めの料理を家族で囲み、ぼんやりとお菓子をつまみながら『紅白』を観たり観なかったりしていたら、10時を過ぎたくらいから、ほろ酔いの父が年越しそばを茹で始めるので、「もうお腹いっぱいだ!こんな時間に食べるなんて最悪だ!」などと母と悪態をつきながらも、ゾゾゾっと一口すすったが最後、「結局、一杯食べれたじゃん!」となるのが常。

ミッドナイト、「明けましておめでとう」を交わしたかと思うのもつかの間、お腹いっぱいのままベッドへGO!

そして翌朝は、朝からお屠蘇(とそ)と言いながら、お節をつまみに日本酒を呑み、当然ながら、お雑煮もしっかりと食べない訳にはいきません。

「初詣くらいは行きましょうか」となったとしても、「寒いから」と車を使ってしまう三が日。

ただ、アクティブ派であっても海外派であっても、普段よりも食事や飲酒が増えて太りやすいのは変わりないと思います。

 

運動不足は少しの意識で解消

脂肪が増えて太るには、「摂取カロリー=食べる・飲む」より「消費カロリー=動く」が少ないという基本がもちろんあります。

プラスマイナス、プラスに傾き続けて太るのですが、まず、年末年始は普段より運動量が減りがちで、マイナスが少なくなります。
普段、通勤で合計30分歩く75キロカロリー、電車で15分立っている50キロカロリー、30分掃除をする90キロカロリーなど、日常の何気ない動作の積み重ねで案外カロリーを消費しているものです。

「一年の計は元旦にあり」と心得て、体が緩み切らないようにしたいところです。

家であっても腹筋を意識しながら姿勢良く座り、筋肉を意識してきびきびと動く。
できれば、引きこもらずに30分でも出かけて、ダラダラ歩くのではなく、少し早足かつ大股で歩いてみる。

お正月であっても少しでも体を使うように意識をすることが大事です。

 

餅、砂糖、塩分、そして酒

運動不足もさることながら、とにかく、お正月は食べ過ぎでプラスが多過ぎるが問題です。

日本人を正月太りさせる元凶は餅

お雑煮を食べなければ新年は迎えられませんから、お餅は絶対に外せませんし、三が日を明けてもかなり長く登場することも珍しくありません。

このお餅、カロリー的には、そんなに高くはないのです。

  • 切り餅1個(約50g):約120キロカロリー
  • 丸もち1個(約35g):約80キロカロリー
  • ご飯軽く1杯(約150g):約250キロカロリー

案外、ご飯1杯のカロリーの方が高いのですね。
これは食べる量の関係なので、もちろん、お餅とご飯、同じ量食べると、切り餅3個(150g)=360キロカロリーですから、同じ150gのご飯より110キロカロリーほど高カロリーになります。

モチモチのデンプンが太る元

カロリーもさることながら、お餅は、モチモチのデンプンが太りやすい原因です。
デンプンには、お餅に含まれるモチモチのデンプン=アミロペクチンポソポソのデンプン=アミロースがあります。
もち米はアミロペクチン100%。うるち米は、そのハイブリッド。タイ米などポソポソのお米は、アミロースが多いお米になります。

モチモチのアミロペクチンが、太りやすいデンプンです。100%が小腸で吸収され、エネルギーになります。
一方で、アミロースは、小腸で100%は吸収されず、一部が食物繊維のように大腸まで届き、腸内の善玉菌のエサになります。ですから、人のエネルギーにはなりにくいのです。

普段お米を食べていた人が、お餅を食べると、食物繊維のような働きが不足して腸内環境を悪化させ、便秘がちになります。
これも、太る元。

お餅は複合的に太る原因になりますから、朝のお雑煮に1〜2個入れる程度にとどめておきましょう。

甘辛い味付けは脂肪と水で太らせる

味付けも問題です。
お正月料理は、伝統的に保存のために、砂糖と塩、醤油を普段より多く使った甘辛い味付けが基本です。
そうでなくてもお餅を食べるので、普段よりも糖質を多く取る上に、砂糖たっぷりの料理。
糖分は余ると脂肪に変わります。

それに、塩分。塩分自体は、脂肪を増やすわけではありませんが、体に水を溜め込んで体重を増やします。

最近では、スーパーは年始から空いているものなので、本来は保存食を作る必要はありません。砂糖をみりんに変え、塩分は控えめに味付けするのもマルです。

夜のおすすめメニューは、出汁ベースの野菜たっぷりの鍋物。柑橘を効かせたポン酢を使うと、塩分量を控えることもできます。野菜をたっぷりと摂ることで、塩分を排泄するカリウムも摂取できますよ。

アルコールは体重をぐんとアップさせる

アルコール自体には1gで7キロカロリーというカロリーがあり、アルコール自体でも太ります。
それに、年始に登場する日本酒は、糖分が多いので、糖とアルコールの組み合わせで、ビールと共に最も脂肪に変わりやすい組み合わせになります。

糖分を控えるという点では、ハイボールやドライなワインなどの方がベターです。
もちろん、強すぎるお酒は、アルコール自体のカロリーで太りますから注意が必要です。
肝臓を休める時間を作るために、飲みすぎたら翌日は抜くなどの調整もして下さい。
詳しくは、『【年末年始】その1杯でデブらない!「宴会続き」でも太らない簡単なルールとは』をご参考に。

 

お正月明けに実践したいベジ・ファースト

食べ過ぎ飲み過ぎのお正月を避けられなかったら、胃腸や肝臓は疲弊し、腸内環境の悪化と共に代謝も悪くなります。
肝臓の処理能力を超えた糖や脂肪、アルコールは、体の脂肪に変わり、蓄積されてしまうことになります。

ここで体の状態と共に体重を元に戻すためにやるべきは、無理なダイエットではなく、疲弊した内臓を休め、腸内環境を改善すること。

その為にお勧めしたいのが、ベジ・ファースト。

スープやサラダをモリモリ食べる

野菜をゴロゴロたっぷりと使ったスープやサラダを、食事の最初にモリモリ食べます。
玉ねぎ、キャベツ、ブロッコリー、セロリ、大根、葉物野菜などの糖質の少ない野菜や海藻を中心にして、ジャガイモやカボチャなどのほこほこした糖質の多い野菜は控えます。

自炊派でしたら、ぜひ、スープは作り置きを。
塩分は控えめにして、使うなら精製塩ではなく、カリウムやマグネシウムなども含む自然海塩にしましょう。

自炊の暇がない方は、外食でもスープやサラダの専門店やベジメニューが選べる店をチョイスしてみましょう。

ベジ・ファーストの効果

たっぷりの野菜をよく噛んでゆっくり食べることで、まずお腹がいっぱいになります。
そして、食物繊維を食事の最初に摂ることで、腸内環境も改善する上、その後の糖質や脂肪分の吸収を抑える食べ順ダイエットの効果も見込むことができます。
海藻は食物繊維も塩分を排泄するカリウムも多いので、お勧めです。

肉などの消化に負担のかかるタンパク質は、胃腸を休める期間は普段より控えめにしてよく噛んで食べるようにしましょう。
納豆のように発酵したタンパク質は、消化の負担がなくお勧めです。

当然に、揚げ物やスイーツなどの甘いもの、アルコールは控えたいところです。
そして、ご飯は、普段の半分程度を心がけてみましょう。
胃腸を休め、これ以上余分な脂肪を蓄積させずに引き算していく目的です。

お休みの日はプチファスティングもOK

お休みの日に余裕があれば、1日をスープやサラダだけで過ごすとプチファスティングになります。
平日は、ベジ・ファースト。
休みの日は、1日ベジデイ。
とすると、1〜2週間程度で体重が元に戻るだけでなく、体が自然にスッキリしてくるはずです。

新しい年をフレッシュな気分でスタートできると思いますよ。

【ネオヘルスケアドクターLISAの「50歳になる前にやめる100のこと」、週1回、土曜の夕方に配信!】

文/内科医・認定産業医 桐村里紗

tenrai代表取締役医師。1980年岡山県生まれ。2004年愛媛大学医学部医学科卒。内科医・認定産業医。治療よりも予防を重視し、最新の分子整合栄養医学や生命科学、常在細菌学、意識科学、物理学などをもとに、執筆、webメディア、講演活動などで、新しい時代のライフスタイルとヘルスケア情報を発信。著書『日本人はなぜ臭いと言われるのか 体臭と口臭の科学』(光文社新書)ほか。

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