トイレに行くなら午後3時?話題の「子午流注」でわかる時間と身体

こんにちは、神戸市垂水区にある漢方薬店「CoCo美漢方」の田中友也です。鍼灸師、国際中医専門員の資格を取り、日々、薬店と鍼灸院で皆さんの健康相談に乗っています。

6月になり、緊急事態宣言が解除され、少しずつ以前の生活に戻りつつありますね。

今回は「中医学の時間医学」として最近注目されている『子午流注』について書きたいと思います。

 

12の時刻ごとに対応する身体の部位がある

体内の気や血は、1日を12分割した時刻でそれぞれに対応する臓腑を順番に巡り、全身隅々までくまなく流れていると考えられています。

特定の時刻になると対応する臓腑における気血の働きが活発になり、その時刻を過ぎると気血の働きが衰えるため、その特徴を生かして養生するとより効果的であるとされています。

では、ご紹介していきます。この図で時計の針の3時の位置、朝5~7時の「卯」からスタートしましょう。ちょうどみなさんが起床する時間です。

 

 

 

卯時(5-7時):大腸の時間

5-7時は大腸の時間です。

 

「肺と大腸は表裏の関係」ということから、その前の肺経から大腸経に流れ込んだエネルギーが大腸を活発にさせます。

 

大腸は排便し、体の毒素を便として排泄します。

 

朝目が覚めたら、コップ1杯の白湯を飲んで、この時間帯にしっかり排便する習慣を身につけましょう。

 

辰時(7-9時):胃の時間

7-9時は胃の時間です。

 

この時間帯は胃が元気に、活発に働く時間です。

 

しっかり朝食をとり、よく噛んで食べることで栄養が十分に消化吸収されます。

 

あのジョコビッチさんもこの子午流注の考えを取り入れて、この時間帯に朝食をとることを意識していたそうです。

 

巳時(9-11時):脾の時間

9-11時は脾の時間です。

 

脾は消化、吸収、排泄など全てをコントロールし気血を生み出す源であり、全身に気血を巡らせます。そのためこの時間帯が1日の中で最も消化吸収の効率がよくなります。

 

冷たい飲食物は脾の働きを低下させるので、この時間帯はサラダやスムージー、アイスコーヒーやアイスティー、ジュースなど体を冷やすものをできるだけ避けましょう。

 

午時(11-13時):心の時間

11-13時は心の時間です。

 

この時間帯は陽が最も旺盛で、陰が生まれ始め、体は陽から陰に転化し始めます。

 

「子時大睡、午時小睡」という言葉があり、夜はしっかり眠り、この時間帯は15~30分の軽い昼寝で心の働きを助け、精神を安定させてあげましょう。

 

激しい運動は避け、ゆったり昼寝や穏やかに過ごし、昼からの活力に備えましょう!

 

未時(13-15時):小腸の時間

13-15時は小腸の時間です。

 

小腸は胃から送られてきた消化物をさらに消化し水分栄養の吸収を行い必要な栄養素は脾へ、余剰な水分は膀胱へ集め、食物の残渣は大腸へ送り出します。

 

この時間帯は小腸が活発に働いて、栄養分の吸収が高まる時間です。

 

激しい運動は避けて、穏やかに吸収の時間にしましょう。

 

申時(15-17時):膀胱の時間

15-17時は膀胱の時間です。

 

膀胱は尿を貯留し排泄する器官で、腎の気化作用によって尿の生成、貯留、排泄が行われています。

 

また排尿によって身体にこもった熱を体外に排出します。

 

この時間帯は特にトイレを我慢せず、しっかり排尿しましょう。

 

さらに膀胱経の気は経絡に沿って大脳に到達するのでこの時に勉強や読書をすると効率が上がり、最適な時間です。

 

酉時(17-19時):腎の時間

17-19時は腎の時間です。

 

「腎は水を司り五臓六腑すべての精を蔵す」と言われ、父母から受け継いだ先天の精と食物から得た後天の精を蓄えています。

 

この時間帯は腎精(精命活動のエネルギー)を腎に貯蔵する時間。

 

この時間に夕食を摂り、腎を養う薬(補腎薬)や食物を摂るようにしましょう。

 

戌の刻(19-21時):心包の時間

19-21時は心包の時間です。

 

心包は心臓の外周にあり、気血を通しながら外邪の進入を防ぎ、常に心臓が最適な状態であるよう守っています。

 

この時間帯にはウォーキングなど軽い運動をすると心臓の機能を高めることができます。

 

また、お風呂に入り、リラックスしてそろそろ寝る準備に入りましょう。

 

亥の刻(21-23時):三焦の時間

21-23時は三焦の時間です。

 

三焦(上焦・中焦・下焦)は六腑の中で最大の腑で気血津液を全身にくまなく運んでいます。

 

この時間帯はヨガや読書、瞑想などでゆったりと過ごすと全身の百脈を充分休ませ養うことができます。

 

穏やかな気持ちで質の良い睡眠に入りましょう。

 

子時(23-1時):胆の時間

23-1時は胆の時間です。

 

中医学での胆の働きは「決断や勇気を司る。胆汁を蔵する」などの働きがあると言われます。

 

そのためこの時間帯に入眠しないと翌日の頭の働きが悪く、脳がボーっとしやすく、思考力、特に決断力が弱くなり、不安になり、肝が小さくなります。

 

また、胆汁の代謝もきちんと行われず、口が苦く、のどが渇き、顔色が悪く、目の下のたるみが黒くなったりもします。

 

子の刻は陰気がもっとも盛んで人体の気血陰陽の転換点なので、身体を休めて睡眠をとることは健康を保つ上で非常に大きな意味があります。

 

中国のことわざに「寧舎一頓飯,不舎子時眠」(子の刻の睡眠を放棄するくらいなら一度の食事を放棄したほうがずっと良い)があります。一度の食事よりも子の刻に睡眠をとる方が大事と言っています。

 

丑時(1-3時):肝の時間

1-3時は肝の時間です。

 

中医学での肝の働きは「血を蔵する。計略、策略を主る。」などの働きがあると言われます

 

肝はこの時間帯で蔵血(血を一度肝臓に蓄える)、造血、解毒(血の浄化)に専念します。

 

この時間帯に熟睡できないと肝は蔵血、造血できず、血液不足になり、体のだるさやこわばりを感じます。

 

また血液の流れも悪くなり、肩こりや頭痛など出やすくなります。

 

血の浄化もできないので、シミやシワなども現れやすくなります。

 

思考力が低下したり、怒りやすくなり、憂鬱になるなどの症状が出ます。

 

強いストレスや大きな考え事があるとこの時間帯にふっと目が覚めやすいです。

 

この時間帯は睡眠をとり、身体を休めることが肝を養うのに最適なタイミングといえます。

 

寅時(3-5時):肺の時間

3-5時は肺の時間です。

 

人間はこの時間帯で浅い睡眠に入り、静から動に転換します。

 

中医学での肺は「肺朝百脈」の働きがあるとされ、先ほどの丑の時間に肝できれいになった血を一旦全て集め、呼吸と共に全身へ血を運びます。

 

子時から寅時(23~5時)まで寝れば、起床時の顔色も良くなると言われます。

 

この時間帯に清浄で新鮮な空気中で呼吸することが肺を養うには適しています。

 

もし喫煙すると他の時よりもいっそう肺の機能を落としてしまいます。

 

早起きして窓を開け新鮮な空気を入れて深呼吸をするか、屋外で軽い運動するのがおススメです。

 

いかがでしょうか?

子午流注の考え方は、自然の流れに体のリズムを合わせるというとてもシンプルな養生です。

取り入れやすいものと、難しいというものはあると思います。

ご自身のライフスタイルや生活のリズムに合わせて、「子午流注」を少し意識しながら生活をしてみるのはいかがでしょうか?

 

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