【岩井志麻子】なぜ日本人は「整形したこと」をひた隠しにするのか?

我が国で、みずから「整形してます」という人が少ないのはなぜか。それは整形している人に向かって、「あなた整形してるでしょ」といわない人が多いから、だろう。

 

普段「ぶっちゃけている」人間でも

以前、ものすごい整形をしている女性をスタッフとして雇っていたことがある。割り箸でも突っ込んでんのか、というほどの不自然な鼻をして、切開痕がくっきり浮かびあがるまぶたをしていたが、やっぱり本人に向かってはいえなかった。

あと、ウケ狙いではなくドン・キホーテの宴会グッズみたいなthe・カツラをかぶった男性を知っているが、とてもじゃないがそれってヅラですよね、とはいえない。

私もぶっちゃけたオバサンで知られているが、普通の日本人的なところもけっこうあるから、「本人が隠したがっているであろうことを、本人に面と向かっていえない」のだ。

 

本人は「バレてない」と信じ込む

たいていの日本の大人は、そんなんじゃないか。となれば、どうなるか。整形やヅラの本人は、「バレてない」と信じ込んじゃうのね。
だったら、わざわざ聞かれてもいないのに、「本当は整形なんですよ」「実はハゲなんですよ」といわなくてもいいよね、となるだろう。

まぁ、本人のいないところでは笑い話、ときには悪口にしちゃうけどね。

「あれでバレてないと思えるのがすごい」「もっと上手な医者にかかればいいのに」みたいな噂話は、みなさん遠慮がない。私に限らず、そうやってコソコソ陰口を叩いているのを見れば、こりゃ面と向かっていわれるよりキツいなぁと怖くなる。

 

恥ずかしいことではないが、恥じらいを持つのもいい

それもあるかもね。自分の整形はバレてないと思ってても、他人のそれはこうもあっさりバレて笑い者、悪口のネタにされてるのを見たら、さらにいえなくなるわ。

別に私は、整形もハゲも恥ずかしいものだなんてまったく思っていない。でも本人が顔のここが嫌だとか、フサフサに見られたいとか、己に恥じらいを持ち、整形したりヅラかぶったりするのも、それでいいんじゃないの、と密かに応援するよ。

堂々と生まれたままの顔で生きよ。堂々とハゲ散らかせ。ともいわないように、堂々とカミングアウトしろ、ともいわないわ。でも本人からいえば、「きれいになった」「気づかなかった」といってあげるのも、日本人は気配りとして持ってますから大丈夫よ。

スポンサーリンク

この記事は
作家 岩井志麻子

スポンサーリンク

スポンサーリンク