「マスクなのにシミが増える人」はコレが足りない?医師が警告する深刻な不足
こんにちは。「予防医療」のスペシャリストで、医師の桐村里紗です。
この連載では、人生100年時代の折り返し地点、50歳になる前にやめたい悪習慣についてお伝えしていきます。
今年はあまり紫外線を浴びない夏だという方が多いでしょうが、毎年の紫外線はシミになって蓄積します。美容液を塗り重ねる前に、ある栄養素が決定的に不足しているかも知れませんよ?
【ネオヘルスケアドクターLISAの「50歳になる前にやめる100のこと」#40】
高価な美容液に「ちょっと待った!」
紫外線の強い夏は、紫外線老化を防ぐために、高い美容液にお金をかけたくなるシーズンです。
でも、ちょっと考えてみてください。
シミは、皮膚の真皮層に起こる内側の反応です。
つまり、自分の内側の反応なのですから、必ずそれを防ぐ力も備わっています。
外からつける美容液にお金をかけるその前に、シミを防ぐ力を高めることが、シミ対策の第一ステップではないでしょうか?
それを怠ってしまうと、いくら美容液にお金をかけてもシミがどんどん発生してしまい、追いかけっこになってしまいます。
「色白なのにシミだらけ」の人は〇〇不足かも?
色が抜けるように白いのに、シミだらけな女性っていますよね?
私たち、分子栄養療法(オーソモレキュラー療法)を学んでいる医師たちは、そんな女性を見たら、
「あ、鉄不足」
と、まず、疑います。
シミを防ぐのに重要なのは、体の中の「鉄」です。鉄不足になると、シミを防ぐ力も低下してしまいます。
更年期女性は特に注意!活性酸素を防ぐのに鉄は不可欠
シミを防ぐには、肌の老化を引き起こす活性酸素を消去しなければなりません。
そのためには、抗酸化酵素である「カタラーゼ」が不可欠です。カタラーゼの活性の中心には、鉄があり、鉄がなければカタラーゼは働くことができません。
逆にこれがしっかりと働いていれば、紫外線ダメージによるシミを防ぐことができます。
でも、閉経前の女性のほとんどは、「かくれ貧血」と呼ばれる鉄不足。シミを防ぐ力が弱い状態と言えます。
30代40代女性のうち、7割〜8割が重大な鉄欠乏です
厚生労働省の調査によると、30代女性の77.9%,40代女性の71.7%が、血液中の鉄の貯金である貯蔵鉄(フェリチン)が、30ng/ml未満とされています(H21 年度が最新版)。
30ng/ml未満は、貧血がなくても鉄不足の症状が出る「かくれ貧血」の状態です。
月経がある女性は、毎月出血で鉄が出ていってしまうので、鉄が不足しやすいのです。
食欲の低下する夏場は「鉄の吸収率」を意識して食べて
夏は食欲が低下して、冷たい素麺や冷麺などに偏りがちです。これでは鉄の摂取量が減ってしまいますから、余計にシミのリスクが上がってしまいます。
夏はよりしっかりと鉄分を摂りたいところです。
鉄には、ヘム鉄と非ヘム鉄があります。
■ヘム鉄は吸収が良い
より吸収が良いのは、ヘム鉄です。赤身の肉やレバー、魚など動物性食品に含まれています。
鉄のサプリメントを選ぶのであれば、ヘム鉄のタイプを選ぶと胃腸に負担がなく吸収率も良いのでお勧めです。
■非ヘム鉄は吸収を工夫して
非ヘム鉄は、ヘム鉄より吸収に劣りますが、ほうれん草、ひじきなど海藻類、プルーンなど植物性食品に含まれています。
非ヘム鉄の吸収を良くするには、肉や魚などのタンパク質やビタミンCと一緒に摂ることです。
例えば、ほうれん草を卵で炒めてもOKですし、海藻サラダにレモンドレッシングをかけても良いですね。
ただし、非ヘム鉄は、お茶やコーヒーなどに含まれるタンニンや食物繊維などと一緒に摂ると吸収率が低下してしまうので食事とは離しておきたいところです。
外側の前に「内側からの美づくり」を見直して
体の内側の機能を作るのも、普段食べている食事からの栄養素です。
ですから、栄養素が不足していると自分に備わる「〇〇力」は全て低下します。
シミ予防のために、外側から何かを加える前段階に、まずは、普段の食事を見直して、体の内側の力を高めることを考えてみていただきたいと思っています。
あくまでも、私自身が医師として診察した範囲ですが、鉄が充足するだけで美容液が不要なレベルになる方もたくさん経験しています。
きっと、随分と安上がりなはずですよ?
【ネオヘルスケアドクターLISAの「50歳になる前にやめる100のこと」、週1回、土曜の夕方に配信!】
文/内科医・認定産業医 桐村里紗
tenrai代表取締役医師。1980年岡山県生まれ。2004年愛媛大学医学部医学科卒。内科医・認定産業医。治療よりも予防を重視し、「ヘルスケアは、カルチャーへ」というコンセプトを掲げ、新しい時代のヘルスケアを様々なメディアで発信している。フジテレビ「ホンマでっか!?TV」「とくダネ!」他メディア出演多数。著書『日本人はなぜ臭いと言われるのか 体臭と口臭の科学』(光文社新書)他。
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